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陽は昇り陽は沈む

 頭の中は石臼からなる円盤の地球ゴマが常に回転している。耳はもう聞こえないのに、南太平洋上に台風が発生したりすると、驚愕的なボリュームの無料BGMが長時間鳴り響く。

 石臼から発せられるヘビメタ重低音が、脊髄を貫き、尾骶骨まで震わせているかのように感じてしまうこともある。迫力満点。

 この石臼地球ゴマは、長期にわたり回転し続けてきたので、最近、軸がブレはじめ、それにつられて、頭自体がブレることが増えた。酒飲んでる訳ではないのに・・・。

 顔の半分は、神経が麻痺していて、針刺しても痛くないし、ベロ半分しか味が感じないし、虫歯があっても痛くないし、麻酔しないで歯を抜いても痛くない。都合がよいのか悪いのかよくわからない。

 片目は涙が出ず、痛みも感じず、既に角膜に傷がつき、開かずのレースのカーテンがかかっている。ものすごいガチャ目。数年前の免許更新は、見える方の片目で何とかクリアできた、それでよいのだ。

 足の付け根から下、足首や膝に命令が届きづらくなり、ぶら下がりのサンドバックになりつつあり、酔っ払いのように、ふらふらすることが増えた。サンドバックは、時として容赦なく捻り絞られているように痺れまくる。

 補聴器はもう装着しない。どんなにハイスペの補聴器を付けても、耳で言葉を認識することはできなくなったし、大きなハウリングを起こしていても気づかず、周りに迷惑をかけるだけ。

 車の運転とは、おさらば。右足が踏んでいるのは、アクセルなのかブレーキなのか?どの位の強さで踏んでいるのか?正直、わからない。次回、免許の更新はしないでしょう。最近は、青空の下、山道をドライブする空想もしなくなった。

 4回目の開頭手術の直前に、高齢の母が大きな手術を受けることになり、私の手術は、延期をお願いした。手術が終わった後は、初体験となるICUに泊まれるそうで、今から楽しみ。ちなみに、母が泊まったのはCCU。

 もう随分も前のこと・・・、脊髄のMRIの画像を見せられながら病名を告げられたとき、「全部で何個ぐらいあるのでしょうか?」という、愚かな質問をしてしまった。

 「多発性なので、たくさんです」と、主治医は答えた。

 「えっ、たくさんあるから多発性なのでは?」と言いかけたけど・・・、言い留まったことを今でも何故かよく覚えている。

 赤いちゃんちゃんこを境に、QOLが一気に低下した。ジェとコースターのように。でも、ちゃんちゃんこを着られるまで生きながらえただけでもよかったじゃん、と自分に声をかける。

 今日は、役所での諸々の手続きが半日以上かかった。耳が普通に聞こえていたら、もっと早く済んだと思うけど、音声変換アプリに終始助けられたし、スマホがある時代に生きててよかったよかった。

 今日も一日ご苦労さま。
 それでは、また明日。
 ぐっすりと眠れますように。(-_-)zzz





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