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美術はコミュニケーションツール

「作品を制作する上での情熱は何ですか?」
と聞かれた。

正直私はどう答えたらいいか悩んだ。
そもそも湧き上がる情熱みたいなものを感じたことがない気がする。

ほぼ毎日大学に行き、日が昇ってから沈むまで制作に勤しむ私は傍から見ればパッションの塊のような人間に見えるのかもしれない。
だが実情は淡々と作業を進めていく毎日である。

美術がやりたいというより、自分のコミュニケーション手段が美術だった。
情熱なんかじゃなくて、それしか手段がなかった。

昔から話すのが下手くそで、言い過ぎて人を傷つけたり、言葉足らずで相手を不安にさせた。

でもある時からありがとうやごめんね、頑張ろうねをメッセージを絵に込めるようになった。

ときめきや思いを作品として形に落とし込むようになった。

気のせいかもしれないが、言葉よりも思いが伝わる感覚があった。

美術という言語なら、自分が饒舌になれるような感覚があった。

やっと外の世界と繋がれたような気がした。

けれども、まだ満足に思いを伝えられたと思ったことはないから、美術というコミュニケーションツールを使ってもっと素直に、豊かに、人と関われたらいいなと思っている。

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