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人間無理をすると体を壊す

私は、リフレクソロジーのサロンを運営しています。
お客様の足と向き合っていると、不思議とお客様の悩みやこれから変えていきたいことなど、お客様の人生における深い話を伺うことがあります。

サロンに定期的にいらっしゃるようになって3回目のSさんは、最近会社を辞めたばかりです。少し時間に余裕が生まれたため、気持ちにも余裕が持てるようになったといいます。

Sさんは25歳なのですが、年齢にかかわらず、足裏はどの場所もパンパンに張っていて、まるで体を動かす仕事をしているか、アスリートのような足です。たいてい、Sさんと同じ年頃の女性ですと硬さはあっても、もうちょっとフニャッとしているのですが、Sさんは物凄く硬いのです。

私は、不思議に思いSさんに色々質問をしました。食生活は?運動は?汗はかきますか?水分とってますか?就寝時間は?何を聞いても、特に足裏の硬い原因と特定できることは見つかりませんでした。

次に、お仕事内容や、大学での生活を聞いてみました。すると、Sさんが奨学金とバイト代だけで学費と自分の必要なお金をまかなっていたことが分かりました。

現在、国立も私学も大学の学費は一昔と比較してどんどん上がっています。その費用の一部を、20歳前後の娘さんが自力で作り出していたのです。さぞや、バイトに多くの時間を割いていただろう、しかも、労働で酷使した体の消耗は計り知れないです。聞くと、飲食店のキッチン業務で重い食器のケースを持ち上げたり、ずっと立ちっぱなしで皿を洗うこともあったそうです。バイト仲間でぎっくり腰を患った人も少なくないと。

学生時代の話を聞いて、数年間バイトで体を酷使した無理が、足裏の硬さに繋がっているのではないか?そう推測しました。ご本人も自覚があり、だからこそ、私のサロンに定期的にいらしているとのこと。実は、彼女は来月からリフレクソロジーの勉強を始める予定で、私が卒業したスクールに入られます。
今まで体に無理させてきたから、これからは体が喜ぶこと、体をちゃんとケアすることをしていきたいと、笑顔で話してくださいました。

Sさんのお話を聞いて、早世した母方の祖父母を思い出しました。貧しく、子どもが多く、重労働を長期間続けた末の死でした。親戚の話では、亡くなった時の祖母の背中は筋肉がパンパンに張り、荷物を運ぶ時の道具や紐が当たり、皮膚が黒ずんでいたそうです。現代では考えられないことですが、そうするより仕方のなかった時代では、どうすることもできなかったのでしょう。広島や長崎の原爆忌、そして終戦記念日と命について考えることが多い夏、私はSさんのお陰で祖父母に思いを馳せています。

祖母の時代と打って変わり、現代ではどうでしょうか。もちろん、それぞれ個人や家庭の事情がありますが、確実にいえることは、人間、体の声を聞かずに無理を続けると、確実に命を縮めるということです。フランスの歌手セルジュ・ゲンズブールは、「タバコは緩やかな自殺」という名言を残しましたが、毎日少しずつの体に悪いことが、長期間ではゆるやかな死に繋がります。

もし、自分を脇において人に合わせることに疲れていたら、自分の気持ちを大切にすることを意識してほしい。もし、それすら思い出せないなら、ぜひ私のサロンで体をゆるませて見てください。それこそが、私がこの仕事を始めたきっかけなのです。体がゆるむと、心もゆるんで子どもの時のように自分と純粋に向き合えるようになるかもしれません。






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