洗濯機にはおじさんが配置されている?
今の住まいに越してきて1年が経った。
引っ越しのタイミングで洗濯機を新調したので、住んだ年数が私と洗濯機とのお付き合い年数とイコールになる。
付き合って1年ちょっと、アイツのことを何でも分かったような気持ちになっていたのだが、つい最近、洗濯機の意外な機能を知った。
それは、洗濯終了予定1分前のことだった。
洗面所で朝の身支度をしていると、彼は今まで聞いたことのない機械音を発し始めた。
洗濯機の作業終了間際は、脱水を仕切って終焉という形が私の脳内では一番しっくりくる。なのに、彼は脱水音とは明らかに違う土俗的なリズムを刻み始めた。
ん?何をしているのだろう?
私は、彼の顔を覗き込んだ。正しくは洗濯機の覗き窓から中身を見た。
すると、彼は洗濯物の「ほぐし」に取り掛かっているではないか。
洗濯物というものは、強力な遠心力で水分が飛ばされた後、がっちり絆を深めた間柄の如くなかなかほぐれないものだ。
本当は離れてほしいのに。この後伸ばして干すから。
しかし、彼は洗濯終了前に、丁寧にリズムを刻んで服が取り出しやすく干しやすいように「ほぐし」てくれているのだ。
これは、まるで舞台だ。エンターテインメントだ。身支度という日常のなんてことない一コマが、サーッと非現実的な場面に変わった。
さらに、フィナーレの約20秒はリズムが変わり、小刻みに動く。
これは軽いトランス状態なのではないか?
そして、ついに舞台は終幕、いや洗濯の終了を迎えた。
私は顔を紅潮させながら、興奮気味に夫に事の顛末を話した。
すると彼は「この道ウン十年的なおじさんの丁寧な仕事って感じだね。中に本当におじさんがいるのかも」と、私の甚だしい擬人化を否定するわけでもなく、驚くこともなくアッサリと面白く返してくれた。
家電製品って日進月歩ですよね。
普段から様々な流行に少々乗り遅れ気味なので、こんな小さなバージョンアップも楽しすぎてこんな日記をしたためてみました。
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