63. ポストカードと物干し竿。

ポストカードを買った。たまたま入った大きい本屋さんで個展をやっていたイラストレーターさんの絵に見惚れていたら、買っちゃえばと言われたので、220円のを2枚買った。家に帰って壁に横並びに貼ると、なんとなくいい気分。

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東京に引っ越してから、ベランダに物干し竿がなかった。というか買ってなかった。最初に住んでた家はベランダなかったし、引っ越した家は天井が高くて、作り付けの棚もクローゼットもみんな背が高い人用で、ベランダの竿をかけるところも152cmでは届かなかったから買わなかった。部屋の中にも干せるところあったし、近くにコインランドリーもあったしね。

でも東京に来てから6年目の夏の終わり、ポストカードを買った次の日に、初めて物干し竿を買った。別にいらないと思ってたんだけど、今年の夏はめちゃくちゃ暑くて湿度も高くて、やっぱり天日干しした方がいいよとテレビやなんかで連日聞いているうちに、外に干してみたいという憧れがそわそわしてしまって、買ってみた。まあ夏のピークはとうに過ぎてたけど。

部屋の真ん中に敷いてるラグを洗って干してみる。やっぱり竿が高いので、ベランダに踏み台を置いて干す。この高さ、太陽の光が眩しいな。

干されたラグを、部屋の中から見る。
風にふかれて、揺れている。
ふふ、なんだか誇らしい。
いつも机と足の下にあったラグが
あんなところで太陽に照らされながら
ゆらゆら揺れて、とてもいい気分。

壁のポストカードと揺れるラグを何度も見比べる。
いい。いいな。嬉しくなっちゃう。
窓を開けてみた。
やっと、心地いい風が吹く季節がきた。