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42. 劇場でコント公演を観た日。

小林賢太郎さんのシアターコントロニカ「回廊」の劇場公演を観に行きました。
千秋楽、前から4列目、センターブロック。大きくない劇場で、私の席の前には広い通路があって、舞台の上にいる人が1人の人間として認識できてしまうくらいの近さでした。本当に、奇跡と思えるほどの良席でした。

私が初めてラーメンズを知ったのは小学生の時。小林賢太郎作品を初めて舞台で見たのは高校生の時。それ以降も、機会があればなるべく劇場で観ようとチケットを取っています。
お芝居の世界に進みたかった私は、小林さんの作品を劇場で観るたびに、ああ羨ましいな、と思っていました。あの舞台の上に私も立ってみたい。あの世界観と空気を作る側から感じてみたい。羨ましくて羨ましくて、そして次の自分に進むパワーをもらっていました。

就職して演劇から離れ、コロナで劇場公演が中止になり、小林賢太郎さんはパフォーマーを引退されました。自分にとっての「憧れの空間」との距離がだんだんと広がりながらも、ただ目の前の毎日を過ごすことに一生懸命でした。

でも改めてこうして劇場で公演を観ると、やっぱり変わらない小林さんらしい作品でした。絵本のようなシンプルなデザインと、ふと気がついた時に視点が変わる仕掛けと、押し付けがましくないメッセージ性。私が憧れていた世界観が変わらず舞台の上にありました。


舞台に立つ人生を選ばなかった私には、あそこに立ってみたいと言う資格もなくなったけど、それでもやっぱり羨ましかった。
この人が作り出す世界を感じたい、と誰かに思わせていることが本当にかっこよくて羨ましい。いやもっといえば、この人が楽しいと感じることを私も一緒に楽しみたい、とか、心を込めて作ったものを受け止めたい、とかそんな感じ。

私も、誰かにそう思ってもらえる人になりたい。

だから、まずは私自身が私のことをちゃんと感じておきたい。見えるものに対していつも考える人でありたいし、そういう気概を持ち続けたい。

こういうことに心を十分使うには、1人きりにならないと難しいな。一人暮らししててよかった。自分の周りの世界のことを、ちゃんと受け取って生きていたいと思います。

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