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#90 エメリヤーエンコ・ヒョードル、引退

エメリヤーエンコ・ヒョードルの引退について書いたnoteです。

2023年2月5日(日本時間)、エメリヤーエンコ・ヒョードルがBELLATOR 290で現BELLATORヘビー級王者のライアン・ベイダーと引退試合を行い、グローブをマットに置きました。

ヒョードル、引退に寄せて

今では世界中の格闘技ファンから敬愛されてやまないエメリヤーエンコ・ヒョードルですが、PRIDE時代は強さと人気が比例しない選手の一人でした。

当時人気があったのは、ライバルのミルコ・クロコップ、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラやヴァンダレイ・シウバであり、エメリヤーエンコ・ヒョードルはそれらの選手たちの後塵を拝していて、時期によってはセカンドグループのマウリシオ・ショーグンや同胞のセルゲイ・ハリトーノフといった選手たちよりも劣っていたかも知れません。

PRIDEヘビー級GPを制し「60億分の1」の異名に違わぬ活躍をしていたにもかかわらず、人気が比例しなかったのは感情表現に乏しく、ひかえめで、穏やかな性格に起因していたと思います。

そんなエメリヤーエンコ・ヒョードルの人気に火がついたのは、PRIDEがUFCに売却されて活動を停止し、PRIDE再開に望みをかけていた選手と、行き場を失ったスタッフがPRIDEへのけじめとして開催する一夜限りのイベント「やれんのか! 大晦日! 2007」への参戦を早々に表明してくれたことでした。

その当時、PRIDEの人気選手たちが次々にUFCなどに活躍の場を移す中、大晦日を日本で過ごし新年を迎えること、日本を愛し、PRIDEを愛してやまないことを体現してくれたエメリヤーエンコ・ヒョードルこそ、一番敬愛すべき選手であることを認識した瞬間でした。

その後も、元気ですか!! 大晦日!! 2011やRIZIN旗揚げの際など、日本格闘技界の窮地に助けに駆けつけてくれるエメリヤーエンコ・ヒョードルは「恩人」であり、「救世主」にほかなりません。

ファンから敬愛されるだけではなく、同じ時代を過ごした選手たちからも尊敬されている人物であることは、引退試合を観戦に訪れた錚々たる面々を見れば一目瞭然です。

写真左から、ヘンゾ・グレイシー、クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン、チェール・ソネン、ホイス・グレイシー、チャック・リデル、エメリヤーエンコ・ヒョードル、ジョシュ・バーネット、マット・ヒューズ、スコット・コーカー、フランク・シャムロック、ランディ・クートゥア、ライアン・ベイダー、マーク・コールマン、ダン・ヘンダーソン

RINGSでプロデビューしてから22年。通算戦績40勝7敗1NC 16KO 15SUBの偉大なレジェンドの引退は一つの時代の終焉を告げました。

最後に、試合後、日本のファンにU-NEXTを通じて届けられたエメリヤーエンコ・ヒョードルからのメッセージを紹介して、締めくくりたいと思います。

「全盛期を日本で過ごし、皆さんに本当に感謝しています。自分のファンになってくれて、今日も観ていてくれてありがとう。またお会いしましょう」

U-NEXT 格闘技 公式@UNEXT_fight
2023年2月5日午後2:50


あとがき

BELLATORのスコット・コーカー代表は引退試合後のインタビューで、次のように語っています。

「レジェンド達がヒョードルの最後に立ち会う奇跡の瞬間だった。自分も"日本のヒョードルファン”の一人。日本で観てファンになった。光栄だと伝えたよ、彼はレジェンドかつGOAT。ヒョードルを大使として、日本で、U-NEXTで、ファンイベントしよう。

2019年12月29日、エメリヤーエンコ・ヒョードルの引退試合第一弾として、BELLATOR JAPANでクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンとの試合を行ってくれていますが、ぜひともU-NEXTにはファンイベントを実現していただきたいです。

RIZINとの全面対抗戦において、ハビブ・ヌルマゴメドフがBELLATOR軍のキャプテンを務める話はスコット・コーカーのリップサービスのようでしたが、この発言はリップサービスでないことを切に願うばかりです。

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