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あなたが最初にしたアルバイトはなんですか?

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今回の「ワイングラスのむこう側」は、林伸次さんの初めてのアルバイトのお話です。初めてやったアルバイトでその人がわかる、そうですが、あなたの一番最初のアルバイトはなんですか?

林さんの一番最初のアルバイト

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

「初めてやったバイトでその人がわかる」という説があります。あなたは何ですか?

僕は中学生くらいから始めた、両親の自動車(田舎だから父も母も1台ずつもってます)を洗車「500円」というのが最初です。休日に親の車のカセットデッキに自分の選曲カセットを入れて、それを爆音で聞きながら洗って、乾いたタオルで拭き取って、そこにワックスをかけるその「自分だけの時間」が結構好きで、晴れた日の休日はいつもやっていました。

ちなみに、ワックスがけまでして1台500円って安いのでしょうか、高いのでしょうか。2台で1000円なので、僕には良い小遣い稼ぎでした。

その次にやったのは、高校生の時、徳島であったコンサートの警備員でした。これは「お金をもらってライブが聴ける」という嬉しさと、東京から来た音楽関係の人たちがすごくカッコよく見えて、楽しかった思い出があります。

こういうをバイトに入れていいのかわかりませんが、初めての本格的なアルバイトは、大学のすぐ目の前にある「ぷらんたん」という喫茶店のウエイターでした。1987年のことで、当時時給は600円だったように記憶しています。

そこは60代半ばのマスターが経営していて、その方は少しなまっていて、北関東から出てきて、銀座の喫茶店で修行してから自分のお店をかまえて、子ども二人を大学までいかせたというのが自慢でした。

コーヒーは開店前にたっぷりと作り置きしておいて、注文がくれば温め直して出すという昔のスタイルで、食べものはサンドイッチとナポリタンと(業務用の冷凍の)海老チャーハンという、当時18歳の僕にとっても、「うわあ、古いなあ」というスタイルの喫茶店でした。

1987年は世の中はカフェバーブームでして、例えば僕の高校の時の友人は、渋谷のLOFTにあったWAVE(レコード屋さんです。渋谷系爆発前夜ですごくお洒落でした)の中のカフェバーでバイトをしていました。

僕もそういう「華やかな場所」にすごく興味はあったのですが、まだまだ「田舎者コンプレックス」というのがあって、なんとなくそういう場所ではバイトはできず、大学の目の前の、すごく古い喫茶店でバイトを始めたというわけです。

その喫茶店は、まかないとして半額の料金でそのお店のメニューが食べられたので、僕はいつもナポリタンを食べていました。18歳当時、もちろん僕は村上春樹に影響されて、自宅でパスタばかり茹でていた頃でして、そのマスターが「林くんは、四国出身だっけ? スパゲティなんて食べたことないでしょ」と言うような方でして、僕は「あえてナポリタンがお洒落」とか思っているという、「ズレ」をそのマスターとはいつも感じていました。

なぜマスターは喫茶店をしていたのか?

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