見出し画像

着ぶくれおじさん登場

最近、私のまわりには着ぶくれおじさんが増殖中だ。着ぶくれおじさんとは、「昔、こんなことをやっていた」「誰々とは昔から知り合いで」など自分の経歴や過去の実績、知り合いの多さを相手への迷惑も顧みず、無駄に話したがるおじさんのことを指す。これでもかと自分の持っている服(経歴、実績、つながり等)を着込んでどんどん膨れていく様を勝手に命名した。本人はおしゃれのつもりで話しているので、自分では着ぶくれていることに気づいていない。

話を聞かされている方も特段、何かを期待していたり興味を持っているわけでもないのに延々とその話を続ける。初対面で複数の名刺を渡してくる人や名刺の裏にやたら資格を載せている人もほぼ同類だと思っている。着ぶくれおじさんたちは、なぜそのような他人からダサいと思われるような行為を好き好んでしてしまうのだろうか。その裏に自分が何者でもないことへの不安や自信のなさを必死に隠そうとしている姿が見て取れる。私から見ると着ぶくれおじさんの一連のダサ行為は、いい歳をして背伸びをしようとしている必死な姿として映り、こちらも思わず顔を覆ってその場から逃げ出したくなる恥ずかしさがある。一応、自分はダサ行為には敏感なのでイチ法人の代表理事、いわば経営責任者だが、自己紹介の時は組織名はできるだけすっとばして「桃生です。特に何もしてません。」でさっさと終わらせよう努めている。もし着ぶくれおじさんが着ぶくれおじさんと出会ったら相手に対してどう思うのだろうか。マウント合戦に発展するかもしれない。とても興味深い。

時と場合によって、強がりアピールをすることも必要かもしれないが、大抵はそんなことをしても相手に見透かさてしまう。また、自分を大きく見せようと着ぶくれ行為を続けていると他人からの期待値を上げることになる。そうすると、いざ何かをしようとすると自分で設定した高いハードルから始めることになるので、結果、自分の首を締める。最初から飾らない等身大のシンプルな服装の方が、誰にも期待されていないスタート地点から始まるので最初のハードルはぐっと下がる。そこでちょっとでも「おっ」と思わせるようなことをすれば一目置かれる存在になる。

昨今の気温の上昇は良い機会なので、着ぶくれおじさんたちも暑さ対策の一環として自分の服装を鏡の前で点検し、身にまとった服を一度、脱いでみてはいかがだろうか。その時、自分の姿を鏡で見て改めて気づくことがあるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?