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企業内弁護士の二人に聞く。モノタロウの法務の役割と、急成長企業だからこそ感じる魅力とは?

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

年間の売上規模が1,800億円を超え、12年連続売上成長20%を実現したモノタロウは間接資材販売のECとして日本最大規模のサービスへと拡大しつつあります。今回は法務グループで法律のプロとして当社を支えるお二人に企業法務の仕事や、モノタロウだからこそ感じるやりがいについてインタビューしました。

写真右:
井波さん
2016年9月にモノタロウに入社
経営管理部門 法務グループ グループ長

写真左:
中廣さん
2021年3月にモノタロウに入社
経営管理部門 法務グループ 

モノタロウに入社するまで

ーー前職の仕事内容とモノタロウに中途入社した経緯を教えてください。

井波:
前職は飲食業界で、そこで企業内弁護士を2年弱経験しました。全国にフランチャイズ展開している企業だったので、今と比べると出張の機会が非常に多く、広く社会に浸透しているビジネスにかかわることができたので、やりがいも感じていましたし、日々刺激的でした。業務内容は、契約書審査と法律相談が中心で、まさに企業法務、という感じです。株主総会用の想定質問作成やコーポレートガバナンス・コード(※)の対応もありましたが、株主総会の運営や株式関係の業務は、他部署がメインで取り組んでいたので、法務としてはあくまで補助という位置付けでした。
他の業界のビジネスも知りたい、もっと幅広い業務を経験してみたいという想いがだんだんと強くなり、それなら早いうちにと考えて、転職活動を開始し、2016年9月にモノタロウへ入社しました。

※コーポレートガバナンス・コードとは、上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)においてガイドラインとして、参照すべき原則・指針を示したものです。

中廣:
前職は大阪の企業法務を中心とする法律事務所でした。
業務内容としては、裁判(訴訟)や交渉による紛争解決、あと倒産事件など、いわばマイナスになった状態をいかにゼロへ戻すかというものが大半でしたね。トラブルの渦中にいらっしゃる方々を支えることや弁護士として幅広い分野に関われることにやりがいを感じていましたが、どちらかといえばゼロをプラスに、プラスをさらに大きなプラスに変えていくような仕事に関心が向くようになりました。
また、前職はスポット案件が多く、依頼が終わるとその後はほとんど関与しなくなることに寂しさを感じていました。一つ一つの案件単位でなく、継続的に同じ会社と関わり続け、事業に寄り添っていきたい気持ちが年々強くなり、そこで企業内弁護士への転身を決意し、転職活動を開始しました。

ーー法律事務所から企業内弁護士だと業務内容の変化が大きい印象がありますが、モノタロウに入社してどのような変化がありましたか

中廣:
前職は遠方への出張が多々あったのですが、モノタロウに入ってからはそういった出張は非常に少ないので、移動に伴う負担がなく仕事に集中できます。また、前職は、刑事弁護や離婚事件といった個人を顧客とする仕事や市役所の法律相談も一定数取り扱っており、さらに依頼者はもちろん相手方や裁判所との連絡も私が窓口となっていたので、なんでもやる感じでした。モノタロウに入ってからは、業務の幅はありますが、あくまで企業法務が中心であるため、専門性が高まりました。
チームでの仕事に関しても変化はありました。前職では、大人数のチームが組まれることは滅多になく、チームメンバーも基本的に弁護士のみで構成されていました。一方で、モノタロウでは部門の壁を越えてチームが組まれ、一つのプロジェクトに取り組んでいくということが頻繁にあります。いろいろな専門性を有する方と協力して仕事ができるのは刺激があります。また、自由さは維持されつつもマネジメントという点ではしっかり制度設計されているところがモノタロウの良さですね。

ーーお二人がモノタロウを知ったきっかけを教えてください

井波:
正直にお話ししますと、転職活動を始めるまでモノタロウのことはあまり認識していなくて、転職エージェントの方に勧められて「そういやCMやってたなあ」と思い出したぐらいでした。その状態でモノタロウを受けることを決めたのは、「幅広い業務を担える」という案内があったからですね。

中廣:
モノタロウ自体は街中で看板を見たことがある程度の印象だったのですが、転職活動の中で紹介され、モノタロウの法務では契約書審査に限らず幅広い業務をしていることや急成長を継続していることを知り、興味がわきました。そして面接に挑み、2021年3月に入社となりました。

ーーモノタロウに入社してから風土面のギャップ等はどういったことを感じましたか。

井波:
私が入社した時は創業から17年目、今よりもさらに若い会社で、全従業員で1000人、正社員も250人ぐらいしかいませんでした。面接のときも面接官の方が私服で、風通しが良さそうだと感じましたね。「私服やん」ってびっくりした記憶があります(笑)
入社後、風通しの良さは印象通りだったのですが、行動規範の一つである「他者への敬意」が会社全体に浸透しているのを知り驚きました。法務の仕事はコミュニケーションが重要ですが、お互いの話を皆がちゃんと聞き合うことが徹底されてるモノタロウの傾聴文化のおかげで、非常に働きやすいです。
また、「モノタロウを成長させたい!」「資材調達ネットワークを変革したい!」という気持ちを社員全員が持っているので、同じ目標に向かっているという安心感もあります。モノタロウの人たちとは何を話しても建設的な内容に発展するのが良いですね。

中廣:
採用ページにある「社員の声」を読んだり、面接でも直接質問していたので、会社としての風通しの良さは入社前から感じていましたが、実際に入社してみると、想像していた以上に他部門とのコミュニケーションに制度的・心理的な障壁がないので嬉しかったですね。上司への事前の根回しとかをしておかないと部門を越えてのコミュニケーションが難しい会社もあると思いますが、モノタロウではそういったことは必要なく他部門の人と気軽にやり取りすることができます。メールや電話で連絡したときに「忙しいから無理」と突っぱねられたことは一度もなく、皆さん真摯に話を聞いてくださいます。
また、いくら自由な社風とはいえど、東証プライム市場の大きな会社ですし、組織として上司の命令が業務の基本だろうなと覚悟していたのですが、モノタロウは自主性を重んじ、積極的に改善を提案して実行していくことが求められる会社でした。

企業法務の仕事とは

ーーそもそも、企業法務とはどういったお仕事なのかを簡単に教えてください

井波:
抽象的な表現になってしまいますが、「法律知識と法的思考を武器にして、会社のビジネスをサポートする」仕事です。契約書審査やトラブル発生時の解決、というのが一番イメージしやすいかと思いますが、それだけに留まらず、事業をより良くするためにはどうすれば良いかを法律の観点から考えていきます。

ーーモノタロウにおける法務の具体的な仕事内容を教えてください

井波:
大きく分けて3つの業務があります。
1つ目は契約書審査や法律相談などの法務業務、2つ目は株主総会・取締役会事務局などの総務業務、そして3つ目に労務相談対応などの労務業務です。
業務割合はおおむね3分の1ずつで、それをグループメンバーとともに取り組んでいます。
モノタロウの法務は、お客様や取引先様と直接交渉するようなことは少なく、代わりに社内の方とコミュニケーションを取る機会が多いですね。そのため、法務グループの席では話し声がよく聞こえます(笑)
他にも、最近はSDGs関連の取り組みにも携わっています。サステナブル調達推進部会とダイバーシティ&インクルージョン部会に、それぞれ法務グループの複数名が関わっています。

※関連記事:持続可能な社会を目指して、モノタロウが取り組む「SDGs」とは

ーーどのような部署の方と関わり、どのような話をするのでしょうか

井波:
契約書審査や法律相談などを通じて、全部門の方と関わります。強いて言うならば商品の仕入に関わる商品部門・商品開発部門や、販売に関わるエンタープライズビジネス部門の方々と関わることが多いです。というのは、商品の仕入、販売に関する契約の審査依頼が多いので、その部門の方々と、契約内容についてお話をすることが多いからです。

中廣:
会社が成長しているので、新しい取り組みも増えて、契約書周りの仕事も増え続けていますよね。

ーー新しい取り組みとは具体的にどういったものでしょうか

中廣:
たとえば、会社の規模が大きくなるにつれて必要になってくる対応に関してですね。事業が大きくなると、例えば商品画像の権利関係等、これまで問題になっていなかった事柄が問題になるケースは多々あるので、その対応を行います。また、電子契約等のように、今まで時間をかけて行っていた法務関連業務をいかに電子化して効率化を図るか、といったことなどにも取り組んでいます。そうすれば業務がよりスムーズに進められるようになり、生産性向上にもつながりますよね。

ーー法務グループのグループ長として井波さんが感じることがあれば教えてください

井波:
法務グループとして、幅広い業務を任せていただいているなと感じています。それは私の転職理由の一つでもあったので、とても嬉しく思っています。その分、専門性を問われる領域、場面も増えるので、難しさを感じることもありますが、会社全体の成長を実感できる機会も多く、やりがいを感じています。
正直、入社した時には、入社から6年で法務がグループになって、ここまでメンバーが増えるとは想像できませんでした。今は中廣さんを含めメンバーが各々の専門性を活かしつつ活躍してくれていて、本当に感謝しています。

ーー法務担当が井波さん一人だった時代もあると伺っていますが、そこからグループに発展していく中で変わったことはありますか

井波:
いくつかありますが、特に変わったかなと思うのは、生産性とナレッジシェアに対する意識です。会社が大きくなるにつれ、入社時に専任は私一人だった法務がチームになり、さらにグループへと大きくなりました。その中で、法務の担当する業務領域が広がったのはもちろんのこと、それぞれの業務の量も増えました。だからこそ、生産性に対する意識は、一人だった時よりも強く意識するようになりましたし、そのための仕組みも整備しています。また、1+1が2以上となるように、それぞれが持っているナレッジや情報をシェアするための仕組みも、グループに発展する中で少しずつ強化されてきたかな、と思います。とはいえ、どちらもまだまだ改善の余地があるので、引き続き取り組んでいきたいと思います。

ーー今のグループの雰囲気はどんな感じですか

中廣:
皆さん明るく前向きですね。グループ内は和気あいあいとしており、雑談も含めてコミュニケーションが活発なので、仕事でちょっと相談したいときにも臆せず話しかけることができ、非常に働きやすさを感じています。
法務って他の部門からしたら話しかけづらい少し堅いイメージがあるんじゃないかと思うんですよ。そこに本当にお堅い感じの人がいたらそれこそ話しかけづらくなってしまい、法務にとって必要な情報も入ってこなくなります。井波さんのお人柄の影響か、みなさんの元々のキャラクターかは分かりませんが、グループメンバー皆で、他部門の方が話しかけ易い空気を作ろうという意識があるのかもしれません。

モノタロウの法務だからこそ感じるやりがい

ーーモノタロウの法務の特長と他企業の法務との違い、そしてモノタロウだからこそ感じるやりがいについて教えてください

井波:
モノタロウと他企業の違いとして真っ先に挙がるのは、やはり担当業務の広さだと思います。
特に大企業の場合だと、契約書審査や法律相談等の法務業務、株主総会や取締役会事務局等の総務業務、労務相談対応などの労務業務はそれぞれ別の部署が担当していて、単一の部署がまとめて担っているケースは多くないのではないかと思います。それらにすべて関わることができ、さらにSDGsなどの全社的な取組みにも携われるのは、モノタロウの法務が持つ大きな特長であり、魅力的な点だと思っています。会社の成長に伴って、新しい業務も増えますし、手をあげればチャレンジできることもたくさんあります。また、組織の階層が少なく意思決定が早いこと、社長を含めた役員との距離が近いことも、魅力の一つだと思います。近くで経営を感じながら仕事をできるのは、とても刺激になります。加えて、モノタロウ全体に言えることですが、部門間の垣根が低く、全員が一つのチームという雰囲気があるところもいいですね。さまざまな専門性を持つ方と、日常的に関われるのは純粋に楽しいですし、法律以外の知識も増えるので、自身の成長にとってもプラスになっていると思います。

中廣:
現在成長中の企業の法務というのが特長だと私は思っています。モノタロウは成長スピードが速いので、常になんらかの課題が新しく発生しており、それに合わせて法務の仕事内容にも新しいものがどんどんと加わっています。
定型的な業務を繰り返すのではなく、未知の分野にも挑戦していける、またその機会があるのがモノタロウの法務です。同期の企業内弁護士と会話していると、それこそ契約書審査が業務の8割強ということもあると聞きますが、当社は契約書審査は業務の半分以下で、比較的様々な業務に幅広く取り組めているなと感じます。
また、グループ化したとはいえまだまだ法務グループの規模は大きくなく、特定分野に限定されずに、ある程度なんでも取り組むことができます。自分が興味を持っている分野、あるいは専門性を高めていきたい分野があった場合、名乗り出ればチャレンジの機会をもらえます。
会社全体で他者への敬意や傾聴という行動規範が徹底されているのも良いところですね。そういった背景があるからか、法務の意見も尊重していただいているなという印象があります。

ーー中廣さんは入社されて1年が経ちましたが、その中で感じた仕事の面白さを教えてください

中廣:
仕事の面白さとして感じるのは、事業を進めていく上での課題に直結した相談が多いことと、自分の検討結果が事業へどのように反映されていくかが目に見えるところですね。
モノタロウは、事業としては比較的一点集中型ですが、その中でさまざまな取り組みを展開して成長し続けていこうと励んでいます。Slackのチャンネルやメールなどで相談が来るのですが、その内容は毎回異なり、自分の専門外の内容が来ることも頻繁にあります。その時は、未知の分野でも自分で調べたり議論したりして答えを探っていきます。また、朝礼の実績報告やタウンミーティングでの業績説明などで事業の成長を知る機会も多く、自分の仕事がどのように事業に関わっているかを実感できることは素直に嬉しいです。
仕事内容も多様性があり、そこも面白さに繋がっています。弁護士以外の方々と大規模なチームを組むことは新鮮さを感じます。たとえば、現在ですと猪名川の新物流拠点ですね。モノタロウにとって新拠点へ人員をどう投入していくかを、部門を越えてさまざまな方と話し合っています。

ーー法律事務所から企業内弁護士への転職を考えている方向けのアピールポイントはありますか

中廣
企業内弁護士全般に当てはまることかもしれませんが、他の部門にいる専門性が高い人と密にコミュニケーションを取って仕事ができることだと思います。私はこれがモノタロウの良いところだと思っています。モノタロウにいる人たちは、誰もが何かしらの専門性を買われて入社されているので、そういった自分が持っていないスキルや知識を有している方とコミュニケーションをとりながら同じ仕事に取り組むことができるという点は素晴らしいです。
モノタロウはまだ若い企業であり、さまざまな制度・仕組みをこれから作る余地が残っています。そこに関われるのもやりがいに感じますね。

今後目指す姿

ーーモノタロウの法務グループが今後目指す姿を教えてください

井波:
情報の収集・蓄積・活用というプロセスを継続的に回し、法務グループとして、会社の成長により積極的に貢献するというのが、今後目指す姿です。法務グループには社内のさまざまな情報が集まってきますし、また集める必要があります。そのためには、まず、法務グループへの信頼を高め、維持する必要があります。日々、社内の皆さんからいただく法律相談や契約書審査依頼に対して、しっかりとコミュニケーションをとりながら対応する、単にリスクを指摘するのではなく、ビジネスを進めるための方策を一緒に考える、そういった当たり前のことを、今後も一つずつ積み重ねていくことが大切だと思います。次に、わからないことがあれば自分で調べに行く、情報を取りに行く積極性も必要です。当たり前ですが、自席に座っているだけではわからないことは多々ありますので、積極的に他部門、他拠点に行くという姿勢はさらに強化したいです。最後に、収集した情報を見て「これは危ないのではないか」と察することができる感度の高さも必要ですね。感度の高さを持ち続けるために、法務グループ全体で、より専門性の幅を広げ、深めていきたいと思います。
現在、会社の規模が大きくなり、人や拠点が増えるということと、リモートワークの影響でオンラインコミュニケーションが増えた一方、対面でのコミュニケーションが減ったということが、同時に起きています。このように情報収集に関する環境が変化する中で、法務グループとして目指す姿を実現するために、一つ一つチャレンジを積み重ねていきたいと思います。

ーーどんな人と一緒に働きたいですか

井波:
法務グループでは法律や関連知識を日々アップデートしていくことはもちろんですが、他の専門知識を持ったメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、解決策を考えていくことが求められます。なので、好奇心、向上心があり、他者と積極的かつ敬意をもってコミュニケーションをとることができる方と一緒にお仕事できたらいいなと思っています。

ーーありがとうございました!