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デジタルサプライチェーンの先端に挑み続ける!データサイエンティストの話

※本記事の内容は取材時のものであり、組織名や役職等は取材時点のものを掲載しております。

モノタロウの急成長を支える要因の1つに、仕入れからお客様の手元に届くまでの、全てのモノの流れに関わるサプライチェーン・マネジメント部門(以下SCM部門)の存在があります。膨大なデータを活用しながら物流の最適化を推し進めるなど、今後の当社の拡大において非常に重要な役割を果たしています。
今回は、SCM部門でデータサイエンティストを担当する岡本さん・朝倉さん、またインタビュアーとして部門長の田村さんの3名にご協力いただきました!
入社のきっかけからやりがい、部門ならではの取組や内情など、赤裸々にお話いただきました。

(写真左から田村、朝倉、岡本)

田村
まず、改めて、これまでの経歴と入社したきっかけを教えてもらえますか?

岡本
私は前職で人工知能ロボットシミュレーターの開発、スーパーの購買データや工場のセンサーデータの分析などを行ってきました。お客様からデータを頂戴し、それを分析してコンサルティングをしたり、お客様先に常駐して分析や開発を進めたり、といった働き方をしていました。
さまざまなデータ・分析・開発に携わることができ、非常に良い経験になりました。ただ、データ分析はやればやるほど新しい課題や気づきが見つかり、深掘りする必要が出てくるもので、それがITの開発とは異なる点なのですが、お客様の要望に沿っての分析の中で、そこまでの深堀がなかなかできない状況でした。
こういった状況から、自社でデータを扱ってる会社で、腰を据えてデータ分析に取り組みたい、という気持ちが年々強くなり、転職を考えるようになりました。
当社へ決めたきっかけも、膨大な自社データを保有していることに魅力を感じたからです。

田村
前職だとコンサルタントに近い立ち位置でもあった中、自前でじっくり課題解決に取り組みたいという気持ちがあったのですね!
ちなみに、前職での経験で入社後に活きたなと思うものはありましたか?

岡本
需要予測に近いことは行っていましたが、それは在庫管理のためでなく、あくまで販促が目的でした。本格的にサプライチェーンに関わったのは、モノタロウに来てからがはじめてです。
とはいえ、入社してすぐにサプライチェーンに携わったわけではなく、最初はマーケティングの部門で商品検索に関わったり、あとはプライシングなどを行ったりしていました。当時はサプライチェーンを専門に分析している部署はなかったので、物流の在庫の最適化をやってほしいといった要望が出たときに、自身の仕事と並行して取り組んでいましたね。
今では部署として独立し、そちらに呼ばれた形です。

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田村
茨城県笠間市に倉庫が増えたタイミングでサプライチェーン改善への関わりが深くなっていったのですよね。
倉庫が尼崎DCのみだった時代は管理も単純だったのですが、関東の拠点として新たに笠間DCの設立など、複数拠点の在庫管理を一元化する必要が出てきたことが背景にありますし、データ分析の利用領域も拡がりましたからね。

田村
朝倉さんは当社へ入社されて1年ほどですが、朝倉さんの経歴も教えてください!

朝倉
私は医薬品メーカーに勤めていて、生産技術や創薬研究のデータ分析に携わっていました。
前職の分野だとどうしても集められるデータ量が限られ、その少ないものをいかに活かして知見を得るか、という部分にフォーカスしてしまいます。そうではなくて、いわゆるビッグデータを扱いたいと思ったのが転職を考え出したきっかけです。
「ビッグデータ」は有り体に言ってしまえば現在のバズワードでして、それを掲げている企業はかなり多いです。しかし、ビックデータを有効活用して利益につなげることはかなり難しいため、投資段階で頓挫してしまう企業も少なくありません。
しっかり投資して利益を出し、その利益を使って再度投資する、このサイクルが成功している企業はどこだろうかと探している中で、モノタロウが目に留まりました。

田村
実際に入社してみて、その印象はどうでしたか?

朝倉
間違っていなかったなと感じています。
特にモノタロウはデータ分析が意思決定に与える影響が大きく、自分の裁量も非常に大きいのでやりがいがあります。
また、分析は100%成功するわけではないですが、失敗したとしても、どこが悪かったのかをきちんと検証して次回につなげる流れができているのも好印象です。

岡本
私もデータドリブンの文化はかなり驚きでしたね。
もちろんそういった文化が根付いていることは入社前から聞いてはいましたが、実情は想像を超えていました。
データ分析の現場は、時にトップダウンでアナリストはあくまでも参考指標止まりだったということも往々としてあるものですが、データドリブンの文化があるモノタロウだと、分析が意思決定に与える影響がはるかに大きいです。要はデータとして根拠を出せれば誰にでも意思決定に大きな影響を与えるチャンスがあるということですね。
自分で分析して自分で周囲を巻き込み行動して自分で改善する、そして結果が数字でダイレクトに見られて、それがモチベーションになってまた改善しようと思える、良いサイクルができあがっています。

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「自由に意思決定し、ダイレクトに現場に反映される環境」

田村
お二人が、サプライチェーンのデータサイエンティストとして働く中で、やりがいや面白さを感じたのはどんな時でしたか?

朝倉
入社理由でもお話しましたが、モノタロウで扱うデータ量は前職の比にならないほどに膨大です。当然やれることの選択肢が広くなるので、そこに面白さは感じています。
ただし、前職では発生しなかった時間的・メモリ的制約があるのも事実ですね。たとえば、倉庫にある在庫だけでも数十万点あるので、それらの過去の売り上げをデータ化するだけでものすごい量のデータになってしまいます。また、毎日決まった時間までに予測結果を出さなければいけないようなシステムでは,データの抽出範囲や前処理にひと工夫必要だったりもします。
データ量が多い会社特有の試行錯誤は必要になりますね。大変なところではありますが、やりがいを感じるポイントです。

田村
限られたデータ量を活かして知見を得るのと、膨大なデータを処理するのとでは、やはりデータサイエンスの技術としても違いが出てくるのでしょうか。

朝倉
技術としての違いももちろんありますが,働き方や役割の違いを感じることが多いですね。
データ量が少ない・十分に整っていないところだと、データそのものを手に入れるための活動、いわゆる社内調整も業務の一つになってきます。
モノタロウは膨大なデータがあるので、基本的にその必要がなく、本質的な分析に専念できているなと感じます。

田村
私も中途入社なので、朝倉さんの仰っていることすごくわかります!

当社の場合、データ基盤は専門のグループがきちんと管理してくれていて、分析しやすい環境が本当に揃っていますよね。逆に、データサイエンティストとしては、その分析能力、課題解決能力が問われますね。

朝倉
あと印象的だったのは、実際に倉庫の現場を見学したときですね。改めて現場を自分の目で見て、「こんなに大きな現場で使われるロジックを自分が作っているのか」としみじみ思いました(笑)
自分が関わったものがシステムや意思決定など、何かしらの成果物として形になり、現場に反映されていくときにはやりがいを感じます。
モノタロウは年次に縛られない企業文化があるので、能力さえあれば入社してすぐから結果を残すことも可能です。

岡本
私はやはり、入社してすぐからさまざまなことにチャレンジできたのが面白かったと思っています。
プライシングや需要予測などさまざまな分野に携われて、しかも裁量が大きい中で自由に取り組めました。

田村
なるほど!自由に取り組めた、とのことですが、実際に岡本さん自身がやりたいことやテーマを、どのようにして見つけていったのでしょうか?

岡本
その時々でパターンがありますが、とりあえずデータを見て、その後に全体を見て、次に細かいところを見て、疑問に思うところがないかを探しますね。
それが見つかったら「なんでこうなるのだろう」と分析したり調べてみたりして、改善できそうなところがあれば「じゃあどうすればいいか」を考えます。つまりは目的がまずあって、その目的に対してどうアプローチするのか、を考えていく感じですね。
立てた仮説がその通りだったときはやはりテンションが上がりますし、だから仮説検証しているときがとても楽しいです。
あとは、機械学習をプログラムし、精度が上がったときも楽しいです。

朝倉
その感覚わかります!最近在宅も多いので、家でいい結果がでたとき「ヨシッ」とかいっちゃいませんか?

岡本
言ってますねー。朝倉さんもだったんですね(笑)

田村
お二人の姿が目に浮かびます!
いま機械学習というワードが出ましたが、実際に当社で機械学習をサプライチェーンマネジメントの領域に取り入れるようになった時のことを教えてください。

岡本
以前から外部の仕組みやツールを使って機械学習を活用していたのですが、データサイエンティストを採用して自社開発に力を入れ始めたのは、私が入社した2015年頃からですね。
現在、需要予測ではがっつりと機械学習を取り入れていて、あと商品検索やレコメンドでも活用しています。

田村
機械学習を実オペレーションにここまで導入しているのは、デジタルサプライチェーンの領域ではかなり先端に挑んでいると思いますね。

ちなみに、仮説検証と機械学習の使い分けを詳しく教えてください。

岡本
基本的には別なのですが、この課題を解決するには機械学習が使えるのでは、とは常に考えつつ仮説を検証しています。
つまり、機械学習は出口に近いですね。仮説を検証して予測を立てて、このモデルを達成するには機械学習だなと。

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「データ分析と実働部隊両方の観点が必要になる面白さ」

田村
SCM企画グループならではの特徴や取り組みを教えてください!

岡本
在庫の数量や配置、入荷や出荷の最適化などの課題は多くの部署にて共有していますが、データを分析し機械学習も取り入れてそれらの課題を解決しようと動いているのはおそらくSCM企画だけなのではと思います。

田村
なるほど。社内でも唯一の取組み、ということですね。
ちなみに、需要予測を機械学習で行うというのは自然な流れだったのでしょうか。

岡本
実は、機械学習を取り入れようという話は前々から上がっていました。それまで過去の実績データの単純平均を使って予測していたのですが、それに機械学習を絡めたらより精度が上がるのではないか…と。
始めるタイミングを見計らっていたときに、ちょうど私がSCM企画グループに異動してきて、じゃあやりましょうとなった具合です。やはり、しっかりと機械学習をやろうとするとチーム専門のデータ分析部隊が必要になってきますからね。

朝倉
あとは、データ分析と実働部隊両方の観点から仕事を進める必要があることも、SCM企画の特徴だと思います。
たとえば、私たちとしてはまず「欠品率を下げる」という目標があるわけですが、一日に入ってくるものの量や体積、現場のキャパシティなど、実際の現場だとさまざまな制約条件が絡んでくるのです。もちろんマーケティングとしての分析でも制約条件がないわけではないですが、需要予測の場合はパターンが複雑に存在して、その条件が満たされなかったときのリスクが大きくなる、だから考慮しつつ仕事を進める必要があるのはSCM企画の特徴だと感じています。難しいところではありますが、技術的に面白いところでもあります。

田村
ありがとうございます。サプライチェーンならではの制約があるからこその面白さ、ということですね!


「信頼されるデータを出し続け、伝えていく」

田村
逆に、お伺いしたいのが、モノタロウで働く中で「ここは課題だな」と感じたところはありますか?

岡本
そうですね。現在モノタロウはどんどんと成長していて、社員数も増えていますが、その巨大化に耐えられる仕組みがまだ完全にはできあがっていないなと思っています。
人が増えるにつれて内部の仕組みもどんどん複雑になってきているのですが、それに合わせて調整するのが昔より難しいです。ここを変えたらこんなところに影響が及ぶ、というのがどうしても出てしまうのが現状ですね。

朝倉
それは私も感じていまして、だからいかに汎用性の高いシステムを作れるかが問われていると思います。複雑化したからと都度マイナーチェンジしていてもきりがないですからね。
将来もっと大きくなることも踏まえたうえで、いかにシステムを設計していくかというところは一つの課題でしょう。

田村
仰る通り、事業と組織の成長に併せて仕組とフローを作っていく必要性がどんどん上がっていますし、そこは部門として取り組んでいきたいです。
では、今後に向けて実現したいこと・目指していきたいことがあれば教えてください!

岡本
ほかの部署の方にもっと機械学習を信頼してもらえるようにしたいですね。やはり、どうしても機械学習の予測のみに一任する、ということはまだ難しい状況にあるので、そうでなく他部署の方々が「SCM部門に任せておけば安心」と自然に思えるようにもっと頑張りたいと思います。特に現場の人たち、倉庫の人たちにとって、需要予測はブラックボックスになりがちなので気を付けたいところです。
機械学習はどうしても予期せぬ挙動をすることがあり、いきなり入荷が増えたりということが稀にあったりします。そういったことが増えると、なかなか現場の人たちから信頼されなくなってしまいます。

田村
今の時点で、現場から信頼されるために行っていることはありますか?

岡本
これはもう、信頼されるデータを出し続けることに限りますね。そして、それをしっかりとほかの方々にも伝えることが重要かと思います。
あと、おかしなことが起こっていないかは常にチェックするよう心がけています。

朝倉
私としては、SCM分野・サプライチェーン分野の技術の情報発信に取り組みたいと考えています。
たとえば、商品推薦や商品検索といった分野では論文が出ていたり学会でも中心的に取り上げられていたり、企業ブログなどで成果を公開していたり、情報を共有する流れができています。一方で、SCM分野・サプライチェーン分野はまだそれに乏しいのが現状です。
なので、少しスケールが大きな話にはなるのですが、この分野をモノタロウが引っ張っていけるように、組織として専門性をもっと高めていきたいと思います。そこで得た知見を他のサプライヤーさんにも還元出来たら良いなと思います。

田村
ありがとうございます!私も、当社がこの分野で先端的なモデルになることに挑み続けたいと思っています。
ぜひ我々でSCM分野をもっと盛り上げていきましょう!

田村
最後に、お二方がモノタロウの環境に合っているなと思う人や、逆に向いていないなと思う人を教えてください。

岡本
向いていないかなと思う人は自分で考えて改善や提案するのが苦手で決められたことだけをやる人ですかね。

朝倉
モノタロウに向いている人で言うと、自走出来る人だなあと思っています。


田村
あ~!それは大事ですね!

朝倉
やりたいことがあったけどなかなか実現できていない、という人にとって、モノタロウはとても良い環境だと思います。自分で走りたいんだけどひたすらにブレーキをかけられてきたような人なら特にですね。

岡本
まさにその通りですね。自分で考えて、なんでも自分で手を動かしていける人、いろいろとチャレンジしていける人なら楽しく働けると思います。

朝倉
あと、加点法で考えられるかどうかは重要ですね。いろいろチャレンジするとうまくいかないことが絶対に出てきてしまうのですが、そのときに駄目だ駄目だと考えるのではなく、プロセスが正しかったならそれを次に活かそうと動けるかどうか。
結果が芳しくなかったとしてそれで責められるような場所ではないので、果敢にチャレンジしていくことが大切だと考えています。

田村
つまりは、自走できて分析が好きな人なら適しているということですかね?
SCMの経験の必要性はどうでしょうか?

朝倉
もちろんSCMの経験はあったらあったほうが良いですが、それが必須ということはなく、むしろ入社してからの勉強のほうが重要です。
それを厭わずにできるか、むしろ楽しめるかどうかが大きいと思います。

田村
二人とも、ありがとうございました!
モノタロウでは、デジタルサプライチェーンの先端に挑みけていますし、その挑戦を一緒に楽しみたいという方と一緒に働きたいですね。


今回、初の取り組み(!)として部門長の田村さんにインタビュアーをお願いしました。いかがでしたでしょうか?SCM企画Gの取り組みから実情まで、赤裸々にお伝えできていれば幸いです。
田村さん、朝倉さん、岡本さん、ご協力ありがとうございました!

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