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扇風機の歴史と機能 ~家電製品の基礎知識~

扇風機は安価で省エネな家電製品であり、手軽に使用できるため、暑い季節には欠かせないアイテムです。最近では羽根がない扇風機も登場したり、遠隔操作やタイマー機能など様々な機能もつくようになりました。今回はそんな扇風機について解説していきます。

扇風機の歴史

扇風機の前身はうちわや扇であり、古い中国の絵には、高官が美女や近侍に大扇(おおおうぎ)をあおがせる姿が描かれています。江戸時代から明治時代にかけ、「うちわ車」が絵に見受けられるようになります。

偐紫田舎源氏七編下

明治18年(1855年)には特許第12号“納涼団扇車”として記録されており、現在の扇風機の姿にかなり近い形の手動式扇風機のようなモノが各地に実存しています。

狩野養信, 他 江戸時代の扇風機(団扇車)

現在のように電動機を用いた、扇風機が登場したのは1880年代末であり、エジソンにより直流電動機で羽根を回すものが発明されました。
交流電動機を用いた扇風機が初めて日本に輸入されたのは、明治26年(1893年)で、アメリカのウェスティングハウス社製のものであり、日本では1894年、東芝の前身会社であった芝浦製作所によって、国産第一号の頭部に電球をつけた日本初の電気扇風機が生まれました。直流エジソン形電動機の頭部に電球をつけ、6枚羽根を使用したものであった。スイッチひとつで電球が灯り、同時に風が出るという扇風機の出現は話題となります。

東芝未来科学館

しかし当時は価格が高く、アメリカやドイツなどの輸入品が主流でした。大正3年(1914年)の第一次世界大戦の影響で海外からの輸入品が途絶え、交流扇風機の大量生産計画が立てられ、技術者をアメリカに派遣。しかし当時、既に日本の技術は確立されており、実際にはあまり学ぶ部分が無かったようです。大正5年(1916年)には量産化が確立された。

昭和に入り、扇風機は性能・デザイン・ラインナップの充実で一段と発展し、メーカー間の競争も激しくなり、昭和12年(1937年)には推定普及台数70万台となりました。

マーツ電気扇(1936年[昭和11年])自動首振型電気扇

戦後の昭和26年(1951年)には扇風機を売るにもアイデアを求められるようになり、香料容器をつけたものやミラーをつけたものなど様々なアイデア扇風機も登場。翌年、扇風機各部のプラスチック化が本格的に検討され始め、ベースの材質は小型扇はプラスチック製、大型扇はアルミダイキャスト製が一般的になった。そこからは風そのものを出す機能は変わらないものの、時代に応じ、変化を遂げながら今に至ります。

アースリボーンUSB扇風機「LED 時計&温度計 USB扇風機 er1007」

現代の扇風機

大きく分けて4タイプあります。

◆リビング扇
一般的な形を採用した扇風機が「リビングファン」です。上下左右の可動域が広いので、リビングやダイニングなど、広い部屋で使用する場合におすすめです。各メーカーから多くのモデルが販売されており、価格帯が幅広いのもポイント。価格が高めのハイグレードモデルは、より自然な風を発生させる機能や立体的な首振りなど機能性に優れています。リビングファンは高さを調節できるタイプが一般的です。また、モデルによって羽の枚数が異なり、羽の枚数が多いモデルほどやわらかく滑らかな風を送れます。

◆タワー型
羽根付き扇風機より省スペースで設置でき、スタイリッシュなデザインの「タワーファン」。羽がないので子供がいる家庭やペットを飼っている方にも適しています。最近は凝ったデザインやおしゃれな色使いのタワーファンも登場しており、インテリアにこだわる方にもおすすめです。

◆USB扇風機
パソコンやモバイルバッテリーなどに接続し、手軽に使用できる「USB扇風機」。省スペース性に優れたコンパクトな商品も多く、自宅やオフィスなどのデスク周りで重宝します。スペースさえ確保できればあとは設置するだけで使用できます。

◆クリップ式
デスクや本棚などに取り付けられる「クリップ扇風機」。オフィスや洗面所など、狭いスペースでも手軽に設置できるのがメリットです。

ACモーターとDCモーター

扇風機にはAC(Alternating Current)とDC(Direct Current)の2種類があります。AC扇風機は、電源から供給される交流電流を使用して動作します。交流電流は、電流の方向が定期的に変わるため、モーター内のコイルが磁界を生成し、これによってローターが回転します。一方、DC扇風機は、直流電流を使用して動作します。直流電流は、電流の方向が一定であるため、回転するために必要な磁界を作り出すためにモーター内に内蔵された永久磁石を使用します。DC扇風機はAC扇風機よりも静かに効率的に動作します。

一般的に、家庭用の扇風機はAC扇風機であり、車やキャンプなどの屋外で使用する場合には、DC扇風機がよく使用されます。ただし、近年では、省エネルギーと静音性の向上により、DC扇風機の需要が増えています。

◆ACの平均W数
50Hz地域で約10~35W
60Hz地域で約12~37W

◆DCの平均W数
50Hz・60Hz地域ともに1.5~20W
圧倒的にDCの方がW数少ないのが特徴

【比較表】ACモーターとDCモーターの違い

まとめ

扇風機は、各メーカーにより特徴も異なります。特に2023年は節電の傾向が高まると思います。選ぶ際には自分の生活にあった扇風機を選び、快適な夏を過ごせるようにしましょう。

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