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TASCAM Portacapture X6

◉ハンディ・レコーダーに求める条件

僕はハンディ・レコーダーによるフィールド・レコーディングをするようになってもう20年近く経ちますが、その間ずっと手のひらサイズのモデルを好んで使ってきました。理由は、可搬性や手軽さを重視していたから。いつでも持ち歩いて、気になった音があったらスナップ写真を撮るようにパッパと録っていく録音スタイルが好みなので。各録音は1〜3分、長くて7分程度。目的が音環境のアーカイブというよりは、音楽作品で使う素材の収集や、映像作品の効果音用なので、自然とこうなりました。けど、小型モデルは可搬性に優れてるけど、性能的に不満な点もあって。一番はS/N……つまり、無音時のヒスノイズの少なさですね。あとは、32bit float録音への対応。ハンディ・レコーダーにこそ32bit floatが絶対に必要だと、ずっと言い続けてきたので。これに加えて、マイクを内蔵していること、そして持ち歩きが苦にならない程度には小型であることがマストでした。あとは、外部入力としてXLRが付いてると、簡易的なピアノ録音の時に便利だなと。これらの条件を満たす製品が何年経ってもなかなか出てこなくてヤキモキしてたんですが、TASCAMさんがついにやってくれました!Portacapture X6が発表された時にはめちゃくちゃ興奮しましたねw そのちょっと前に仕事で顔を出したVIDEO SALON(玄光社)のイベントで、TASCAMの営業部の方と既発売で上位モデルにあたるPortacapture X8について「もうちょっと小さいのが欲しいんですよねぇ」なんてお話ししていたので、すぐに連絡したら、お待ちしていましたと言わんばかりのご対応で、すぐにX6の実機をお借りできることにw それと同時に、VIDEO SALONのWebサイトでレビュー記事を公開しないかと編集部から打診があったので、一も二もなく快諾。折しも作曲やMAの仕事が一段落したところだったので、リフレッシュを兼ねてお気に入りの海や山へ出向き、結果、このような長大な記事にまとまったのでした。

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ということで、期待通りの製品だったX6ですが、記事内でも触れた通り、振動対策は必要だなと。そこで、正式導入を機にこれの対策に乗り出しました。

◉ショックマウント(サスペンション)の導入

まず、真っ先に思いついたのがレコーダー用のショックマウントの導入でした。調べたところあまり製品数がなく、BOYA、OLYMPUS、Rycoteくらいしか発見できませんでしたね。Rycoteのものが一番スマートだったんですが、他2社のものの2倍くらいのお値段だったので、とりあえず試すなら他のやつでいいかなとw


Rycote Portable Recorder Kit

BOYAとOLYMPUSは、おそらく同じものなのかな?見た目そっくりだったので、販売価格の安かったOLYMPUSのものを購入しました。

ただ、やはりというか、これだけでは問題は解決しなくて……。先述の通り、僕はパッパと録音していくのが好きなので、グリップを握って手持ちで録音することも多いので、そうなるとどうしても握る手に力が入ってしまい、微動だにしてないつもりでも、ほんのわずかな指の関節の動きの振動も伝わってしまうんですよね。その振動は、ショックマウントでも完全には防げないことが分かりました。

◉さらなる工夫

そこで思いついたのが「握らずに持つ」という方法w

親指と人差し指で輪っかを作り、そこにレコーダーを乗っける感じ。指は決して握り込まず、腕全体で衝撃を吸収するように保持する方法を思いつき、それを実践してみたところ、気になってたハンドリングノイズをほぼほぼ抑え込めました!!このテストの時に唯一防ぎきれなかったのは、山の斜面を下りながら録音した時でしたね。静止時と、平地を歩きながらの録音では問題なかったです。ただし、めっちゃ腕が疲れます(苦笑)。腕立てして筋力アップを図るのが次の対策ですかねww

まぁなんだかんだ言って、しっかりと録りたい時は、安定したところに設置して、自分もレコーダーから離れて遠隔操作するのが一番です。長回しするときは特に。手持ちの場合だと振動もさることながら、呼吸など人体が発するすべての音が入らないようにしなければならないので、身体的に大変。僕は長年の修行(?)の末にそのテクを身につけましたがw、やはりマイクから離れるのが一番確実ですね。何より楽だしww

◉まとめ

レビュー記事でも言いましたが、TASCAM Portacapture X6は僕が求めるものすべてを備えたレコーダーでした。音質的にも素晴らしく、レビュー用のテスト以降に録った音でも立体感のある音が録れたりして、心底買って良かったと思ってます♪ 多少気になった部分もありましたが、そもそも万人にとって完璧な製品なんてありえないですよね。その辺は上記のように創意工夫でなんとかなったりするので、自分なりの使いこなし方を探す努力は怠るべからず!ですね。

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