Brainworx bx_console N & more…
Brainworxはドイツのプラグインメーカー。様々なハードウェアメーカーと協力して魅力的な製品を出してますが、最近洪水によって会社が浸水し、多大な被害を被ったそうで……。今回紹介するプラグインも、自社スタジオに置いてある大型コンソール、NEVE VXSを忠実にモデリングしたものですが、この実機も被害を受けて手放してしまったそうです😢というワケで、メーカーへの募金も兼ねてこのプラグインを導入してみました♪
Brainworxは「TMT Channel Strip」というシリーズを出していて、確かこのconsole Nは、その一番最初の製品だったと思います。TMTというのは、モデリング元の実機が持つ各チャンネルの微細な音の違いをも忠実に再現するというもので、DAWの全トラックにこれを挿してTMTのチャンネル番号を全て違うものにすれば、実機を完全再現できると言うわけです。実はリリース時(もう数年前かな?)にデモ使用してみて気に入ったものの、その時は導入を見送りました😅けど、今回改めてデモってみてすごくしっくりきたのと、洪水被害の支援セールでかなり安くなっていたので、迷いなくポチッちゃいましたね(笑)
このシリーズは他にもSSL 4000E、9000J、Focusrite、AMEK 9099、あとはLindell AudioブランドからもTMTを採用したLindell 80(NEVE 80コンソール)、Lindell 50(APIコンソール)がリリースされるなど、コンソールの名機たちをモデリングしたものがたくさんあって、いずれもPlugin Allianceで販売されてます。実は僕もLindell 80とFocusriteは持ってまして。
左からbx_console Focusrite SC、Lindell 50(デモ版)、Lindell 80。
この画面は愛用の2つと、当時新製品だったLindell 50を比較しているところ。
Lindellの2製品に関してはチャンネルストリップ以外にバス用のプラグイン(EQやコンプ がなく、音を通してアナログ感を付加するもの)が付属してるのと、オーバーサンプリング機能搭載という違いはありますが、いずれも実機をよくモデリングしていると思います。個人的には実機のAPIの音が好きで、このLindell 50もすごく良かったのですが、このシリーズは結構値段高めなので安くなるの待ってるところです(笑)
最初に買ったLindell 80 Seriesは、EQを1073と1081とで切り替えられるし、まさにオールドNEVEとといった感じ。ただ、コンプのかかり方が現代的ではないので、MAでナレーションやダイアログの音作りをするには、EQ含めてちょっとキャラが付き過ぎる感じなんですね。なので、基本的には音楽制作の時に使ってます。ちなみにオーバーサンプリングを上げていくと、どんどん音の精度が上がっていく感じがしますが、その分CPU負荷もガンガン上がっていくので、うちのMacBook Pro(Late 2013)ではキツイですね😅
Focusriteは同じくニーヴさんが設計したコンソールですが、いわゆるオールドNEVEとは全くの別物。EQやコンプはもう少し現代的で、特にEQはかなり細かく音を作り込め、その質感も繊細にして滑らか。仮にLindell 80と同じような値に設定してもかなり上品な仕上がりになります。個人的に気に入ったのはディエッサー。かけたい周波数だけをソロで聴けるので、シビランスを的確に制御できます♪ すごく気に入ったものの、MA用としてはEQでの音作りがなんか馴染めなくて……。なんて言うか、上品になり過ぎちゃうんですね。なので、結局MA仕事ではWAVESのCLA MixHub(クリス・ロード・アルジ監修のSSL系コンソール)を多用してました。やはりSSLは使いやすいので。
で、今回のbx_console Nです。これはNEVE VXSコンソールのモデリングですが、正直、VXSの音を僕は知りません😅まぁ数台しか作られてないので知ってる人の方が少ないと思いますが(笑)。けど、オールドNEVEとAMS NEVE 88RSの中間に位置する現代寄りのNEVEコンソールとのことでMAにも期待できるかなと思って試してみたら、これがドンピシャ!EQでの音作りがとてもしっくりきます♪ 特にMid-Hiで3kHzあたりの耳障りなピークをカットしつつMid-Loで1kHz周辺を充実させ、Loをベルにして200〜400Hzあたりのダブつくあたりを抑えてやると、芯があって抜けの良いナレーションが作れますね!フィルターもHPFだけでなくLPFも装備してるところがポイント高いです。そしてコンプがとても使いやすく、SSLのコンプよりもしっかりとダイナミクスを制御できるので、VUメーターの針の動きが安定しますね😁
余談ですが、最新(2021年8月現在)のAMEK 9099もデモってみましたが、これもかなり使いやすいです!V Gainを上げたときの明るく艶っぽくなる感じは結構好み。まぁMA用途ではV GainやTHDは、マイナス方向にすることはあるかもですが、プラス方向にはまず使わないですけどね。歪みっぽいナレーションは好きではないので。
今回、console Nを買う時にこのAMEKと迷ったんですが、console Nの方が中域のガッツを出しやすかったのでそちらを選びました。まぁ$29.99と激安だったというのもありますが😆
ちなみに、これらbxやLindellのチャンネルストリップには先述のV GainやTHDというツマミが付いていて、これらでアナログ的な歪みやノイズを足せるのも特徴です。音楽制作ではちょっとドライブさせてガッツを出したりするのに有効ですね♪
あと、これらの製品に共通する改善希望点としては、パラメーターの数値入力に対応させて欲しいかな(もしかして数値入力する方法があったりする?)。WAVESみたいにダブルクリックで数値入力になってくれると嬉しいけど、フィルターなんかはダブルクリックでPull(ツマミ引き上げで機能ON)だったりするから難しいだろうな。。。
あとがき
個人的にチャンネルストリップが好きでいろいろ試したり買ったりしてますが、正直、もう増やしたくないなとも思ってます😅気に入ったものを使い込むのが好きなので。もちろん、それぞれにキャラがあるので、複数を使い分けることはしてますが、無駄に選択肢が多いのは弊害の方が大きい気がしますね。とは言え、CD全盛の90年代後半から音楽制作に足を踏み入れた身としては、いまだに巨大なコンソールに対する憧れみたいななものがあったりするので、今後買い足さないとは言い切れませんね😆
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