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夏の暑さは幻を見せるのかもしれないと感じたこと。

蝉の鳴き声が耳に響く。
錯覚だろうか。
最近、暑い日が続いている。何かをしようとしても、この暑さではどうしても気が乗らない。

ぼんやりと日陰でサイダーを飲みながら休んでいると、にぎやかな声が近づいてきた。
子どもたちの声だ。じりじりと照る太陽の下で、楽しそうに駆け回っている。

僕の前を通り過ぎる子どもたち。その肌は皆、黒く焼けている。
自分も幼い頃はこんな風に夏の空の下を駆け回っていたのだろうか。思い出せないが、幼い頃からこうだった気がする。

子どもたちの声は再び遠くなり、角を曲がりその姿が見えなくなるとともに消えた。
気が付くと、蝉の声も聞こえなくなっている。やはり幻聴だったのか。
あの子どもたちの姿さえも、幻覚だったのではないかと思えてくる。夏の暑さは、そんな幻を見せるのだろうか。

サイダーはぬるくなり、炭酸もほとんど抜けてしまっていることに気づく。
それを飲み干し、炎天の下にふたたび身をさらす。
まだ夏ではないというのは本当なのか。
憂鬱になりつつ、帰路についた。

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