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クズ×ヒモ×ジャンキー バーに行く(4:0:0)

「今日!この店に居合わせた4人のクズに乾杯!!」
 
ジャンル:コメディ
上演目安時間:25分〜40分
登場人物:男×4(演者性別不問)
注意事項:飲酒、喫煙描写があります。
(未成年演者の方はご注意⚠️)
(大人の方は飲みながら吸いながら、ご自由に)

柴田:柴田克樹(しばたかつき)シンプルクズ
甲斐:甲斐裕樹(かいゆうき)自称元ヒモ
土佐:土佐源生(とさげんき)アルコールジャンキー
久我:久我賢一(くがけんいち)普通…と思いきや?

※タイトルコール「×」は読まなくてOKです!


「クズ×ヒモ×ジャンキー バーに行く」

0:カランコローン。扉が開く。
久我:「いらっしゃいませ」
柴田:「どおも」
久我:「うわぁ…柴田さんだ」
柴田:「うわぁって何よ」
柴田:「客に対してひどいんじゃない?」
久我:「普通の客ならそうだけど…」
0:柴田に続いて入店する甲斐
甲斐:「BARケンちゃん…お、お邪魔します…!」
甲斐:「ってうわぁ〜ものすごい入りづらい店!」
柴田:「こっちも初めての店でうわぁって言うのね」
甲斐:「あ…っ!」
久我:「ははっいらっしゃいお二人さん」
久我:「お好きな席にどうぞ」
0:カウンター席に座る二人
柴田:「ふー」
久我:「柴田さん、随分久しぶりじゃないか」
久我:「勝った?」
柴田:「うん」
久我:「玉の方?馬の方?」
柴田:「タマの方。どんどんじゃらじゃら~」
久我:「お〜。相変わらずよくやるねぇ」
柴田:「まぁね」
久我:「それに、ツレがいるなんて珍しい」
柴田:「ああ…」
甲斐:「はじめましてマスター」
甲斐:「俺、甲斐っていいます」
久我:「甲斐さんね、はじめまして」
久我:「私はここの店主の久我です」
久我:「よろしくね」
甲斐:「はい。よろしくお願いします」
甲斐:「あっ、さっきはすみません、つい…」
久我:「ああ、いえいえ」
久我:「確かにうちはイチゲンさん入りづらいだろうし」
柴田:「え?そう?」
久我:「柴田さんじゃ参考にならないな」
柴田:「なんでよ」
久我:「だって、逆に入りにくい店なんてある?」
柴田:「うーん…。ないけど」
久我:「ほら」
甲斐:「ツラの皮があついですもんね」
柴田:「失礼な。懐が広いっていってよ」
甲斐:「まぁ、広くても寂しい懐ですけどね」
柴田:「それはそう」
久我:「…なんか甲斐さんって、見れば見るほど柴田さんの知り合いに思えないね」
久我:「身なりもきちんとしてるし…顔がいい」
柴田:「どゆことケンちゃん」
久我:「柴田さんとは真逆ってこと」
柴田:「きっぱり言うじゃん」
甲斐:「はははっ!マスター、面白いですね」
久我:「それはどうも」
久我:「さて二人とも、お飲み物は?」
柴田:「俺はビール」
甲斐:「じゃあ俺は、ジントニックで」
久我:「はい、ビールとジントニックね」
0:お酒を作り始める久我
甲斐:「へー、座ってみると意外と落ち着く店内…っていうか俺たち以外、お客さんいませんね」
柴田:「この店はいつ来ても貸切みたいなもんよ」
甲斐:「土曜日の夜なのに」
柴田:「本当、よく商売続けられてる」
久我:「物好きなお客さんのお陰で何とかね」
甲斐:「俺、こんな所にバーがあるって知りませんでした」
柴田:「表に小さいネオンの看板一つしか出してないから気付かないよね」
甲斐:「はい、柴田さん良く見つけましたね」
柴田:「まぁたまたまね」
甲斐:「へぇ」
甲斐:「ここはもう長く通ってるんですか?」
柴田:「え?あー…うん。まぁ、適当に」
久我:「なんやかんや、もう5年くらいだっけ?」
柴田:「多分そんな感じ」
0:柴田、煙草を吸い始める
甲斐:「5年かぁ…結構長いですね」
久我:「まぁ頻度はまちまちだけどね」
甲斐:「あぁー柴田さんっぽい」
柴田:「どーゆーことよ」
久我:「柴田さんって来ると面倒なんだけど、来なくなるとどこかでのたれ死んでるんじゃないかな〜…とか考えちゃうんだよねぇ」
甲斐:「うんうん」
柴田:「もしもーし…」
久我:「大酒飲みで煙草は吸うし、ギャンブル大好き借金まみれ、その上、女の子の店に目がないどーーしようもないクズだけど、なんか妙に放っておけないしさ」
甲斐:「あーーわかります!!」
甲斐:「本当にどうっっしようもないクズだけど、何故か憎めなくて…つい面倒みちゃうんですよね」
甲斐:「悪い男に引っかかった女の気持ちというか」
柴田:「ねぇそれさ、ヒモの甲斐君が言う台詞ではないよね?」
甲斐:「だからそれは元、ですよ!元!」
久我:「え、甲斐さんがヒモ?」
甲斐:「あ〜ははは!まぁ色々あって、今は柴田さんの家にいて…」
久我:「え?!柴田さんと同棲?!」
甲斐:「どどど、同居です同居!一時的な!」
久我:「あ、あ〜ははは、だ、だよなぁ。ははは」
柴田:「ねーケンちゃん、ビールまだ?」
久我:「ああ、そうだった」
久我:「はい。先に甲斐さんのジントニック」
甲斐:「ありがとうございます」
甲斐:「あ、マスターも何かどうぞ」
久我:「おっどうも」
柴田:「気がきくねえ」
甲斐:「まぁこれくらいは」
久我:「はい、柴田さんビール」
柴田:「うぃ」
0:全員がグラスを持つ
甲斐:「よし。揃いましたね!」
甲斐:「じゃあ、みんなで乾杯しましょう!」
柴田:「うーい」
甲斐:「かんぱーーい!」
柴田:「かんぱ~い」
久我:「乾杯」
甲斐:「ごくっごくっ、はーーッうまいっ!」
柴田:「あ〜〜染みる」
久我:「ふーー。仕事中に飲む酒はたまんないな」
柴田:「最高のやつじゃん」
甲斐:「マスターお酒強そうですもんね」
久我:「んん?まぁたしなむ程度に、ね」
柴田:「うさんくさい」
久我:「柴田さんには言われたくないな」
甲斐:「ははっそれは確かに」
柴田:「えぇ?」
甲斐:「あ、でも意外でした」
甲斐:「柴田さんにいきつけのバーがあるなんて」
柴田:「俺だっていきつけの一つや二つくらいありますよ」
甲斐:「えぇ?いつものセンベロか、コンビニのお酒以外を飲んでるの、はじめて見ましたよ?」
0:かっこつけて煙草の煙を吐く柴田
柴田:「甲斐君…。大人の男は誰しも心に、マイ・バーを持ってるんだよ…」
甲斐:「マイ・バー…」
久我:「…なんてかっこつけて言ってるけど、単にうちが柴田さんの行動範囲内にあって、店内で気軽に煙草が吸えるからでしょ?」
柴田:「まぁ…。そうとも言うかもしれない」
0:笑いながら灰皿に灰を落とす
甲斐:「最近は喫煙者の肩身が狭いですもんね」
柴田:「そーなのよ」
甲斐:「それに柴田さん、色んな店から出禁にされてそう。あーそれで行き着いた店がこことか?」
柴田:「……甲斐ちゃん俺の事なんだと思ってる?」
久我:「はっはっは、ツケを払ってくれなきゃそろそろうちも出禁だよ」
柴田:「うへぇ…」
久我:「そういえば2人はどう言う知り合いなの」
久我:「さっきチラッとヒモとかなんとか聞こえたけど…」
柴田:「あ〜…甲斐ちゃんがお財布の女の子に浮気を疑われて、命からがら逃げてきた所を匿ったっていう仲だよ」
久我:「甲斐さん、本当にヒモなんだ…」
甲斐:「元、ですよ…!元…!」
甲斐:「それに、柴田さんの家にきたのは、この人が俺に貸しがあるからで!あくまで一時的ですから!今は引越し先を探してて!」
久我:「…次の、お財布ちゃん…?」
甲斐:「マスター!そんな目で俺を!みないでください!」
柴田:「事実じゃん」
甲斐:「違いますよ!ただ恋人ができると、何故か毎回そうなっちゃうだけで」
柴田:「どんな人を恋人にするかは選べるもんねぇ」
甲斐:「もー!初対面のマスターに次々ヒモ情報与えないでくださいよ柴田さん!!」
久我:「ま、まぁ、甲斐さんカッコいいし…若気のいたりを今のうちに経験しておくのも、ウン、悪くないんじゃないかな」
甲斐:「物凄いフォローされたー…!」
柴田:「胸にささる必死なフォローだなぁ」
久我:「まぁでもほら、甲斐さんは現状ヒモには戻らないようにしてるけど、柴田さんはもう諦めムード満々でしょ、流石にまずくない?」
柴田:「俺に矛先むけちゃうか」
甲斐:「ですよね!」
甲斐:「柴田さんのほうがやばいですよね!」
久我:「う、うん…。」
久我:「(小声)まぁヤバさレベルでいうと2人とも同じ気もするけど…」
甲斐:「マスターさん??」
柴田:「ははは、やーい同レベルー」
甲斐:「同レベルって言われて、はしゃがないで下さいよ!」
柴田:「こんなのと一緒にされたら人生終わりよ?」
甲斐:「それ本人が一番言っちゃいけないやつ!」
柴田:「だって事実じゃん」
甲斐:「そーですけど!」
久我:「君達、息ぴったりだね」
甲斐:「くしくも一緒にいるのは楽しいんですよね…」
柴田:「確かに」
久我:「こうやって人はクズ男にハマっていくのであった…。ぁあ君達は2人ともクズだから大丈夫か」
甲斐:「マスター?!俺もうクズ確定ですか?!」
柴田:「でもそんなこと言うけどマスターだって」
久我:「(被せて)柴田さん?うちのツケ、今幾らになったか覚えてますかね」
柴田:「… ぁー………忘れた。」
久我:「はい、6万5千2百円です。利子を入れるともう少し高くなると思いますが」
柴田:「うーい…」
甲斐:「柴田さん…ここでも金の弱み握られてるんだ…ツケ払えよ…」
柴田:「家のクーラーもなおせないんだよ?」
久我:「えっまだクーラー直してないの?」
甲斐:「マスター!そうなんですよ!明日やる、明日直すってそればっかりでこの人」
柴田:「甲斐ちゃんが直すっていったじゃん」
甲斐:「ひとっことも言ってません!責任転嫁しないでください!」
久我:「去年から言ってるのに…よくこの夏耐えられたね」
柴田:「家にいるのが最早地獄だったよ」
甲斐:「本当ですよ、そのせいで暑いから出かけてくるーってパチスロいったり雀荘(じゃんそう)いったり…あー!もしかしてそれ理由にする為にわざとそのままにしてます?!」
柴田:「さーて、何のことかなー」
甲斐:「はー!このクズめ!!」
柴田:「その代わり、勝った時には甲斐ちゃんにも何かしら奢ってるじゃん」
甲斐:「これまで奢ってもらったの、コンビニの弁当と景品のカップ麺くらいですけどね…」
久我:「うわぁ…ひっどい男…」
甲斐:「ですよねーマスター。俺もうこんな家早く出ていきたいんですっ」
柴田:「え、次はケンちゃん家狙ってる?やめときなね」
久我:「え、もしかして私、狙われてるの?」
甲斐:「ね、狙ってませんよ!人聞悪い!」
久我:「ごめんね甲斐さん…」
甲斐:「告白もしてないのにふらないで下さいよ!」
柴田:「あーぁ。どんまい甲斐ちゃん」
甲斐:「柴田さんまで!」
甲斐:「あーもうマスターもう一杯!同じので!」
柴田:「俺もー」
久我:「はいはい」
甲斐:「飲まなきゃやってられるかってんですよ…」
柴田:「大変だねえ」
甲斐:「誰のせいだと思ってるんですか。誰の」
柴田:「んー…ケンちゃん?」
甲斐:「アンタ…最低だな…」

0:カランコロンと扉が開く

久我:「ん?いらっしゃいませ…って、おや」
土佐:「よぉ、ケンイチィ!やってっかぁ!」
久我:「源(げん)さん。そりゃまだやってるけど…。その様子じゃ、今日は相当飲んできたな?」
土佐:「ひゃはは!あったり前だろ!飲まないでやってられっかってんだよぉ!おい、ケンイチ、酒出せよ酒。ここバーだろぉ?なぁおい」
久我:「はいはい、今日は初見のお客さんもいるんだから程々にしてくれよ」
土佐:「あぁ?こんな寂れた店に新規の客だぁ?」
甲斐:「(小声で)柴田さん何ですか?あのヤバそうな人」
柴田:「んー…? …あー、あれは」
土佐:「ーおぉ? 誰かと思ったらドクズの柴田さんじゃねぇかよ!よぉ久しぶりだなぁ!」
甲斐:「(小声)知り合いだったぁぁぁ…!」
柴田:「どーも、ゲンさん。相変わらず酔ってるねえ」
土佐:「ったりまえだろぉ!柴田さんも相変わらずシケた面してんなぁ!」
土佐:「んでぇ?そっちのホストみてぇなのは?」
甲斐:「ヒッ は、はじめまして。甲斐です、」
柴田:「俺のツレ」
土佐:「ぁあ?柴田さんのツレぇ?あぁなるほどなぁ…くくく、コレかぁ?」(小指を立てる
柴田:「違うよ。ただの同居人」
甲斐:「…あれ?今度はちゃんと否定するんですね」
久我:「源さん絡み酒だから」
甲斐:「あぁ、なるほど」
土佐:「んだよぉ、そうでもなきゃコイツが男の面倒なんかみねぇだろ!」
甲斐:「いや、どっちかというと俺が面倒見てるんですけどね」
土佐:「だははは!そうかぁ、流石は柴田さんだ。クズの中のクズだなぁ!」
0:無遠慮に柴田の横に座る
土佐:「まーとにかくまずは乾杯しようや。ほら」
柴田:「はいはい、カンパーイ」
甲斐:「か、かんぱーい!」
0:ごくごくと飲む
土佐:「ッカーーー、最高にキマる」
柴田:「っはー沁みるわ」
甲斐:「うまいっすねぇ」
土佐:「おいケンイチ!お前も飲め!」
久我:「はいはい、いただきます」
久我:「…もう今日は店閉じるかなぁ」
甲斐:「この人たちいたら仕事にならなそうですもんね…」
久我:「そうなんだよねぇ」
柴田:「源さん今日は仕事帰り?」
土佐:「おー!あったりまえだろ!こちとら休みなんかないからな、社畜上等、火がぼうぼうってな、だはははっ!!」
甲斐:「うっわーー、面白くない」
柴田:「甲斐ちゃん?反応がとっても素直」
甲斐:「おっと、失礼」
甲斐:「そういえば源さんは何の仕事してるんですか?」
土佐:「んぁ?そりゃあサラリーマンだよ、サラリィマン」
久我:「酔うとこんなだけど、源さんは結構いい仕事してるんだよ」
甲斐:「へえそうなんですか」
土佐:「うぉいケンイチぃ!酒飲みに来てんのに仕事の話なんかすんっじゃねーよぉゴルァ」
久我:「はいはい、悪い悪い」
柴田:「相当酔ってんね。どんだけ飲んだの」
土佐:「あぁ…?職場出てからまず歩きながらストセロだろ?適当な店でビールと日本酒(ぽんしゅ)飲んでー。二件目でワイン、最後に公園で酎ハイとワンカップ飲んで、あとはーぁー…忘れた」
甲斐:「ドン引きする程ちゃんぽんしてる…!」
柴田:「金はあるから良いもの飲んでるよね」
土佐:「給料日の後だからなぁ!ひゃっはっは」
甲斐:「そういうところはちゃんとしてるんだ…」
久我:「ただし、アルコールジャンキーだけどね」
甲斐:「クズじゃないですか…」
柴田:「源さんはクズだよ。有金ぜんぶ酒に注ぎ込むし、無くなっても飲むのやめられないし」
甲斐:「そんな柴田さんみたいな」
柴田:「失礼な。俺はなくなったらちゃんと辞められるもん」
甲斐:「いや、ちゃんと辞めれる人は、色んな人にお金を借りたり、ツケを滞納したりしないんですよ」
久我:「ははは、確かに」
柴田:「あーね…」
土佐:「人間どっかイカれてるほうが楽しいだろうがっての!なぁーケンイチー!」
久我:「源さんはイカれすぎだけどな。これでよく昼間は普通に仕事できてるもんだよ」
土佐:「あぁ?そりゃ社会人として当然だろうが、 …っと、ちょっとトイレっと。うぃ~」
0:よたりと立ち上がる
甲斐:「気をつけて下さいね〜」
柴田:「ケンちゃんお腹すいた、何か作って」
久我:「はいはい」
甲斐:「は〜…やっぱり柴田さんの知り合いって、やばい奴しかいないんですね」
柴田:「甲斐ちゃん、それ自分も含めてだからね」
甲斐:「俺なんかまだ可愛い方ですよ。」
甲斐:「なんか段々、マスターが可哀想になってきちゃって…」
久我:「え?なんで?」
甲斐:「だって常連がヤバい奴ばっかじゃないですか」
久我:「あーー、それは、まぁ。…確かに」
柴田:「類友(るいとも)じゃないのかね」
甲斐:「類友?? ーあ、源さん帰ってきた」
0:土佐がトイレから戻ってくる
土佐:「ただいま戻りました。」
久我:「おかえり源さん」
久我:「で、柴田さん何食べる?」
柴田:「何でも良いよ」
甲斐:「……」
久我:「そういうのが一番困るんだよな」
土佐:「マスター申し訳ありません。クライアントからメールが…。5分で済ませるので、ここで返信しても?」
久我:「ああ、どうぞ」
甲斐:「……」
土佐:「ありがとうございます」
柴田:「ふぁ…」
甲斐:「―って、誰ぇ?!?!」
柴田:「うわぁ、 びっくりした」
柴田:「急に大声出さないでよ甲斐ちゃん」
久我:「甲斐さん、どうした?」
甲斐:「いや、どうした?じゃないですよ!誰?!トイレから出てきたら、ただのかっこいいビジネスマンなんですけど!?これ本当にさっきまで酔っぱらってた源さんなんですか?!」
土佐:「はい、土佐源生(とさげんき)と申します甲斐さん。先ほどもご挨拶させて頂いたと思いますが」
甲斐:「えーーー?!なにこれ二重人格?!」
久我:「あーそうか、甲斐さん初めてだもんな。そりゃ驚くか」
甲斐:「驚きますよ!トイレいっただけで、こんなに変わります…?!」
土佐:「やはり手洗いに行くと、折角の酔いが落ち着いてしまうのは難点ですね。ですがアルコールに含まれるカリウムが利尿作用を促進する為、致し方のない事ではありますが…」
甲斐:「うわぁめちゃくちゃ饒舌に語り出したぁ…」
柴田:「へーそうなんだー」
久我:「分かってないでしょ柴田さん」
柴田:「うん。まぁね」
甲斐:「俺も全然分からないですけど…」
土佐:「まぁ厳密にいえばアルコールの成分により、抗利尿ホルモンの働きが鈍ることで、お酒を飲むとトイレが近くなるという現象が起こるだけで、トイレに行ったところでアルコールの分解や排出が進む訳ではないのですが」
甲斐:「まだ続くんですか?!」
柴田:「へー。そうなんだー」
甲斐:「絶対わかってないでしょ?!」
柴田:「うん」
久我:「ちゃちゃ入れるんじゃないよ柴田さん」
0:カウンターに皿を置く
久我:「はい、焼きそば」
甲斐:「バーで焼きそば?!」
久我:「あっちにこっちに忙しいねぇ甲斐さん」
久我:「沢山作ったから2人も食べる?」
土佐:「いただきます」
甲斐:「い、いただきます…」
0:焼きそばを食べる間
柴田:「やっぱケンちゃんの作る焼きそばは、町内一うまいわ」
久我:「どうも。意外と狭い世界のナンバーワンだな」
甲斐:「確かに美味しいけど。バーで焼きそばって…」
久我:「普段は乾き物程度しか出さないからね」
甲斐:「あぁじゃあこれ、本当はマスターの賄いですか?」
久我:「うん。柴田さん来ると大体こうだから慣れたよ」
土佐:「―よし、終わりました」
久我:「お疲れさん」
土佐:「焼きそば、いただきます」
土佐:「それと、おかわり頂いていいですか?」
久我:「もちろん、どうぞ」
0:土佐のグラスに注ぐ
柴田:「源さんてさ、仕事の付き合いで飲む事とかないの?」
土佐:「ありますよ」
柴田:「そういう時はどうしてんの?」
土佐:「…そうですねぇ…」
0:グラスの酒を傾ける
土佐:「ふぅ」
土佐:「まぁそういう時は、程々に抑えてますよ」
柴田:「源さんに酒を抑えるって概念が存在したんだ」
土佐:「それに…―仕事ってつまり、お酒じゃないですか」
甲斐:「うんうん…はぁ??」
久我:「ちょっと…何言ってるか分からないな」
土佐:「つまり…」
0:ごくごくと飲んでグラスをだんと置く
土佐:「労働すると賃金が与えられますよね?労働イコール賃金、な訳です。そして手にしたお金は、最終的に酒になる訳なんですよ。つまり労働イコール賃金イコール酒、つまり労働は酒ってことよぉ!だぁっはっはっ」
甲斐:「うわあぁぁさっきの源さんになったぁぁあ」
柴田:「顔つきまで変わっちゃうから凄いよなぁ」
甲斐:「いやこれはもう別人ですって!!」
土佐:「たく、こんな時間までメーールなんぞ送りやがってクソみてぇなクライアントだぜ、なぁケンイチもそう思うだろ、なぁ?」
久我:「はいはい。そだねー」
土佐:「まぁでもつまりは、それも酒だからな!クライアント、イコール、酒と思えばなんてことはねぇよなぁ!」
久我:「そだねー。」
甲斐:「マスターが段々面倒になってきてる…。てか労働イコール酒はホント意味分からないな」
柴田:「源さん、確か先月カード使いすぎて支払いカツカツじゃなかった?」
土佐:「だぁっはっは!現金がなくても酒が買えるってのは、いい世の中だよなぁ!」
柴田:「気を付けなね、あんまり繰り返すとブラックリストに載るよ?」
土佐:「んな事が怖くて酒が飲めるかってんでぃ!てやんでぃ!」
久我:「なんか最後、江戸っ子混ざってるな…」
甲斐:「預金がなくなるほど酒につぎ込むって、相当じゃないですか」
柴田:「だぁかぁら源さんはジャンキーなんだよ」
久我:「飲むの止められないからな…」
柴田:「そういえば、前に消毒液飲んで入院したこともあるんだっけ?」
土佐:「あぁ、あん時は流石に死ぬかと思ったぜ」
甲斐:「はぁ?!いやいや、どんだけですか!」
土佐:「今のご時世、町中にアルコールが設置されてるからなぁ。いざ金がなくなっても飲み放題よ!」
甲斐:「いやいやいや、普通に犯罪ですし、また病院送りになるから絶対やめてくださいね?!」
柴田:「ケンちゃーん、紅生姜もっとないの?」
久我:「それで最後だよ柴田さん」
甲斐:「柴田さんはもうちょっと関心もとう?!」甲斐:「あなたから振った話題ですよね?」
0:グラスを勢いよくカウンターに置く土佐
土佐:「ってかよぉ!さっきからケンイチばっか綺麗な人間みたいに話しやがって面白くねぇなぁ!」
土佐:「ドMの、ド変態のくせによぉ!」
甲斐:「…え?! ドM?!!」
久我:「あぁーー…ついに……」
0:がっくりと項垂れる
柴田:「言っちゃったねぇ」
土佐:「そぉだよ!こいつはドのつくM、ド変態のドクズ野郎だっつの!ひゃっはっはっ」
甲斐:「ま、マスターさんが…?!えっ…?!」
柴田:「甲斐ちゃん、これは本当なのよ」
甲斐:「本当なんですか?!」
久我:「まー…本当だけど」
甲斐:「本当なんですね!?」
久我:「う、うん。…まぁ、お恥ずかしながら」
甲斐:「えぇーー…意外…」
久我:「でもMは認めるけど変態でクズではない!」
土佐:「あぁん?どこがだよ!」
土佐:「踏んだり蹴ったりなじられたりすんのが大好きなんだろうが、変態じゃねぇか」
久我:「そりゃ私にとってそういうのは全部ご褒美だけど!あくまでプレイとしての話であって…!」
久我:「それに今はご主人様がいるから、誰にでも尻尾ふって媚びるような、そこらの野良ドMと一緒にしないでほしいんだけど?!」
甲斐:「野良ドMってなに?!」
柴田:「あのご主人サマとまだ続いてんの」
久我:「うん、勿論」
土佐:「ど・こ・がぁまともだよ!ご主人サマだぁエスだエムだ言ってる時点で充分、変態だっての」
甲斐:「うーーん、それは確かに…!」
久我:「だからそれは、あくまで趣味だから!人それぞれの個性だよ個性」
柴田:「趣味にしちゃ行きすぎな気もするけどね」
柴田:「屋外で変な事したりしてない?」
久我:「そ、れは…前の…ご主人様の趣味で少し…」
甲斐:「やってたんですかぁ?!変態だぁ!!」
久我:「い、今はもうやってないよ!」
久我:「ちゃんと安全面だって考慮してたし…!」
土佐:「あん?安全を考慮すんなら部屋ん中でやりゃいいだろうが!」
甲斐:「凄い…!酔った源さんがまともな事いってる…!」
久我:「何だよ…これでも我慢してるのにさ…」
柴田:「我慢て?本当はどんな事したいのさ」
久我:「そりゃ……源さんみたいなあけすけな物言いで罵倒されたり、柴田さんの一片の光も差し込まないような目で見下されたり、甲斐さんがいないと駄目になるような、ずぶずぶの依存状態になったりしてみたいよ?!」
甲斐:「なったりしてみたいのぉ?!」
柴田:「最後メンヘラみたいなの混じってたけど」
土佐:「っかーー!やぁっぱ変態じゃねーかぁ!」
久我:「でも!今はご主人様がいるのでそんな事しないし、別にМでも、誰にも迷惑かけてないんだからいいだろ!そっとしといて下さい」
柴田:「そりゃそうだけどさ」
甲斐:「ていうか、マスターのご主人様って…」
甲斐:「もしかして、男なんですか…?」
久我:「え?あー…それは…」
土佐:「あれだろぉ?ほら。あったのを、取って、つけたんだっけ?」
甲斐:「んん??」
柴田:「いや、ないものを…つけて、取ったんじゃなかった?」
甲斐:「いや、なにそれ?!」
久我:「は、はははー。まぁあの人は性別を超越してるから。…詳しくは、ノーコメントで」
甲斐:「ええぇ…何それめっちゃ気になる…」

甲斐:「ん…?って、待ってくださいよ?」
甲斐:「そうなると今この店にいるの、クズ、ヒモ、ジャンキー、ドMって事ですか!?」
久我:「いや、私を君たちの仲間みたいに言うのはやめてほしいけどね」
久我:「なんだよ3人して名前が、克樹(かつき)、源生(げんき)、祐樹(ゆうき)って…仲良しか!」
柴田:「お?嫉妬?」
久我:「君達には、地球がひっくり返っても嫉妬しないから安心して」
甲斐:「本当だ、凄い偶然ですね?!」
土佐:「だっはっは!少年漫画の心得みてぇだな!」
柴田:「少年漫画とは真逆の3人だけどね」
久我:「とてもじゃないけど子供に見せれないな」
甲斐:「あーそれは確かに」
土佐:「てかよぉ…俺のどこがクズだってんだ?」
土佐:「俺ァ日中はきちんと仕事してんだ、オフの時間にちょっとハメ外してなにが悪いってんだよ」
甲斐:「いや、源さんのはちょっとじゃないですから!ハメ、外しすぎですから!」
土佐:「あん?!好きなものに一生懸命なだけだっつの!」
甲斐:「ん〜!ものはいいよう!!」
土佐:「ジャンキーはまだしもクズは納得いかねぇ!クズってのは柴田さんみてぇな事言うんだよ。なぁ柴田さん!」
柴田:「俺は……」
0:かっこつけて酒を飲む
柴田:「心はずっと…少年でいたいだけだよ」
甲斐:「溜めたわりにクソみたいな事しか言わないな!!こんな濁った目の少年は絶対いやです!」
柴田:「そんな事言ったら甲斐ちゃんだって。最低ふたまた、最高5股。彼女は財布のクズ野郎じゃん」
土佐:「おん?!この兄ちゃん、そんな下衆なことしてんのか!最低だな!」
久我:「うわぁ。甲斐さんヒモだけじゃなく、そんなことまで…。女の敵だね」
甲斐:「なんですか貴方達!俺に風向きが変わると急にイキイキして!」
土佐:「おれァいつだってイキイキしてるっつの!」
甲斐:「そんなとこで張り合わないでくださいよ面倒だなぁ!これだから、酔っ払いは!」
土佐:「んぁ?なんだ喧嘩か?やんのか?あぁ?」
土佐:「よぉし買ってやろうじゃねぇか!いい度胸だホスト野郎!」
久我:「店内で喧嘩はご法度だよ。備品壊したら修理代請求するからね。やるなら表でやって」
柴田:「二人とも弱そうだから、賭けても面白くないな」
久我:「柴田さん、知り合いの喧嘩に賭けようとするんじゃありません」
土佐:「よぉし!んじゃこうなったら、どっちが多く飲めるか勝負だ!」
甲斐:「ハッ!上等ですよ!源さんもうフラフラじゃないですか。そんなんで大丈夫ですかぁ??」
柴田:「ぉ ただ酒の気配。 俺もやるー」
久我:「こういう時だけちゃっかりしてるんだから」
柴田:「ケンちゃんはやらないの?」
久我:「誰も止める人がいなくなったら、被害にあうのはうちの店だからね」
土佐:「よぉし!柴田さんもよく言ったぁ!んじゃ三人で勝負だ!」
土佐:「ケンイチィ店閉めてこい!」
久我:「はいはい。分かりましたよ」
0:ショットグラスにはいった酒を並べていく
久我:「ルールは最後まで飲み続けた人が勝ち」
久我:「1、無理はしないことー」
久我:「2、体調不良は自己申告することー」
土佐:「んなん、わかってるってのぉ!」
土佐:「よし!じゃあ俺からだ」
0:くぃっと飲む
土佐:「ひゃっはーこれくらい余裕だぜ!」
土佐:「ほら次はお前だぜ、ホストの兄ちゃん」
甲斐:「だから俺はホストじゃありませんってば!働いてたのは、もう何年も前です!」
柴田:「でもホストはやってたんだ」
甲斐:「元、です!いただきます!」
0:くいっと飲み干す
甲斐:「っはー!久々に飲んだけど、結構しんどい…!」
土佐:「おぉ?中々いい飲みっぷりじゃねぇの!」
土佐:「んじゃあ次は柴t」
柴田:「いただきまーす」
0:ごきゅ、と飲む
柴田:「うまいけどきつい。水割りにしようかな。ケンちゃーん」
久我:「柴田さんはもう、楽しくタダ酒する気満々だね?やれやれ」
0:数十分後
(酒飲み対決もっとしたかったら自由にアドリブどうぞ)
土佐:「おまぇ中々、ひっく、やるじゃねぇかよ」
甲斐:「源しゃんこそ、俺は、まぁだまだ、飲めらすよ」
久我:「お二人さん。もうこの辺にしといたら?ふらふらじゃないか」
柴田:「ふぁーあ、俺はもう眠くなってきた」
土佐:「ぬぁに言ってんでぃ、まだまだ、夜はこれからだろぉが…。よし、寿司だ!寿司とるぞケンイチぃ〜!」
久我:「源さん、この時間じゃもう店しまってるよ」
土佐:「そんなの分ぁってるってのぉ!」
土佐:「おら、全員酒をもてぇ乾杯すっぞ!」
柴田:「うーぃ」
0:各々グラスを手に取る
甲斐:「ふぁ、今更、何に乾杯するんですか?」
久我:「…私たちの出会いに、とか?」
土佐:「ばぁかお前、そりゃぁ『クズに』に決まってんだろが」
甲斐:「あはは、クズにって、何ですかそれ」
柴田:「ま、ここにいるのは全員タイプの違うクズだもんね」
久我:「だから私はクズじゃないって言ってるんだけどな」
土佐:「カー!つべこべ言ってんじゃねぇ!」
土佐:「全員…グラス持ったな?!」
甲斐:「はぁい」
土佐:「んじゃあいくぞぉ」
土佐:「今日この店に居合わせた4人のクズに!」
土佐:「乾杯!!!」
全員:「かんぱーーい!!!」
0:グラスをぶつけて飲み干す

甲斐:(M)これが俺たち4人の初めての出会い。
甲斐:この後結局、明け方までグダグダ飲み明かしたのは…言うまでもないか。

0:おしまい。
 


2022/03/16 ボイコネ投稿作品

お疲れ様でした!
ここまで読んで頂き有難うございます。
こちらは #クズヒモシリーズ 第二話です。
クズが増えました笑 これからも増えるかも…?

ものかきは楽しく劇が出来て、聞く人も楽しめれば
何でもどうぞ派なので演者さんが気楽に
出来る台本があっても良いのかなと思い本作を描きました。

なので飲酒・煙草・アドリブご自由にどうぞ。
(用法容量は自己責任、楽しめる範囲で)

第一話「クズとヒモの共同作戦」はこちら
https://note.com/monookiba/n/n173feda55d93



#クズヒモ

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