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この歯科医師は完全にダメ

先日、友人の歯科医師からやばいXの投稿を紹介された。
『歯科医師をやめてくれ』というポストに歯科医師(仮にA氏とする)が書いた『口腔癌が消えた!』というブログがくっついていた。

このブログの内容としては、ある歯科医師が口腔癌を見つけたが、私の指示した食事療法をした結果、1年で口腔癌がなくなったんというものだ。

みなさんはどう思っただろうか?
「すごい!」と思ったひともいれば、「嘘つけ!」と思ったひともいるだろうか。

ほぼ全ての医療従事者は「嘘つけ!」と思っている。

一応確認のために内容も読んだがひどいものだった。
歯肉癌を見つけたが、患者に食事療法を指示して、1年後良くなったという内容だ。患者がまじめに私のいうことを聞いて食事療法を実践してくれたからだろうということだった。これを書いているのはどこかの町医者の爺医なのだが、この文章だけで何点も問題点がある。

私も町医者で多くの癌を見てきたが、まず何をしないといけないかというと、鑑別診断だ。要するに似た病変などもあるから、最終的な確認をしなければならない。基本は組織を取ってきての生検になるが、がんなどの場合擦過して細胞を診るタイプの診断もある。

どうあれ、自分のとこでできないなら大きい病院に送って癌という確定診断をとることが大事なのだ。病気が決定しないと治療法が決定しないからだ。医師は闇雲に治療するわけではない。科学的根拠に基づいて効果のあることをすべきなのだ。

なんとこの町医者は視認しているだけなのだ。つまりそもそも癌かどうかもわかっていないのだ。それで1年で良くなったと言われても何が良くなったかもわからないのだ。

そして、何が怖いかというと他のブログ記事を見てもこの歯科医師は良性腫瘍と悪性腫瘍の差をわかっていないのだ。

そのブログにはこんな記載があった。
「良性腫瘍を悪性腫瘍と言われることがある。」だ。

こんなことはありえない。定義が違うからだ。顕微鏡でみて見分けがつかない訳がない。厳密にいうと良性腫瘍が悪性化することはある。ただ、良性腫瘍を悪性腫瘍に見間違えることはない。なぜなら悪性腫瘍の特徴は良性腫瘍と間違いようも混ざりようもないからだ。

つまりそもそも良性腫瘍と悪性腫瘍の差の知識もない歯科医師が視診だけで悪性腫瘍と診断し、食事療法をさせて悪性腫瘍ではなかったであろう病変がなくなったという話なのだ。
ここにはまずA氏の知識では視診も触診(したかどうかは不明)も怪しい。
仮に歯肉癌の疑いだったのであれば、大きい病院に紹介をかけるべきだ。
食事療法はしたらいいけど、もし癌なのであれば必要なのは標準治療だ。
そして、間違った情報発信を専門家がしている。
これらがこのブログの問題点だ。
しかも、このブログには数百のいいねがついている。
一人の知識のない専門家が間違った情報を手に入れたせいで数百の人間が判断を間違う恐れにさらされているのだ。これは本当に罪深いことだと思う。

SNSでの情報は本当に玉石混合だと思う。
正直本当に資格を持っているかも怪しい人はいくらでもいる。
基本的にネット情報は信じないというのが理想で、引っ張ってくる情報はどこの誰が言ったかわからない情報よりは各種学会が出している情報や、論文引用(信用度のレベルは様々)などされているものなどにした方がいい。

基本的な情報は一次資料のしっかりしているものを選び、その一次資料をあたるというのがこのネット社会を生きていく上で大事なことではないだろうか?


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