見出し画像

ピアノは良い。

私は何かを継続することが割とできるタイプだ。
よし、継続してやろう、と気合を入れなくてもなんとなく続いていて、だんだんやっていくうちに続けることに対してもそのものに対してもこだわりや執着が出てくることがある。

そのひとつがピアノだ。保育園年長の時、周りの仲の良い友達が習い始めたことをきっかけに友達に憧れて自分も始めた。それまでにいくつか習い事をしていたが、自分でやりたいと言って始めたのはピアノが初めてだった。

初めてすぐ私はピアノにハマった。最初は上手に弾けると先生が褒めてくれるのが嬉しかったのだと思う。そんな風に繰り返していくと、どんどん上達していって、そんな自分に気づき嬉しくなってさらに練習した。

練習した分だけ上手になることが分かってからはただひたすらに練習した。部活もあったし、時間は限られていたけど、単純にピアノが好きなこともあったし、周りで同じくピアノを習っている子達にはなんとなく負けたくないという気持ちを燃やしていた。

小学校の頃は家にいる時はほとんどピアノを触っていたような気がする。眠くて練習にならなかったり、疲れて練習が疎かになった時は母に怒られたこともあった。でも辞めたいとは1度も思わなかった。

他の習い事はキリのいいところで辞めたが、中学でも高校でも、部活動をしながらピアノだけは続けていた。周りの友達が次々に辞めていくなか、高校卒業までは絶対に続けると決めていた。プロを目指しているわけでもなく、辞めるタイミングはいつでも良かったのだが、頑固に辞めたくないと思っていた。ここまで来ると辞め方が分からなかったのもあったと思う。そして、特技と言えるものがピアノしかなく、ここで辞めてしまったら自分に何も無くなってしまうんじゃないかという不安もあった。

そうして私は高校卒業まで続けた。

ピアノは本当に良い。ピアノの音も、弾いている時間も、弾いている自分も、全部大好きだ。

正直、練習の成果を発揮する機会は多くは無かった。でも、ステージにひとりで立って、自分だけの音を色んな人が聴いてくれること、そんなに嬉しいことは他になかった。

年齢が上がるにつれて、挑戦する曲も難しくなり、1ページを弾けるようになるのに1週間かかることもあったし、時間をかけても上手く弾けない時は自分に情けなくなった。

それでも、何か嫌なことがあったり上手くいかない時は自分を励ますようにピアノを弾いた。悩みがあったとしても、弾いている時間はまるで別世界にいるみたいに忘れられる。私は完全にピアノが持っている力の虜になっていた。

大学入学で上京して一人暮らしを始めた私の部屋には電子ピアノがある。やっぱりピアノが好きだから、習わなくなっても弾き続けたいと思ったのだ。

社会人になった今でもなお、部屋にはピアノがあり、暇があれば弾いている。弾いているとあっという間に時間が経っていることもなんだか嬉しい。

あの時辞めていなくて本当に良かったと何度も思う。

そしてこれからも変わらずピアノを弾き続けていきたい、と思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?