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優しい夫と執念深い息子の話


愛する息子に、ダイソーで買った砂場セットと紙粘土とマグネットを使ってアイスのおもちゃを作った。


朝から「お外行きたい」と言われていたけれど、夜泣きが多い日でやっと深い眠りにつけた...と思うタイミングで数回息子に起こされていたので、私も寝不足で若干のイライラが残っており息子の要求をことごとく却下していた。


一日の後半、そんな息子に対して申し訳なく思いコソコソと作ったアイスのおもちゃをお披露目する事にした。


目にした瞬間息子はキラキラした目で

「なんだこれ!」と、つかみはバッチリだった。


がしかし、所詮は紙粘土、力加減などまだ知らない息子の扱いに耐え切れる耐久性が備わっていない...!

そうこうしているとイチゴのアイスのマグネットが取れかかったのだ。


子供のマグネットの誤飲事故の注意喚起は最近読んだばかりだし、

やっぱり作りが甘いな〜対策しなければ、と思い息子からイチゴのアイスを取り上げた。

「壊れちゃったからあとで直すね」


その途端、息子はものすごい顔で泣きじゃくり

「イチゴのアイス返して!!!!!」


「壊れちゃったから直さないと遊べないんだよ〜」

「今直してよ!イチゴのアイス、なくなっちゃった!!!!!!」

と大泣き。


「他のアイスで遊べばいいじゃん」

と言ってももう彼の頭の中はイチゴアイスをママに取り上げられた事でいっぱいになっていて、それどころではない様子。


何を言ってもどうしても泣き止まないので

息子が落ち着くまで一緒に遊んでいたリビングから私だけそそくさと寝室へ退散した。


ベビーゲートの向こう側から

「ママー!!!!イチゴのアイスーー!!!!」と泣き叫ぶ息子。


泣き叫ぶ声はしばらく続いた。

と思ったら、リモートワーク中の夫が

「誰がどこにいて何が起きてるの?!!!」と慌てて部屋から出てきたのである。


「(息子)がすごい顔しながらママが寝ちゃったって部屋に入ってきたよ」と夫。


普段息子は夫の書斎には決して入ろうとしないのだが彼にとってそれはそれは一大事だったのだろう。


夫は夫で私が倒れたんではないかと思ったらしい。

家中が一瞬で大騒ぎに。


「仕事中なのにごめんね」と夫に謝ると

「何かあった時にこうやって呼びに来てくれる方が安心するよ」と返ってきた。


よく出来た夫である。


息子が泣き叫んでいる理由を話すと

「それくらい楽しんで遊んでたんだね、大成功じゃん!」と言ってくれる夫。


本当によく出来た夫である。


寝室に逃げ込んだ私の器の小ささがより際立つ。


「パパー!アイスクーリムで遊ぼう!」

「パパお仕事があるから今は遊べないんだ」

「パパー!いらっしゃいませー!」


と必死に夫を引き止める息子。


「ママが一緒に遊ぶよ!アイスくださいな〜」

「....やだ」


完全に信用をなくしている。


それでも何とか機嫌を戻しつつ、私とアイスクリームで遊び始めた息子。


「イチゴのアイスがほしいなぁ...」


すごい執念である。


その後も何度も何度もイチゴのアイスを直して欲しいと言われた私は、

なんてものを作ってしまったんだろうと

複雑な思いになったのであった。



余談、アンパンマンのおもちゃは割高なわりに一部が紙だったりしてその辺は微妙だなぁなんて思っていたのだが

低年齢層向けのおもちゃをつくりあげるということはこんなにも難しい事だったんだと知って、

アンパンマンのおもちゃに心の中で土下座した。

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