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コミュニケーション学は人文科学か、社会科学か

アメリカで修士学生をはじめて約1ヶ月。

留学生ということもあり、英語力の観点からは惨めな思いをすることもありますが、そんな惨めさにも慣れてきました。

サムネイルの写真は通学途中の風景です。天候が安定している地域なので、それだけでも精神的には楽な気がしています。

今日は自分の復習作業がてら、ここ1ヶ月で学んだことをベースにコミュニケーション学についての私見を日本語で書いてみます。コミュニケーション学というのは範囲があまりにも広いので、「学問」ではなく「領域」であるとする見方もありますが、今回はその点についてはノータッチでいきます。

コミュニケーション学vsコミュニケーション領域論争の原因の一つは、コミュニケーションそのものが日常の動作の1つであるゆえ、学問として成立させるには不向きなのではないかと思われているためです。

多様なコミュニケーションの種類

コミュニケーションには様々なタイプがありますが、大きく3つに分けることができます。

・政治や組織の中で用いられるパブリックコミュニケーション
・スポーツ、教育、健康の場面で用いられるグループコミュニケーション
・宗教や家庭で用いられる対人関係コミュニケーション

それぞれにおいて、当事者の人数のレベル、用いられるメソッドや理論の解釈が異なるので、コミュニケーション学はとても守備範囲が広くなっているのだと思います。守備範囲が広いことのメリットは他の分野と連携しやすいことでしょうか?「言語学×コミュニケーション=言語コミュニケーション」「医学×コミュニケーション=医療コミュニケーション」等、可能性は広がりやすいです。無限に広がりすぎてぼやけてしまうのは難点ですが。


では、本題。

コミュニケーション学は人文科学か、社会科学なのか。

この2つの違いは文科省によれば以下のように定義されています。

人文科学:人間の精神や文化を主な研究対象とする学問
社会科学:人間集団や社会の在り方を主な研究対象とする学問

分かるような、分からないような…?


人文学では量的(Quantitative)メソッドが用いられることが多いですが、社会科学ではその人文学的な側面をモチベーションとして主観的解釈を用います。主観的、というのは質的(Qualitative )メソッドにおける存在論の観点からみたポイントの1つです。量的メソッドにおける存在論は客観的なものとなります。

ちなみに認識論の観点からいくと、量的メソッドは独立しているのに対し、質的メソッドでは依存型とされています。

「T」 or 「t」


これはここ1ヶ月の授業で私が最も印象に残っているものです。

価値論を軸に両メソッドを検討した際、量的メソッドではTruthが明らかになり、質的メソッドではtruthが明らかになるというものです。

Truthというのは宗教などの「特定の領域における事実」を示すものである一方、truthは「すべての人々にとって一般化された事実」を示します。

コミュニケーション学というのは、最初でも言った通り、守備範囲がとても広い学問です。

対人コミュニケーションはTruthタイプ(人文科学的要素が強い)ですが、パブリックコミュニケーションの属性はtruthタイプだと思います。グループコミュニケーションは、ケースバイケースでしょう。

よって、コミュニケーション学は人文科学でもあり、社会科学でもあると個人的には思います。

私はIntercultural Family Communication(異文化家族コミュニケーション)を研究したいと思っているので人文学的観点のコミュニケーション学に興味があります。でも、まだまだ先は長いので社会科学的な視点についてももう少し勉強していきたいと思います。


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