風を読まない

 普段、マンガやアニメの本来の認知度を知る機会はない。

 自分のツイッターのタイムラインなどは「ある程度知っている人」を自分で構築した訳だし、メジャーな作品については「嫌い」は言われても「知らない」はあまり言われない。手塚治虫を知らないとか、赤塚不二夫を知らないとはほとんど言われないのだ。本当は知らなくても。回答の前に検索できるというのも理由にはあるだろう。

 テレビに関しても、商売上の要請も絡んでくるので、同じような事が言えるだろう。日テレの番組で宮崎駿の話題が出た時に「知らない」という回答は無いし、テレ朝の番組で藤子・F・不二雄の話題が出た時に「知らない」という回答は無い。知らない場合は本人やブレーンやスタッフが調べて来るのだ。商売だから。

 一度高田純次が日テレの特番で、宮崎駿の手掛けたキャラを「緑色のネズミみたいな豚」と言っていた事があったが、その後の番組上の流れから考えて、これは分かった上で(あるいは台本にあって)知らないふりをした可能性がある。

 自分の場合、忖度抜きで「普通の人」がアニメやマンガについて思っている事というのは、時々考えなくてはならないと思っている。みんな知ってると思って説明すっ飛ばして書いてしまう事もあるだろうし、「空気をわざと読まない」「付いてくる人だけでいい」という気持ちはあっても、その場合、世間の基礎知識の程度を分かった上で無視して書いた方がいいと思うのだ。
 あと、どうも「オタクだけで固まる」というのも好きではないし。
 
 TBS系で「サンデーモーニング」という番組がある。喝だのアッパレだの年寄りが上から目線で偉そうに言うコーナーが有名だが、ネット上で反応を見ている限り、普段から気に入らないと言われる割にはなぜかこの番組を観ているという人が多い。

 そこで松本零士氏の訃報を取り上げた所、コメンテーターのほとんどが松本零士氏の作品について詳しく知らず、ネット上では「敬意を払っていない」という反応があったんだそうだ。

 自分からすればこの件は忖度抜きの「世間」の「生の声」が聞けたというのは貴重な機会であったと思う。「普通の人」には松本零士ですらこの程度の反応なのだ。
 そこで空気を読んだり嘘をついたりするよりずっといい。勲章もらっていても自分が知らない人なんて、世界には沢山いる訳だし。

 スポーツ選手や政治家や歴史上の人物に対しても、同じように本来の認知度を知るのは難しいだろうなとも思うのだ。

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