続・ドラえもん「超リアル・ジオラマ作戦」から考える

 ドラえもんの「超リアル・ジオラマ作戦」については前に書いている。

 スネ夫・スネ吉(スネ夫の従兄)のリアルなジオラマ写真に対し、のび太とドラえもん(途中で逃げ出してしまうが)が対抗するお話である。

 前に書いた文章の後で気付いた事もあるので、書いていきたいと思う。

 被写界深度という言葉がある。これはスネ吉兄さんを困らせた、広角レンズ使用時のピントが外れる範囲の問題と深く関わってくる。

 被写界深度が深ければ、ピントが合う範囲が広くなり、逆に浅ければピントが合う範囲は狭くなる。

広角レンズ使用には困った事もある

 遠く離れているはずの背景がボケている場合は、距離を大げさに感じる事ができるので良いだろう。これは「空気遠近法」と言って、絵画でも用いられるテクニックである。

 しかしスネ夫が撮ろうとしている写真の場合は、カメラの割合近くにメカと地面と建物があって、これら「やや広い範囲」を画面に収めなければならない。(背景画や遠景の建物は使っていない)
 この場合、その中のさらに狭い範囲(メカの頭部だけ等)しかピントが合ってないのは、人間の頭が「実物大の景色として考えると不自然」だと思ってしまう。メカの頭部をアップにする場合はまた話は別になるけど。

絞りこむと被写界深度は深くなる

 一眼レフ等「絞り」、「F」という数値をいじれるカメラの場合、その数値を大きくすると、ピントが合う範囲は広くなる。その代わりシャッター速度が遅くなるから、三脚でがっちり固定しなきゃならないのである。そしてレリーズを使ってシャッターを切る。

コンパクトカメラを使うのび太

 このあと、のび太は自分ごと小さくなってコンパクトカメラを使う。
 コンパクトカメラは「近くから遠くまでピントを合わせる」ように設計されているから、この場合正解なのである。

 もう1つ、最近は「深度合成」ができるデジタルカメラが発売されている。これはカメラからの距離が異なる箇所にピントを合わせた写真を何枚か撮り、それを合成する事で、全体にピントが合っているような写真になるカメラである。

 先にも書いたように「遠くまでピントが合っている=リアル」と限らないのだが、簡単にリアルな写真が撮れる世の中になってきたのかもしれない。

 さて、広角レンズを使い、逆に遠くからの視点で、実際の広い範囲を撮影し、ピントが合う範囲をすごく狭くしたらどうなるのか?
 これは「実物を撮ったのにジオラマっぽく感じる写真」のテクニックの1つらしいのだ。聞いた話だが。

 背景の市販の建物も進化している。トミーテックからジオコレ「解体中の建物A・B」や、ジオコレ・コンバット「廃ビル」等が発売され、「床が再現された破壊された建物」もそのまま(ミニチュア製造カメラを使用せず)入手できるようになった。
 1/144のロボットに合うサイズ。但しガレキは自分で用意しなきゃならない。
 さすがに奥行きに向かってスケールが小さくはなっていないけどね。

サポートありがとうございます。 はげみになります。