1.しりとり →
全日本しりとり協会(All Japan Shiritori Society)が定めたルールによると、しりとりは「適当な言葉から始めて良い」とある────というのは嘘。そんな団体は存在しないので。
志村けん考案とされる、じゃんけんのスタートが「さいしょはグー」であるように、しりとりの最初の語句は「しりとり」が一般的だろう。
ということで、今回のワードは「しりとり」。
個人的にしりとりは大好きだ。いいオトナになってからも周りのヒトたちに付き合ってもらったり、私の他にもしりとり好きなニンゲンがいて巻き込まれたこともあった。人数に関係なく遊べるというのも良い点だと思う。
いいオトナになると前述のAJSSに定めのない、「変則チョメチョメ縛り」といった闇っぽいルールを行使してたいへん盛り上がる。たとえば「いやらしい言葉しりとり」や「絵しりとり」、「専門用語縛り」などである。
「いやらしい言葉しりとり」は出版社勤務時代、校了中のゲラ待ちのあいだや、SMクラブの待機室でお茶を挽きながら(=ヒマなこと)他のオンナノコたちと繰り広げたこともあるが、初体験は、ある企画の取材&撮影のため地方へ移動しているロケバスの中だった。
メンバーの一人が「ねぇ、いやらしい言葉しりとり、やろうよ〜」と誘う。「なにそれ」「おもしろそう」と始まるのだ。中には「ああ、いつものね」なリアクションのヒトもいた。
ルールは実に単純明快。すなわちエロい言葉、エッチな言葉、スケベっぽい言葉しか使えないのだ。しかし、いくら考えてもそんな言葉がもう見当たらず苦しくなったら擬音(!)だけでもOKという、とにかく、いやらしければなんでもアリ。ルールなんてあってないようなものなので酔っ払っていても、眠くてぐだぐだでも成立してしまう。こうなると、言い方をちょっと工夫するだけでなんでもいらやしく聞こえてくるのは心の汚れた大人だから、だろうか。鼻にかかった声で研ナオコが意味深に言う「なまたまご 」みたいな。
その「いやらしそうな」言葉によって瞬間的大爆笑をしているうちにいつの間にか終わっていたりして、花火のように儚いのだ。「はかない」のも充分いける。
車内で唯一、不参加だったバスのドライバーさんは、何を思いながら運転していたのだろうか。今さらだが、なんというか……申し訳ない。
「絵しりとり」は絵心がなくてもできるが、筆記具や机、画板のようなものは必要なので場所を選ぶかもしれない。また、ちゃんとした紙よりもそこらにあるメモ用紙やチラシの裏紙のほうが味があってよろしい。そこに描かれた絵を次のヒトが判読してつなげていくのだが、けっこう難易度は高く、じわじわくるタイプの笑いを誘うしりとりである。
天然モノのヘタうま(?)だったり、上手に描けるくせにわざと変に描いたイラストを回してくるやつがいたり……。その絵を見た参加者はマジメな顔で首をひねって考える。結局なんの絵だかわからないまま、あるいは解釈を間違ったまま、思いついた絵を描いて次に回してもなんら問題ない。ゆる〜い遊びなのである。
あとで答え合わせをして「えー、これが??」とか「いや、無理w」などと、さらなるリアクションも楽しめる。
そういえば、漫画「セトウツミ」にも絵しりとりが登場する回がある。何巻目だったか失念したが、だいたい全話オモシロイので機会があればぜひ。
あと、「絵しりとり」の素敵なブックカバーをたまたま見つけた。
今回始めた「しりとりエッセイ」、親切なことに、本家「しりとりえっせい」の最終篇では、らもさんが「どうやって書いていったか」を明かしてくれているので参考にさせてもらった。
予告note(冒頭のリンク)では20本としたのだが、実は初めに煩悩の数の108本にするつもりでタイトルのしりとりに取り掛かってみた。
らもさんと違って才能とか引き出しの少ない私は、ちょっとズルして自分にも書けそうな都合のいい言葉をその場で選んで挙げていく。「これなら書けるかな」「あ、やばい。こりゃ書けても3行だ。別のにしよう」などと選別。デジタル化が進む21世紀にもなって、消しゴムと鉛筆が大活躍だ。
途中から余裕が出てきて別の枝葉を作ったり、どっちで行こうか考えたりと遊びながらサクサク書いていたら、35本目まで来たところで息切れしてしまった。
始めはノリ良く行けて楽しかったのに、それ以降、突如としてキツくなり108本はあきらめることに。
自分のボキャブラリーはそこそこあると思ってはいたが、そこから広げられそうなエピソードやウンチクについては、脳内在庫不如意を痛感。
じゃ、次!「り」
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