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盤があるなら嬉しいです #1【To Let A Good Thing Die / Bruno Major (2020)】

 この『盤があるなら嬉しいです』 は単純に私が聴いて気に入った音楽を紹介するだけのコーナーです(コーナー名は音源は盤で持ちたい私の心の叫びです)。


 ウォームな歌声、滑らかなギター、スウィートなメロディ。昨年発表されたシングル"Old Fashioned"を一聴しただけで、私はたちまち彼の虜になってしまった。

 イギリスのSSW、ブルーノ・メジャーの新作は前回のデビュー作と同様、メロウなムードが横溢している。ジャズで香りづけしたロマンティックなソウルにのせてブルーノが歌うのは、ひたすらに「君」のことだ。泣きたくなるくらいに優しい歌声とギターが響く"Nothing"には《僕らはニンテンドーで遊ぶ / いつも負けるのは僕だ / 君がテレビを見ている間 / 僕は君を見ているから》という印象的なラインがあるし(本当にマリオの効果音を挿入する遊び心もニクい)、"Regent’s Park"は雨上がりの街を歩くような軽やかな楽しさに満ちているが、歌われているのは別れた「君」の美しさだ。そんな「君」への想いが溢れる楽曲群は、エモーショナルな味わいがしっかりとありつつも感情をベタ塗りしたような押しつけがましさはなく、ほどよく抑制のきいた音作りがどこか上質のソファに深く座っているような心地良い気分にさせてくれる。

 ランディ・ニューマンのカバーや、いまや時代の寵児となったビリー・アイリッシュの実兄で音楽的ブレーンであるフィニアス・オコンネルとの共作曲を含む全10曲。
 あなたが孤独な夜にこのレコードをかけるなら、きっとそばに寄り添う人が欲しくなる。そんな罪な一枚だ。


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