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mono-lessの文体練習 #14【ボツ】

 本コーナーは、一つの短いストーリーをあらゆる異なる文体で書いていくコーナーです。加工前の原文はこちらの記事になります。


14.ボツ

 もうね。やけくそです。昨日書いた文章が全部ボツになっちゃったの。何でかって言うと、このコーナーで最初に掲げたコンセプトに反していたから。なら書かなきゃ良かったじゃんって思うかもしんないけど、書いたあとにわかっちゃったからどうしようもなかったの。
 どういうことかっていうと、いつも書いてるファミレスでどうしたこうしたって文章があるでしょう。あれを時間の流れをさかさまにして書いてみたの。
 つまり、まず物語は男のウソ投稿を発見するところから始まるわけです。そこで語り手は、この投稿を見つけたのは偶然じゃないですよ、実はさっきスマホいじってるところを見たんですよ、って理由を述べるわけ。そういや二十分くらい前だっけな。ドリンクバーでお母さんが子供に叱る声があまりに大きくて顔を上げたら、あの人がデザートを注文していたんだよな。それも一回注文を復唱させたあとに追加してたな。店員が来てからメニューを見始めてたから、よく確認してなかったんだろうな。なにせフェスTを着て、二十六歳くらいのその人は、窓際のテーブルに座ってすぐに店員を呼び出してたからね。これが昼食時、満席のファミリーレストランであった出来事です~、っていう風に時間を少しずつ遡って書くっていうテーマで書いたてさ、「まあ、タイトルは『遡行』でいいか」なんて思ったの。
 そしたらふと「ん?どっかで聞いたなこのタイトル」って感じたわけ。イヤ~な予感がして、原典ともいえるレーモン・クノーの本を読み返したら、全く同じ『遡行』ってタイトルで同じテーマのネタがあったんですよ!うわ~!って。もう無意識にやってるから怖いよね。完全に忘れてたの。でも自分なりになるべく原典のネタは使わないっていうコンセプトでもってやってるからさ、もうボツにしました。
 だから今回はこんな形で愚痴らせてもらったの。言っても、こんなこと二回も三回もできんからな。もう同じ失敗しないようにいないといけないですね。気を付けます。

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