見出し画像

雷雨の時ー文章スケッチ

雷雨の時、わたしは海の近くにいた。

雨がぽつぽつと降ってきて、海の向こうから雷の音が聞こえた。
ほんとうは砂浜を歩いて、すこしくらい波と戯れたかったのだけど、海に向かって踏み出そうとするたびに雷が鳴る。光と音の間隔はそんなにないように感じられて、これはほんとうに、雷が落ちてくる可能性があるのではないかと思えた。「海岸 雷 危険」で検索する。不安は減らず、むしろ増してくる。
そこは小さな海岸で、だだっ広いところにぽつんとわたしがいるわけではない。近くに高い橋もあったので、もし落ちるとしてもその橋とかになるのではないかと考えた。けれど、もしもわたしが雷に撃たれても誰が責任をとってくれるわけでもないし、近くの何かに落ちたとしてもわたしが無事でいられるか分からない。
そのうちにどしゃ降りになり、近くの公園の屋根のある場所に逃げこんだ。恐怖心は続いていた。普段ならすごく大きな雷の音が聞こえると気持ちがよかったりするけれど、それは都市部のコンクリートの建物にいたからだと知る。「これが自然の本来の姿なのだ」などと陳腐なことを思った。自然て全然やさしくない。

読んでくださってありがとうございます!