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藍染印半纏に使う「呉汁」について

藍染印半纏に使う材料、「呉汁」について話していきたいと思います。

呉/呉汁とは

大豆のしぼり汁のことをいいます。
これを生地に刷毛などで引いていくことを「呉入れ」といいます。

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呉汁の取り方

ミキサー(豆腐屋で使うものと同じだと思います)に水と大豆を入れてつぶし、それを布に入れて絞り、濾します。
相澤染工場では2回絞り、最初に絞ったものを一番呉、次に絞ったものを二番呉として使います。

目的

・生地に藍染の染まりをよくするため。
・防染糊の補強。

綿は藍染でよく染まるのではないのか?

綿への藍染は草木染に比べて染まりやすいです。
その中で、わざわざ呉入れをするのは、
・半纏の生地との関係
 →「藍染紺半纏」というように、より濃く染め上げたい。
 →神輿をかついだり、山車をひくので丈夫な生地(厚地、織が密)を染める。=比較的色が浸透しづらい
・防染糊との関係
→浸染中に生地を動かせない=色が浸透しづらい。
→藍甕に入れる回数が限られる。
ためです。
加えて藍染印半纏の場合は、呉汁にネズ下(グレー)やタンカラを混ぜます。
何もしない状態で半纏の生地を浸染させると生地に気泡が残りやすくムラになるので、呉汁以外の材料も染め上がりをよくさせる大事なものです。
実験的に各材料を抜いて染めたことがありますが、どれを抜いても大きく仕上がりに影響が出ました。
(明るい色にさせるのにネズ下を抜くのはありだと思います。)

藍染印半纏ではこうした、藍染前の呉入れという下準備が一般的な技法として用いられています。



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