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読書記録◎殺人出産

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……


村田沙耶香さんの本、読了4冊目!

前に読み終わってたけど、やっと感想を書ける余裕ができたので〜、、

ほんとはいろいろ感想を書きたい本あるのですが(本ばかり読んでいる)書きたいものから書いていくことにしました。

以下ネタバレありです

10人産んだら、1人殺していいのが常識になった世界。主人公の育子は、自分が小さい頃はまだ殺人が罪だったのに、いつの間にか「産んで殺すこと」が尊く美しいものになった。

常識ってある日コロッと変わっちゃうのかもしれない。村田沙耶香さんは、今の常識とか、普通とされてることを鮮やかに否定する。そんな常識なんてものは一時的であって、未来永劫そうとは限らないでしょ、と言われてるような。

わたし自身「普通」「常識」は苦手な方。

「なんでそんなこともわからないの。常識でしょ」と年配の人にはまあまあ言われてる。

一方で、わたしの仕事では利用者の方には「普通」なんてものは通用しないし、そんなつまらないことを押し付けちゃだめだと思ってる。なのに、押し付けなきゃいけない時もあって、そういうときにひどく苦しい気持ちになる。

わけわかんないんだよなあ、この世界ってさ〜。

殺人出産の世界では、10人産めば1人殺せる。
自分だっていままで何人頭の中でぶっ殺してきたかわかんない。けど実際殺ろうとは思わないわけだ。主人公の育子も似たようなことを言っていた。この気持ちは普遍的なもので、人間なら誰にでもある普通の殺意だ。しかし、育子の姉の殺意は胸の奥から湧き上がる本能的なもので、ある意味そういう人たちが救われるような制度でもあるんだろう。

自分だったらどうするかな。村田沙耶香さんの本を読むといつも考えさせられる。平凡なわたしだけれど、強烈な殺意を持って、10人産んで1人殺すような生き方も、ちょっとありなんじゃないかと思ってしまう。まぁ、、ほんとに自分にできる気はしないけど、不思議と産み人への嫌悪感はない。逆に自分がいつ殺されるかわからない世界。今よりも命が尊くなるような気にもさせられた。

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