見出し画像

いつだってピザは美味しい! [食文化の理解を深める]

ある時「アメリカ人が喜ぶ、日本からのお土産は何か」という話を友人達としていたところ、
「風邪を引いた時でさえ、ピザを食べる人達だよ。食べ物の繊細さなんてわからないから、適当でいいよ。」と在米滞在年数の長い友人がサラッと言った。

「そんな上から目線でバカにすることもなかろうに、ちょっと失礼すぎじゃないか?」と苦笑いしながら、その言葉を聞き流していた。

しかし、長いアメリカ生活の中、お見舞いやお世話をする機会も出てくるのではないかと思い「風邪を引いた時や具合の悪い時に一体何を食べるのか」について、60代のアメリカ人のカップルに聞いてみることにした。
「うーん…スープとかサンドウィッチとか…何も食べないか…」と歯切れの悪い返事が返ってくる。考えてはいるが、特にこれといって出てこない様子。
「えっじゃあ、ピザとか食べれる?」と半ば冗談のつもりで聞いてみたところ「Oh yeah!」と笑顔で即答された。

具合の悪さと胃腸の調子はさほど連結していないのか、ピザはどんな時でも余裕で消化できるのか。いつでも食べれると言う。純粋素朴な日本人に向かって冗談を言っているのか、「アメリカ人なるもの」を演出しているだけなのかと穿ったが、相手も純粋素朴なアメリカ人。
ニコニコと笑いながら「今日は一緒にピザを食べに行こうか」と誘われる始末。

どうやら「病気になったら、おかゆやおじやのように消化の良い物を食べましょう」という食育はあまり浸透していないように思える。
熱があるからといって、胃腸が弱っているということにはならない。たまたま、チーズを簡単に消化できる人達と話をしたのかもしれないが、体調不良胃腸不良はあまり連動していないようだ。

生活してみて気がついたが、多くのアメリカ人はピザが大好きだ。私たちがおにぎりが大好きなように、子供の頃から食べて育っているピザがいくつになっても好きなのだ。アメリカ企業で働いていると、ピザを食べる機会が多い。こういったことは、単純に受け入れるしかない

しかし、このような「ちょっとした知らなかったこと」は、アメリカ人にもある。
以前、会社で頂き物の高価なクラッカーとチーズを食べていると、社内でも食通で知られるゴリラ君が「このクラッカー、ピンコに使ったら美味しいよ!」 とニコニコしながら言う。
「えっ?ぴんこピンコ?何それ?」と聞くと「天ぷらに使っているやつ!」と返事が。
「あっ、パン粉のことか!」

「ゴリラ君、惜しい! でもね、天ぷらにパン粉は使わないんだ。パン粉を使うのはフライなんだ。」と心で思いながら、「そうだね!」と笑顔で返事。

他国の食文化の理解度なんて、お互い様だと思っている。