アッチャンとアッチャン様の神隠し
~皆様、神隠しをご存じですか?~
人が突然、姿を消してしまう現象のことを言います。
姿を消した人は、どこへ行ったのか?
天狗や山の神に連れ去られた。
狐や狸に化かされた。
異世界に迷いこんでしまった。
など、様々な理由で
消えてしまうそうです。
私は、田舎で育ちましたので
夜の山の不気味さを見ると
本当に、どこか知らない世界に繋がってるのではないかと思えてしまいます。
そんな、神隠しについて
私の身の回りで起きたことがあるので
ぜひお話をさせていただければと思います。
どうか、皆様今回もお付き合いいただけないでしょうか?
私が小学生の頃です。
弟と
いとこのシュウくん
友達のアッチャンで
家の裏山に秘密基地を作っていました。
秘密基地と言っても
小学生の作るものですから
椅子が置いてあったり
使えないテレビや炊飯器が
置いてあるぐらいです。
みんなで
秘密基地を
ワイワイと楽しみながら
時間を忘れるほど作っていました。
すると、
シュウくんが突然
「アッチャンがいない。」
と言うのです。
確かに秘密基地作りに夢中になりすぎて
気づきませんでしたが
アッチャンのことをしばらく見ていません。
みんなで
アッチャンを探しに行きました。
「おーい!アッチャーン!」
返事がありません。
すぐ近くにある私の家に行き、
探しますが
どこにもいません。
シュウくんが言いました。
「もしかして、アッチャンは山の奥まで行って迷って帰れなくなったのかも…」
弟が言いました。
「悪い大人に誘拐されたのかも…」
みんなの話を聞き
私は嫌なことばかり頭に浮かびます。
大変なことになりました。
今日は、頼れる大人達も誰も家にいない。
私達だけで解決しなければいけません!
こういう時は、警察です!
ドキドキしながら
生まれて初めての110番をすることにしました。
でも、警察に電話するのが怖くて
誰もやりたがりません。
誰が電話するか揉めている間に
後ろから声がします。
「どうしたの?」
アッチャンです!
消えたアッチャンが
いつの間にか現れたのです!
私「アッチャン、どこ行ってたんだよ?」
アッチャン「家に帰ってた。」
私「え?なんで急に帰ったりすんだよ!
みんな心配したんだぞ!」
アッチャンは、とても言いにくそうに。
「…だって、お前んちのトイレが臭くて
ウンチしたくなかったんだもん。」
なるほど。
私の家のトイレが臭くて、
入りたくなかったのですね。
だから
片道20分ぐらいかけて自分の家に
1度帰ってウンチしに行ったのですね。
そうですか…
それは仕方ないです…。
臭かったのですから…。
行方不明の理由が
思ってもいないものだったので
私は怒ろうにも怒れなくなりました。
むしろ心に深い傷を負いました。
気まずい雰囲気が漂います。
すると、シュウくんが突然
口を開きました。
「わりぃ、臭かったの多分俺のウンチ臭だと思う…」
私達は突然のシュウくんの
カミングアウトに驚きました。
シュウくんを見ると
ものすごく反省しているようでした。
誰もシュウくんを
責めることなどしません。
シュウくんは勇気を振り絞って
告白してくれたのですから!
そして、シュウくんは
「今度からウンチしたら必ず消臭力を
目一杯に振り撒くよ。」
と改善策まで挙げました。
なんて、素晴らしいんだ。
アッチャンも
「俺も突然帰ったりなんかして悪かったよ。」と謝りました。
素晴らしいです!
みんなで謝ることができるなんて!
私達は、最高の秘密基地仲間です!
私達は再び仲良く秘密基地作りを再開し
17時のチャイムが鳴り
解散しました。
そして、家に帰ると
弟がなぜか元気がなさそうでした。
私は弟に「どうした?」と聞きました。
すると、弟は
「本当はシュウくんの後に
ウンチしたのは俺なんだ…
シュウくんのウンチ、
そんなに臭くなかったから。
たぶん、臭かったのは俺のだよ…」
と後になってから
カミングアウトしてきました。
私は、なんて愚かな弟なんだと
怒りが込み上げました。
私はお兄ちゃんとして、
弟を叱ろうとしました。
しかし、
弟も勇気を出して
カミングアウトしたのです。
これは、簡単にできることではありません。
私は弟の過ちを許し
後日シュウくんとアッチャンに
謝りに行こうと約束しました。
そして、
次の土日にシュウくんとアッチャンが
また秘密基地を作りに来ました。
弟は、2人に謝りました。
2人は「気にするな!」と
笑顔で許してくれました。
本当に素敵な仲間です。
私はみんなと秘密基地作りができて幸せです。
どんなことがあっても
これからもずっと仲間だからね!!
そして、
和やかな雰囲気になった瞬間を見計らって
私も、実は弟の後に
とびきり臭いウンチを
トイレにしたことをカミングアウトさせていただきました。
賢弟、シュウ様、アッチャン様に
深々と、さらに深々と頭を極限まで下げて
丁重に謝罪をさせていただきました。
しかし、誰からもお許しを頂けませんでした。
※みんながお腹を壊したのは
山に落ちてた柿を食べたのがいけなかったのかもしれません。
皆さんもお気をつけて。
そして、謝罪はお早めに。