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「出会い」

信頼による業務拡大と共に、印刷業にも様々な業態があることが分かっていきました。
取引先のシール印刷会社から、印刷工業組合への加入の依頼と全国組織で活躍する青年会への勧誘があったのです。
それに伴い、異業種との交流など忙しい日々を過ごすことができたのです。
三十代の青年らしく、様々な行事・催しのスタッフとして積極的に参加することで信頼と責任を任せられるようになりました。青年会では札幌、そして東北の常任理事を担当。仕事と共に会の運営含め全国34都府県・アジア(中国・韓国・タイ・台湾)を中心に海外8ケ国地域を訪問するようになりました。

10年前には考えられない事が起きたのです。数年前、資金繰りの悪化で札幌市中央区内の運送事務所を閉鎖。豊平区の店は現金仕入れ。当時の法律では取り立て規制の法も甘く、ヤミ金業者のように電話は無論、昼夜問わず取り立てがきました。
電話は止まる(滞納)ことで解決しましたが、やがて電気・ガス(水道だけは中々止まらない)を停止するも取り立て屋は訪ねて来る。その対策も含めて、運送事務所を閉鎖しましたが、私の住まいはマークされていたのです。
ある時は「飛んでみて」と、持ち金を没収されたことも今では貴重な経験で笑えます。このことがきっかけで、弁護士による法律相談のアドバイスのもと裁判所に減免救済を行ったのでした。

人生というものは、実に多彩な「出会い」の連続である。美しい出会いもあれば、悔いの残る出会いもあるかもしれない。友人であってもよい。学問の師であってもよい。また、何らかの研究課題であってもよい。そのささいにもみえる出会いが生涯を決定してしまうことも多い。次元は違うが「出会い」は良くも悪くも全てにおいて影響をもたらす。
そう語る偉人の言葉を私は実感しました。

会社経営の歴史の中では、業務以外の様々な事件・事故もありました。
新工場の事務所に泥棒が入ったことは後々触れたいと思いますが、今回は水害事故の一件について触れたいと思います。
その日は、私が得意先である苫小牧へ直行・高速道を走行中のことでした。
ショルダーホン(当時の携帯電話)がしつこく鳴るのです。
「高速道路なのに……」と思いながら非常駐車帯へ停車。電話に出ると「社長!」の一声からしばらくの無言。相手は工場長の弟からでした。
「工場が水没している!製品も水浸し!」と、絶叫している。
倉庫へ移動した製品以外はすべてダメになっているというのです。
得意先へ帰札を伝え、はやる気持ちを抑えて高速道をUターンし会社へと向かいました。

到着して私も絶句しました。弟が叫んだ事に納得したのです。
機械も無論水に浸かり、納期の迫っている半製品までもがすべて廃棄物処理扱いです。
ほどなくして原因が判明。5階建てのマンション屋上に溜まりに貯まったプール状態の雪解け水が一挙に1階にある我が社の工場へ流れ落ちたのでした。

4月始めの雪解け水が管理不行き届きの末に起こった事故。オーナーが加入する賠償責任保険は1,000万が最高額とのこと。機械の修復含めまったく足りない。現場を査察に来たオーナー側の保険会社の査定員も「即刻支払う」と、私に一礼して早々に帰っていきました。が、「追加はオーナーとの交渉でお願いします」と、そのオーナー、実はこの1ヶ月前に月50万の賃料を3ヶ月分150万円の前払いの懇願を受けて支払っていたばかりでした。空室状況が続き資金繰りに苦慮していたのです。

幸い、自社の機械保険等のメンテナンスも含め3,000万円程の損害補償金は即断即決で解決しましたが、問題は商品と納期の迫っている製品です。
得意先に説明と謝罪を私と営業メンバーでまわり、関連会社への外注で何とか信頼を失わずに済みました。
その後、結果的にビルのオーナーが変わることで、自社工場への投資を検討する出会いが生じることとなりました。

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