小規模なスペースで生産を増やす方法/ Ben Hartman
今回紹介するのは、トヨタ生産方式を小規模農家に取り入れて、農業スケールを小さくしながら、利益を維持しているベンハートマンさんの記事を紹介します。
日本語訳はないですが、彼の最新刊「The Lean Micro Farm: How to Get Small, Embrace Local, Live Better, and Work Less」はお勧めです。
小規模なスペースで生産を増やす方法
編集者注：以下は、[ベン・ハートマンの新しい本The Lean Micro Farm*（チェルシーグリーン出版、2023年11月）からの抜粋で、出版社の許可を得て印刷されています。この本では、ベンは自身の農場の面積を1エーカーから1/3エーカーに縮小しましたが、給料を減らすことなく、家族やコミュニティを優先する取り組みを行っています。そのスケールで効率的に農業を行うための重要な要素の1つは、迅速かつ効率的なベッド（畝）の切り替えです。ここでは、著者が自身の農場でどのようにそれを実現しているかを説明しています。*
小さな農場（マーケットガーデナー）は一つの作物から他の作物にベッドを何度も転換することで、シーズン中に最大限のスペースを活用します。これにより、同じベッドを年に2回または3回植えることで、実質的に生産面積を2倍または3倍にすることができます。つまり、1/3エーカーの敷地は、年に一つの作物を育てる1/3エーカーの農場と同等になります。これにより、マルチクロップのベッドの肥沃度を高く保つために大量の堆肥を施すことが正当化されます。
重要なのは、ベッドを素早くかつ効率的に転換することです。Clay Bottom Farmでは、シーズンごとに100以上のベッドを転換していますが、これは私たちにとって最も負担の大きい作業であり、改善の余地がある場所でもあります。
新しい農場に移ったときに私たちが考案したベッド転換のプロセスを以下に示します。まず、古い作物を（通常は切ることなく）シートで覆い、太陽の下で腐敗させます（ステップ1）。数週間で、作物は泥状になります。次に、シートを取り外し、必要に応じて残りカスを道にかき集めます（ステップ2）。ベッドはそのまま再植される準備ができています。ブロードフォーク、チゼルプラウ、ロータベーター、くわえり、または肥料は必要ありません。この方法は、できるだけ単純なものです。
プロセスの規則は、根を地面に残すことです。地面に残された根は、土壌微生物が食べるための炭素質の材料を提供します。また、腐敗することで、根は空気の隙間を残し、土壌の構造を緩めます。腐敗した植物質も土壌を養います。
この方法では、農家は成長プロセスから離れることができます。必要な作業を行い、その後は自然に任せるのです。このアプローチにより、通常の耕作、チゼルプラウ、ブロードフォーキング、リッピング、または古い作物を手作業で引き抜くなどの従来の方法と比べて、毎シーズン数時間を節約することができます。また、無駄な重労働を避けることができます。私は16年間の栽培の結果、ベッドの準備に推奨されるほとんどの方法、先に挙げたような方法は特に必要ないと結論付けました。特に、深いマルチングを行っている場合は、これらの方法はパレートテストに合格しないのです。
深いマルチングと同様に、この方法は広範な作業面積を持つ大規模な農業には実用的ではありません。タープの管理が煩雑すぎるからです。以下では、詳細に二段階のベッドの反転方法について説明します。
短時間の作物を反転させるためのより良い方法
ほうれん草、ベビーグリーン、ヘッドレタスなどの「短時間」の作物では、収穫が終わった後に14'×75'(4.2m×2ｍ）のサイレージタープをベッドの上にかけます。このサイズのタープは、両側のパスを含む2つのベッドをカバーします。1つのベッドをカバーする場合は、タープを半分に折ります。一人で扱いやすくするために、このようにタープを狭い幅に切ることをおすすめします。シュマッハのアドバイスを覚えておいてください：人間のためにデザインを行い、農業を快適に行いましょう。
カバーする予定のベッド/パスの幅よりもタープを約50ｃｍ広く切ります。下にある作物がタープを若干押し上げるためです。マーケットガーデナーのサイレージタープは、オンラインで多くの場所で購入できます（日本ではあてに入りにくい）。私たちは、タープの重さによる送料の節約のために、地元の農業用品店で購入しています。
次に、サンドバッグでタープを留めます。最適な排水性を確保するために、ドライブウェイの砂利でサンドバッグを満たします。一人が2歩おきに配置されたサンドバッグは、風でタープが飛ばされないように固定します。風の強い地域にいる場合は、より近い間隔を選びます。複数のタープを並べて使用する場合は、少なくとも12インチ以上の重なりを確保します。
ヒント1：タープの端をプロットの端と正確に合わせてください。タープがわずかでもずれていると、雑草に成長する余地を与えてしまいます。雑草はこの機会を最大限に利用します。
ヒント2：タープを敷く際には、少し伸ばして地面にできるだけ引っ張るようにしてください。タープは光を遮断することによって作物を殺し、熱を閉じ込めます。タープが引っ張られているほど、下にある場所はより暗く、より暖かくなります。
ヒント3：灌漑のために敷設したドリップテープは、タープの下にそのまま残しておいてください。作物が枯れた後、必要に応じて簡単に取り外すことができます。
ヒント4：木のように農業をし、先を見越して計画しましょう。植え付ける予定の2週間前には、少なくとも2つのベッドが通常タープで覆われています。ギリギリまで待たないでください。私たちの農場では、植え付けの準備のために常に少なくとも2つのベッドがタープで覆われています。
時折、この分解された物質の混乱は、整然とした経路に収まるには大きすぎることがあります。この場合、ベッドの端に山としてかき集め、数か月後にベッド全体に広げる小さな堆肥の山を作ります。その間に緑色の部分が完全に分解するまで待ちます。または、これらの使用済みの緑色の部分を近くの別のタープの下にかき集めるか、プロットの近くの堆肥の山に追加します。重要なのは、古い植物をできるだけ成長した場所に近い状態で保つことで、土壌を豊かにし、腰痛を防ぐことです。
作物が完全に成熟する前にタープで覆う場合も稀にあります。例えば、2021年には、2020年に間違って種を蒔いてしまったペルーのデイジーが成長が早く、レタスのベッドを覆い尽くしました。雑草と戦う代わりに、ベッドをタープで覆い、デイジーとレタスを溶かし、数週間後に別の作物で再スタートすることにしました。
サイレージタープの保管方法
タープがベッドから取り外される準備ができたら、それを収穫したグリーンの別のベッドに引っ張ります。もしタープを置く準備ができたベッドがない場合は、他のタープの上に平らに広げて、フィールド内に保管します。これにより、タープを折りたたんでフィールドから移動させる必要がなくなります。
タープは微生物を殺すのではないか？
短い答え：はい、多くの微生物（すべてではありません）はタープの下で死滅します。特に真夏の間はですが、彼らはすぐに再生します。
テキサスA＆M大学の研究者によれば、土壌中のほとんどの微生物が最も繁殖しやすい温度範囲は60°Fから85°F（16°Cから29°C）です。多くの菌類、細菌、および他の微生物は、温度が145°F（63°C）に達したときに死滅します。ただし、一部の好熱性（「熱を愛する」）微生物は、150°F（66°C）に達する土壌で繁殖します。夏の暑さの中で、タープを追加することで、北部でも土壌が130°F（54°C）以上に温まることがあり、そのためタープは微生物の生活を遅くします。ただし、細菌と原生動物は数時間以内に再繁殖し、線虫は30日以内に再繁殖します。タープが土壌微生物に与える影響は、今後の研究の領域ですが、現時点では、土壌微生物の回復を速めるためには、土壌に炭素をたくさん含ませ（植物の残骸や根を残す別の理由）、湿潤な状態を保つことが重要であると科学者は同意しています。
なぜタープの下で灌漑するのですか？
ベッドが乾燥している場合は、タープをかける前にトリップテープの灌漑または上部散水装置で湿らせます。タープを長時間かける予定の場合、タープの下の各ベッドに少なくとも2本のトリップテープランを配置し、タープが設置されている間はベッドに灌漑を行います。土壌湿度を調節するために、水道栓にタイマーを使用しています。指を使ってどれくらい灌漑するかをテストします。2インチ（5センチ）の深さでは、土壌は湿っているがべたつかない感じであるべきです。
タープの下で灌漑する理由は2つあります。まず、前述の通り、土壌が湿っていると微生物がより早く回復します。第二に、堆肥は親水性です。つまり、乾燥した後に再び湿潤にすることは困難です。深い堆肥を湿潤に保つことで、この問題を防ぐことができます。
タープが作物の分解にどれくらいの時間がかかりますか？
分解の時間は、植物の大きさと天候によって異なります。7月中旬には、タープで覆われたアルガラのような小さな葉物野菜は数日で泥状になります。一方、秋にタープで覆われた東京ベカナキャベツのような大きな作物は、春まで完全に枯れることはありません。私たちは、5月から9月までの期間（ベッドを頻繁に入れ替える季節）において、ほとんどの作物が腐敗するのに通常2週間程度十分であることを見つけました。
時間を待つ時間がない場合はどうすればよいですか？
即座に移植できる苗がある場合や、直接種を急いでまきたい場合は、古い作物を手で取り除くのが最善の方法です。まず、私たちはHossで購入した固定刃のスイープを使用し、ホイールホウに取り付けて土の表面下で根を切ります。この作業は2人で行うのが良いです。一人が引っ張り、もう一人がツールを誘導します。ツールを掘り込むのを助けるために、ホイールホウの中央に砂袋を追加することもあります。また、Tilmorの新しいE-Ox電動ホイールホウも使用でき、Hossのスイープと組み合わせて一人で作業を完了することもできます。その後、可変式のスプリングタインレーキを使用して、グリーンを一か所にかき集め、フォークで堆肥の山に運びます。
冬のためにベッドを準備する方法
秋になると木々は葉で地面を覆い、冬には成長ベッドにコンポスト（または少し分解した葉）を1インチ敷くことは良い考えです。このマルチはスポンジのように機能し、土壌浸食の問題を軽減します。
冬にもまだグリーンがベッドにある場合は、そのグリーンを畑に残します。その根は土壌浸食を防ぐために地面を「保持」するのに役立ち、凍結温度で上部が枯れるでしょう。そして春にはかき集める準備ができます。私たちの経験では、深いマルチの成長ベッドは冬に防水シートやカバークロップで覆う必要はありませんが、これらの方法は悪影響を与えません。私たちの農場では、前述のように、いつも収益作物でいっぱいなのでカバークロップを育てるための時間が十分にありません。
地中の根は種まきや移植に支障をきたしますか？
ノーティルベッド（不耕起畝）で種まきや移植をする場合、前作の茎や根に当たらないように行をずらしています。例えば、ベッドにはバジルの3列があったとします。その後にはスピナッチの5列を種まきし、バジルの古い根を行と行の間に残します。私たちの経験では、残された古い根が新しい作物の成長に悪影響を与えたことはありません。また、私たちの経験では、ジャングシーダーやペーパーポットトランスプランターは、前述のように行をずらす限り、古い根を通り抜けることができます。
ベッドに乗ることは問題ありますか？
ベッドに少し踏み込むことは全く問題ありません。例えば、グリーンを収穫する際や畑を横切る際にベッドに乗ることは労力を節約する場合があります。堆肥がたくさん含まれた土壌は他の種類の土壌よりも重みを支えることができます。
ただし、土壌の構造と透水性を保護するために、できる限り通路に沿って進むことが最善です。また、非常に湿った状態のベッドに乗ることは良い慣行ではありません。湿った状態での圧縮は修復に長い時間とかなりの努力を必要とするからです。
なぜ作物の輪作をやめたのか
私たちは農場で意図的に作物の輪作を行っていません。私たちは長期間のケールを同じ場所で3シーズン連続で育てており、レタスをレタスに、トマトをトマトに続けて栽培することもよくあります。土壌管理に優しいアプローチを取れば（耕さずに数シーズンごとに堆肥を表面に施す）、この方法による悪影響は見られません。実際、微生物が同じ種類の植物の根と多シーズンの共生関係を発展させる可能性があるのではないかと思っています。いずれにせよ、小さな農場では、作物の輪作に関わることなく計画の時間を節約し、作業を簡素化することができます。
作物の間で土壌を緩める必要がありますか？
私たちは、作物の間で土壌を緩める必要があることはほとんどありません。古い作物に残された堆肥、菌類、および根が、ほとんどの作物に対して十分に土壌を緩めてくれます。ただし、いくつかの場合には、道具を使って土壌を緩めることがあります。たとえば、秋のニンジンのためにベッドを準備するために土壌を緩めることがあります。これらのニンジンは長さ12インチに育つことがあります。これらのニンジンは深いマルチの層を貫通するため、緩められた土壌ではより長いニンジンが見られます。春には、地面が雪で圧縮されている場合に、電動ホーを使用して表面の下を軽く起こすこともあります。ただし、ほとんどの場合、土壌の緩めには控えめなアプローチを取り、耙いた後にすぐに植え付けるだけです。
元記事：https://www.growingformarket.com/articles/twostep-bed-flipping
Photo courtesy of Fons Heijnsbroek, abstract-art, Unsplash
以上です。
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