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Regenerative Agriculture(環境再生型農業)とは?/ Jeff Moyer

以前紹介したRegenerative Agriculture(環境再生型農業)についての記事を一つにまとめて編集しました。

この農法が日本でも拡がっていってくれればと思います。


環境再生農業とは?


私の足下にある土壌についてこれから話します。
健康な土壌は健康な野菜を作り、健康な野菜は健康な体を作る事に繋がります。化成肥料だけに頼った農法は終わりを迎えました。これからは環境再生型農業が未来の農法になります。

もし持続可能性について考えた事があるのであれば環境再生型農業について聞いたことがあるかもしれません。この農法で一部の専門家は大気中のCO2を土壌中に固定する事で気候変動が逆転出来ると指摘しています。
人為的な炭素排出量を100%隔離できるのか?

答えは100%可能です。

環境再生型農業の支持者は、それが生物多様性をもたらし、農場を洪水に対してより回復力のあるものにし、より健康的な食品を生産し、さらには家畜の福祉を改善することができると言います。


ロデール研究所

私は本当に環境再生型農業が気候変動を食い止めるのか知りたくて、そのことを知るために環境再生型農業の中心地であるロデイル研究所を訪れました。かれらは環境再生型農業と有機農業について70年以上研究しています。
歴史を紐解いていくとまず1940年に起業家であるJ・I ロデイルが農場を買いました。そこで化学肥料を使わない有機農業の実験を始めました。

そして1947年にソイルヘルス財団を設立。それがいまのロデール研究所です。この非営利団体は40年近く慣行農業と有機農業の対象実験を行い栽培技術を研究しています。

環境再生型農業は特に土壌肥沃土を高める事が分かっています。そしてカバークロップ(被覆作物)や輪作体系、清潔で健康的な動物飼育環境。他には化学肥料や除草剤、農薬を使わずに堆肥を使う特徴があります。

2020年9月にロデール研究所は紙面でこのように発表しました。

環境再生型農業を牧草地や耕作地帯で適応させると100%現在人為的に排出しているCO2を隔離出来る。
ロデール研究所の研究結果によると、もし私たちが農場や牧草地を環境再生型農業に切り替えることが出来るのならば私たちは確実に私たちが現在排出しているCO2を隔離することが出来る。さらに私たちは気候変動を農業のやり方を変える事が出来れば良い方向に逆転させる事が出来ると発表しました。

ロデール研究所のCEOであるジェフ・モイヤーともう少し理解するために話しを伺いました。


ジェフモイヤーとの対談

ジェフ・モイヤーへの質問

ルーシー:私や多くの人々が土壌が死んでしまってただの泥になってしまっていると感じている。

ジェフ:そうだね。

ルーシー:土壌の健康状態を保護したり良くするために今からどうしたら良いの?

ジェフ:土壌の健康状態のポイントは土壌中の微生物だ。私たちのエネルギーは太陽によってもたらされて、電気エネルギーは家で使われていて石油エネルギーは車に使われている。土壌微生物はそれと一緒で土壌微生物は植物からエネルギーを獲得できて土壌の中で成長するんだ。
だからもし何も植物がないとエネルギーを集める事は出来ないし、土壌微生物はどんどん死んでいって劣化していまうんだ。だから私たち農家は土壌を植物で一年中覆っておく必要がある。この圃場は前日に耕耘してるが、すぐにカバークロップが成長している。今からこの場所を掘ってみて君に見せてあげよう。

ここにはとても複雑な根っこがすでにあって、麦の種が発芽しているのが分かるかな?根っこの構造がもう見て取れるね。これが太陽からエネルギーを土壌に集めているって事なんだ。植物の根っこは土壌微生物のサポートをしている。植物の葉っぱなどで光合成をして植物が利用できる形にして土壌にCO2を隔離しているんだ。

光合成を行う事でCO2を空気環境から吸収して、炭素として土壌に隔離する。このことによって3倍~4倍の炭素を大気中から土壌に隔離する。これまでの慣行農法のでは農薬や化学肥料に依存して土壌を劣化させてきた。土壌の大量の炭素含有量が減ってきてしまっており75%の世界の土壌が劣化している。

国際連合によると、今のままの農業を続けると60年しか農業は続けられないと発表されたんだ。

ルーシー:だからもし慣行農法を続けると一年中冬みたいに裸地のままなの?

ジェフ:そうだよ。このままだと裸地になってしまう。

ルーシー:何でそんなにひどいの?

ジェフ:僕たちは太陽のエネルギーを植物以上に活用出来ないし、土壌微生物に餌を与えることも出来ないからだよ。

ルーシー:この植物がなくなって次のシーズンに根っこが炭素を隔離するってこと?

ジェフ:炭素はそうなるね。この数週間でカバーされて太陽エネルギーを集めて土壌に炭素を隔離する。

ルーシー:環境再生型農業を理解するために私たちは慣行農法を学ばないといけない。それらは1960年に始まり今ではアメリカで支配的になった。慣行農法は化学肥料、農薬、除草剤に依存している。GM作物と同様高い収穫性と広大な土地で単一の作物を栽培している。時代は変わって慣行農法で栽培される主要な作物は2倍の支出がかかっているが、栄養価の低い作物になってきてて化学肥料が流出している。それが水路を汚染し人体への健康状態を脅かしている。そして気候変動を助長している。石油がベースの窒素肥料は酸化窒素が主要でそれは強い温室効果ガスを発生させます。


慣行農法とオーガニック農法の比較実験結果

ジェフ:私たちがこの農場を購入した1971年からオーガニック農法をしている。しかし周りの人たちはオーガニック農法ではトウモロコシは栽培出来ないと言っていた。しかし実際キミが見ているこの隣の畑のようにはっきりととても元気なトウモロコシが育っているだろう。この圃場は50年以上オーガニック農法で栽培している。ここは家畜用に栽培しているので私たちが食べる為のトウモロコシでない。しかしとても良いトウモロコシがなっていて、私たちの圃場全体がそうなっている。だからこの圃場が1エーカーでも10000エーカーでも関係なく私たちはオーガニック農法で栽培出来るんだ。

ルーシー:オーガニック農法の場合は病害虫管理はどうしているの?

ジェフ:ここでは輪作体系をとっていて、今年トウモロコシを植えたら来年はトウモロコシを栽培しない。来年は違う場所で栽培する。そうする事で来年は病害虫は多く繁殖せずにすむ。

ルーシー:そんなにシンプルなの?

ジェフ:それくらいシンプルなんだ。
ロデール研究所は40年以上輪作体系を実験している。慣行農法と比較するために。このトウモロコシの圃場は40年以上慣行農法で栽培されている。農薬や化学肥料を使っていている圃場とその圃場から1.5m離してオーガニックで栽培されている圃場がある。


スミス(ロデイル研究所のチーフ科学者):
最初の4年間は慣行農方の方が収穫量がオーガニック農法よりも上回っていた。この圃場は何十年も栽培しているが、70年~100年慣行農法の耕耘を行っていて、大量の化学農薬も使っている。化学農薬で育った植物とオーガニック農法で栽培した植物を収穫して調べて、色々な統計データを出した。
私たちはそのデータから多くの事に気づいた。オーガニック農法で育てらると多くの炭素を圃場に固定する事が分かった。

ルーシー:何故慣行農法で育てたら同じように炭素を固定出来ないの?

スミス:私たちは長い時間をかけて調べてきました。慣行農法のように合成された農薬を使うと何度も炭素は土壌から出ていってしまいます。反対にオーガニック農法や自然由来の肥料を使って育てると炭素は土壌に固定されていきます。
ロデイル研究所では農薬を使わずに栽培刷ることが良い結果を生むことを証明してくれています。ロデイル研究所ではカボチャ、スイートポテト、トマトなどの野菜もまた栽培しています。

そして家畜の福祉も考えられた豚や鳥、ダチョウなども飼育されている。

動物福祉

ロデイル研究所では動物福祉まで考えられた、豚や鳥、七面鳥を飼っています。十分なスペースと工場管理型ではなく放牧されています。

ルーシー:これはチキンモバイルね?

ジェフ:そうだ。これはチキントラクターと呼ばれている。

ルーシー:知ってるわ。最近話題になっているから。ビーガンの人たちが環境保全の為に行っているよね。けどここの鶏の飼育の仕方は環境の事を考えられているようにみえる。動物との関係はどう考えているの?

ジェフ:家畜の問題はどのように飼育するのか。ただ大きなお肉を生産する目的だけならば動物に大量の穀物を与えてやればいいが、肉の質は下がる。もし牛にトウモロコシと大豆を与えたならば牛はメタンガスを放出する。草を食べさせるとメタンの量も減るんだ。アメリカでは肉を食べ過ぎている。

ルーシー:そうね。

ジェフ:多くの肉の消費を減らさなければならない。けどゼロにしなくてもいいんだ。



炭素と微生物の関係


ロデール研究所では化成肥料の代わりに堆肥を使っている。ジェフは私に堆肥は炭素を固定するのに役立っていると話してくれた。

ジェフ:堆肥の温度はお風呂のお湯よりも熱い。この堆肥は黒くて健康な土壌に見えるだろ?炭素は黒いって事を覚えておいて。炭も黒いよね?ロデール研究所では5年から10年毎に堆肥を散布しているんだ。

ルーシー:それだけで育つの?

ジェフ:堆肥は肥料として土壌に与えているわけではなく、土壌微生物のエサとして与えているんだ。

ルーシー:炭素を土壌に固定する事が土壌微生物を増やす事に繋がるって事?

ジェフ:その通りだよ。土壌微生物は僕たちと同じように炭素で出来ている。僕たちの体は炭素が基本。だからもっと炭素が必要なんだ。

ルーシー:炭素=身体なのね?

ジェフ:その通り。だから微生物の多様性の為にも炭素が必要なんだ。

ルーシー:点と点が繋がったわ。土に炭素が必要って事が今までは抽象的だったけど、土壌微生物の為に必要って事なのね。

ジェフ:そうなんだ。土壌微生物を増やすために必要なんだ。

ルーシー:だとしたら私たちが今行っている慣行農法だと農薬を使って土壌じゃなくて死んだ土にしてしまっているのね。

ジェフ:その通りだよ。

では二酸化炭素排出量を100%隔離するという話しに戻りましょう。
それはどのくらい可能性があるのか?ロデイルはいくつかの農地と放牧研究から、環境再生型農業を行うと明らかに土壌の炭素含有率が高くなった。
実験結果から、もし荒廃した農地と放牧地を環境再生型農業で行うと世界の土壌は49ギガトンのCO2をドローダウンさせる。

しかし、批評家によると100%二酸化炭素を土壌に隔離させることは誇張していると指摘して、実際10~15%の隔離が現実的でるとする。
それでも私は環境再生型農業について真剣にためになると考えている。
化学物質の流失を防ぎ、栄養価の高い食物を生産し、動物の福祉と気候変動に対する回復力を向上させる。
土壌の炭素含有量は増えて、保水力と排水性も向上する。土壌物理性が向上する事で干ばつや洪水の特に農家の助けになる。


環境再生型農業へ支援出来る事

Vote with your dollar(消費という投票を行う)
新しい認証制度である環境再生型農業認証のついた作物を購入する。

農業回復法
2020年の2月にアメリカ会議で農業回復法が導入され、これは土壌の健康状態を向上させるとインセンティブが貰えて、どのくらい炭素が増えたのか調査する。

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以上です。

ドローダウンという温暖化現象を食い止めようという動きがありますが、環境型再生農業もその中に含まれています。地球環境を良くしていける農法は壮大でやりがいがありますね。

まだまだ環境再生型農業の栽培面積は少ないですが、これから拡がっていけばいいと思います。

ありがとうございました。


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