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鉄について

 現代農業でタンニン鉄特集が多い。それを読んでいく中で鉄について調べていくうちにかなり重要な要素だと感じたので自分なりにまとめてみた。

1.植物にとっての鉄の役割とは?

 鉄は葉緑素の合成に必要なミネラルですが、鉄はその材料に使われるわけではなく葉緑素を作る工場の製造ラインで働く大事な部品。鉄が充分ある状態があって初めて光合成能力が上がっていき肥料の吸い上げも良くなっていく。植物が吸い上げた硝酸態窒素もアンモニアに合成する酵素も鉄が関係している。そして細胞内の呼吸でエネルギーを生み出すミトコンドリアの働きがよくなり、エネルギー代謝が高まる。

2.水田での働き

 鉄は田んぼのガスわきを抑える働きがある。まずガスわきとは稲わらの分解に伴って微生物によって酸素が消費されて還元状態となった土壌中では硫黄が毒性の強硫化水素ガスへと変化しやすい.根にダメージを与えてしまう。この硫化水素の発生がガスわきであるがこの硫化水素の硫黄と鉄が反応して難溶解性硫化鉄を生成する事で硫黄を閉じ込めて硫化水素の発生を減らす仕組みになっている。

3.鉄の吸収効率を高めるタンニン鉄

 タンニン鉄とはタンニン(ポリフェノールの一種)が鉄と結びついてキレート化(吸収されにくい養分を挟み込んで吸収しやすい形に変える)した状態の鉄の事。現代農業では茶葉で釘などからタンニン鉄を作る方法が紹介されていた。重金属の問題も残っているので使うのはそこも考えて散布した方が良いだろう。

4.海水中の鉄

 海水にも鉄が必要なミネラルである。海水中に鉄が増えると海草や海藻が増えてその結果水中の溶解酸素濃度が増える事になり水質が改善される。

 しかし現在海は貧血状態になっているらしくその原因として山の荒廃がしてきされていたり、農業分野でも土壌中の鉄を吸収可能に充分出来ていないので海まで鉄が届いていない問題がある。

5.最後に

 鉄というミネラルは植物にとっては光合成の吸収効率を上げたり、土壌中の微生物活性にとっても大事なミネラルであった。そして海にとっても鉄は水質改善に大きく関係しておりその問題をたどっていくと山や畑の腐食生成が減って来ている事で利用可能な鉄の量が減っているという問題がわかった。土壌中の利用可能な鉄を増やすことが微生物活性や土壌環境の向上につながりその結果腐食が増えて、その鉄が川から海に流れていくことによって水質が改善され、また雨になって山や畑に戻ってくるのだなという循環を意識して土作りを考えていきたい。

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