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かなしい

町田康の「告白」を読み終えた。
基本、長距離電車に乗る時しか読書をしないので読破するのに半年ほどかかってしまった。ウーン。
主人公の熊太郎は直感的・直情的に動く人間たちとは違い、妙に思弁的であるが故にコミュニケーションに苦しみ世間と乖離し、かつ心のどこかで「正しさ」を信じるが故にアウトローにもなりきれなかった哀しき男。弟分の谷弥五郎と共に生まれ故郷、河内の水分村に大量殺人事件をもたらす。

今でも残る「河内音頭」のスタンダードナンバー、河内十人斬りを元にした作品である。

やっぱ町田康の小説おもすれー
本物の城戸熊太郎はこの小説に書かれてるようなお人だったのだろうか。多分違うと思う。「告白」の熊太郎はかなり近代的な思考をしてるんじゃないか。多分町田康自身の投影でもあるのだろう。だからこそ共感を得るんだろうねぇ。

あと全編河内弁で書かれちゃあるさかいに東の人らには訳分からんかもしらん。けど多分読んどるうちになんか慣れてくるんとちゃうけ。知らんけど。
デフォルメされてへんコテコテの河内弁がなんや生々しくも愛くるしいんやっしょ。会話も生き生きしとら。めちゃくちゃええやんけワレェ…

幼少の頃より自分は面倒臭がりで要領も悪く、つくづく自分は社会に不適合だな、と常々考えている。
しかし、それは周りにしっかりした人間が多すぎるからであり、これが逆に周りがカスだらけになろうものならたちまちのうちに私は社会不適合者からも弾き出されるのだろう。
肩身が狭いものであるなあ。
でもそんなアタシにも町田康は寄り添ってくれる気がした。知らんけど。


ちょうど今、Twitterを見ているとゆっくり茶番劇が商標登録されたと問題になっている。
漠然と世の中には正しさがあって均整が取れているものと思い込んでいたが、結局は他人を顧みず私利私欲の為ずるをする人がいてしかもそう人達に限って仰山の金を稼いだりしている。
正義や平等は成立し得ないのかねぇ。悲しいことであります。

朽ちた正義と蔓延る不平等を嘆いて私は寝ます。おやちゅみ。。。




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