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38.7℃

日本の某所にある
アンドロイド研究所Mでは
今日もアンドロイドの研究が
静かに静かに進んでいるのでございます

ここはこうだろ
そこはああだろ
いやおかしいだろ

いかにアンドロイドを
人間に近づける事が可能であるか

その研究にたくさんの人間が
切磋琢磨しながら
打ち込んでいるのでございます

数々の挑戦と失敗をくりかえし
試作のプロトタイプAから始まったこの研究は
幾度も試行錯誤を重ね

ついに完成まであと一歩というところまで
こぎつけたプロトタイプRは
人間の脳を移植されたわけではないのにも関わらず
自分の意思で喋り
さらには乙女な自我を持つ

まるで人間と変わりのない
ほぼ完璧なアンドロイドなのでございます

あと一歩

あと一歩のところまできているのは
誰が見ても明らかなのでございます


さて本日の研究議題は
『体内に注入するオイルの適正温度』


ある者はいうのでございます
「爆発的安定、機動力を考えたら100℃は譲れないですね。それに耐えうるモーターを開発しましょう。」

ある者はいうのでございます
『耐久性とメンテナンスの頻度を考えたら60℃が適正だろうな。そんな高温では日常生活に支障をきたすだろう。』

ある者はいうのでございます
『0423℃がいいとおもう。』
「黙れ。」



話し合いは平行線を辿ります

各々が根拠となるしっかりとした理論を用いて
譲らず話すものですから


しかし 決着が着かないだろうと
予想されたこの討論会にも終止符が打たれます

それはこのアンドロイド研究の第一人者
ハン博士の発した言葉

博士の言葉に
皆 納得するしかなかったのでございます



『人型なのだから
36.5℃じゃなければ粋じゃないだろう』



こうして
プロトタイプRには
36.5℃という人間のあたたかさのオイルが注入されることとなったわけでございます




めでたしめでたし


と 思いきや





研究はさらなる壁に
ぶち当たる事となるのでございます


結果的にプロトタイプRは
こともあろうかハン博士と
喋らなくなってしまったのでございます

そしてなにより不思議なのは
何度36.5℃のオイルを注入しても

オイルが体内を巡るやいなや
プロトタイプRはその温度を2.2℃上げ
38.7℃にしてしまうのでございます


これはどうしたことか
原因は不明



【プロトタイプRもまた失敗に終わるのか】


そんな空気が研究所内にながれ
皆が途方にくれかけた その時

ガタンと大きな音をたて席を立った
助手のミモ准教授が

満面の笑みを浮かべ浮かべ
大きな声で叫んだのでございます


「研究は成功しているわ!プロトタイプRは
ハン博士に恋をしているのよ!」








いや、お熱の意味!!!
実際 熱上がってどうするん!!!





完成は
まだまだ先のお話でございます




〜おしまい〜




※5分で考えてそのままつらつらいきました。
この適当具合をあなたに。


友情出演
ハンちゃん
ミモちゃん

🌱お題提供
rinrin0423さん

https://stand.fm/channels/5fa47f4aae8f042997b374f2


頂戴いたしましたサポートは全額有意義に使用させていただきます。主にカレーパンになるかと思われます。