栗原亜也子 〈かみさまたちのまちじん〉/ UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川2020
静岡県の中心部を南北に流れる大井川。その大井川に沿って沿岸部の島田市から内陸の川根本町を約 40 キロに渡って結ぶ大井川鐵道本線では、山間部の無人 駅を舞台とした「UNMANNED 無人駅の芸術祭」が開催中。本線には 18 の駅 があり、うち 13 駅が無人駅。同祭では6駅の無人駅と周辺地域の里山や河川敷 で12 名と 1 組が展示やワークショップを行う。
塩郷駅エリアでの参加作家の一人、栗原亜也子は大井川河川敷に巨大オセロを 出現させた「かみさまたちのまちじかん」を現地で製作し、展示している。
栗原はこれまでもオセロを用いた製作を行ってきた。白黒コマの反転のみで陣 地を争うルールの単純さ。対局相手を必要とする相互関係性。盤面が塗り替え られていくことで生じる作品の非固定性、などに着目、面白さを見出している。
用いるモチーフがシンプルな分、サイズや素材は製作場所、コラボレーション 相手によって応用がきく。2015 年の明日香村滞在では、運動場に盤面を描き、輪 切りにした廃材の丸太をコマに使用。子供達がフリスビー大のコマを手に走り 回り、対戦に熱中した。2013 年の朝鮮半島 38 度線の韓国側での作品展示に参 加した際には、フェンスを盤面に、コイン大の鏡面をコマに見立てた。
本作は、周辺地域の茶畑、川辺を走って行く SL などに魅せられ、着想を得た。
かつてこの地で神々が待ち合わせて出雲に向かったという伝承に「神様達も待 ち時間に遊んだかしら?」と思いを馳せ、20 メートル四方のオセロを製作。豊 かな自然や製茶業を営む人々の暮らしに溶け込む作品に、との思いから、素材 は自然由来のものや地元ででた廃材を利用。白のコマは河原の石に消石灰を塗 り、黒のコマはお茶の古株を燃やして炭にすることで表現した。その土地の空 気感や地元の人々との交流の中で、アイディアを固め、製作していく栗原らし い作品だ。
期間中は手すきで紙製オセロのコマを製作するワークショップ「かみオセロ」 が開催される他、駅待合室で遊べる「八十八茶オセロ」が用意される。
■展示情報■
UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2020
http://unmanned.jp
会期:2020年3月6日(金)‐22日(日)
場所:大井川鐵道無人駅周辺(静岡県島田市・川根本町)
掲載写真は本人了承のもと、栗原亜也子さんサイト( https://ayako-kurihara.tumblr.com )よりお借りしています。
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