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なんちゃっていねい生活 都会に近い田舎に住もう

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関東の小都市・神奈川県横須賀市在住の文筆家が、なんちゃってな「ていねい生活」の日々を綴ります。スキやシェアしてもらうと面白いことがあるかも!
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2023年10月の記事一覧

癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その6

廿九日 午後 約5時間の列車旅を経て降り立ったのは今やすっかり秘境として有名になった「大歩危」である。 2度目、22年ぶりの訪問だ。 しかし、前回は自動車で入ったので、駅は初訪である。だが、これだけは確実に言える。トップ画像のじいさま、当時は百パーセントいなかった。 なぜ言い切れるのか。 それは、大歩危に置かれた最初の児啼爺の開幕式に出席していたから、である。 思い起こせば2001年、私は当時知り合ってさほど間もない妖怪仲間たちと、藤川谷に建立された児啼爺の像のオープニング

癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その5

廿九日 午前 朝一番、朝食も取らずに駅に向かう。 今日は土佐を通り抜け、讃岐山中は大歩危まで一気に歩を進める予定なのだ。 駅で待つこと数分、やってきた列車は鉄道ホビートレイン! 嬉しすぎて車体の外観写真を取り逃すという失態を演じる。 天気も下り坂で、四万十川も昨日ほどは美しい川面を見せてくれない。だが違う表情が見れたのがこれもまた旅情、と自分を慰める。 ところが、乗り換えの窪川駅で乗り換え列車を待つ間に雨もあがり、土讃線ではふたたび車窓が楽しくなった。窓際の席ではなかっ

癸卯葉月 処暑 四国行 夏休み編その4

廿八日 午後 予土線で伊予から土佐へ。土佐は20年ぶりぐらい、けれどもこのルートで行くのは始めてである。そのまま高知まで突っ走るという手もあったのだが、今回は途中の江川崎駅で下車し、一泊することにした。 お目当ては四万十川だ。長年、一度は見てみたいと念願していたのだ。 「最後の清流」と名高い四万十川は同時に暴れ川でも有名である。穏やかな流れが一旦ことが起こると橋もなにも破る激流に豹変するという。 よって、上流には「沈下橋」と呼ばれる簡易橋が架けられている。欄干もなにもない

【更新情報】文豪の死に様 三島由紀夫編最終回

「もっと文豪の死に様」三島由紀夫編の最終回がアップされました。 今回は三島には「あの死に方」しかなかったのか、について考えています。 それにしても、三島編は最難関でした。それだけにひとまず最終回と打てて感慨深いものがあります。 同時に、やっぱり「健やかな子供時代」は万人に与えられるべきものあり、大人がそれを歪めるとその子の人生後々にまで祟る、というのを改めて痛感しました。 ぜひお読みください。 なお、次回は同じ戦後作家でも三島とはまったく違う道を辿った作家になる予定で

【告知】新連載始まりました!(連載一覧付)

本日から清流出版のサイトで「50歳からのハローワーク」と題するエッセイの連載がはじまりました。 タイトル通り、50歳以上を対象に、人生百年時代の後半生お仕事事情を探っていこうという内容です。 毎月2回、1日と15日(その日が休日の場合は前倒しの平日)に更新予定です。 媒体の性格上、主な対象は女性になりますが、今月と来月は「年を取ってから働く」のリアルを、データなどを参考にしながら浮き彫りにしていきます。そのあとは実例を上げながら各職業の稼げる額や適性などをみていきたいと

【更新情報】文豪&老い方

 すっかりお知らせが遅くなりましたが、2件のWEB連載、両方とも最新回がUPされています。 「もっと文豪の死に様」は三島由紀夫回の第七回です。 意外な人が、三島由紀夫の本質を掴み取るような評をしています。 そして三島との付き合いも残りあと一回になりました。 長かった……。最初はなかなか掴みそこねていたのですが、何度も繰り返し丁寧にテキストにあたるという超基礎動作に返ったら、見るべきものが見えてきました。なかなか貴重な体験でした。 「老い方がわからない」は老いてからの住居