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もしかして誤植?住宅ローン完済の年齢平均73歳!?

先日の日本経済新聞の一面に住宅ローンの完済年齢が上昇しているという記事が掲載されてました。2020年度に住宅ローンを組んだ人(約122万人)の完済計画の平均年齢が73歳だというのものです。
えっ、ホント?見出しを読んで誤植かと思う程に驚いたニュースでした。

利用者の方は将来の家計の見通しをどう考えているのか?
とても気になります。もしかしたら、私の思考が柔軟性に乏しい(アタマがカタイ)だけなのか。

完済年齢の高齢化は仕方ないが

完済年齢の平均は2000年度には68.3歳だったものが2020年度には73.1歳と20年で5歳上昇しているようです。
記事のなかでは完済年齢の高齢化理由として3つの要因を挙げています。

1. 晩婚化で住宅取得時期が遅れていること
2. 超金利を背景に住宅価格が上昇していること
3. 上記2に伴い返済期間が長期化していること

いずれも自分の周りを見渡たしてみても納得できる要因ではあります。でもホントに大丈夫なのでしょうか?
確かに医療技術の進歩などで健康寿命は延びています。以前に比べ住宅の取得時期が遅れても、定年退職の延長や再雇用の促進などで働く期間を延ばすための政策が進められているので心配ないよ。ということでしょうか?
実際に60歳以降も元気でバリバリ働いている方は大勢います。でもその一方で・・・。
公的年金にも不安を覚えるこのご時世、いろいろと気になってしまうのです。

利用開始時の年齢に注目

このニュースで、私が最も気になった点はその利用開始時の年齢です。新規住宅ローン利用の返済期間の平均が32.7年となっていました。35年ローンが当たり前の世の中ですから、それ数字自体に違和感はありませんが、単純に73.1歳での完済から逆算すると、73.1-32.7=40.4歳でローンを組んでいることになります。

ローンを組んでいる人は自営業やサラリーマンなどいろいろな職業の方がいます。でもやはり、割合的にはサラリーマンの方が多いのだと思います。
私も長らくサラリーマンとして生きてきました。私自身の経験からお話すると、20代の頃はサラリーマン人生について、先のことは全く考えていませんでした。ただ、自分の仕事でしっかり結果を残していけば、そのうち出世して、どんどん偉くなって、給料も増えて・・・。そんなふうに漠然と、そしてとても楽観的に考えていたことは覚えています。

しかし、それも40歳になる頃にはいろんなことが見えてきます。
出世できる人、できない人が暗黙知としてハッキリしてきます。仕事の成果以外でも上司との人間関係やオジサン社員の役職滞留、ポジションの数、ライバルの存在等々。
20代の時には無限の可能性だったものが、ある程度のレンジで想定ができるように。そのなかにおいて、自分の可能性はどうか?
もちろん、まだこれから!という部分も多分にあると思います。でもさすがに、「頑張れば社長になれる!」と思うほどの楽観主義者もそうはいないでしょう。

さらに人員構成の適正化を図るための人事制度から目を背けることのできない年齢でもあります。役職定年制度の有無、その後の給与体制、定年退職と再雇用制度などです。

結果として40歳という年齢はサラリーマンとしての生涯収入の予測レンジが立てられる年頃だと思います。

住宅ローン返済シミュレーション

固定金利のフラット35を活用したローンシミュレーションです。

借入額 3,000万円
借入期間 33年(40歳で借入、73歳での返済を想定)
借入金利 1.3%

計算すると総返済額は3,691万円、毎月返済額は94,000円になります。
そして、60歳時点における未返済額は1,435万円です。なお、この時点で退職金などを使って全額繰り上げ返済すれば1,337万円になります。

40~50代は支出も増える時期です。毎月の返済額を増やすのにも限度があります。60歳以降、収入が激減することを考えれば、退職金を使った繰り上げ返済は最も合理的なプランだとは思います。
だだし将来、公的年金の減額が必至の状況において老後生活の重要な財源となるべき退職金の使途が確定してしまうのは大きな不安材料です。

持ち家か賃貸か

これは個々の価値観なので、正解、不正解のある問題ではありません。ただし、サラリーマンで貯蓄のない方は60歳までに完済できない住宅ローンを組むことについては慎重に判断すべきだと思います。
特に退職金が期待できないという人は絶対に避けるべきです。
老後には想定外の収入はありません。しかし、想定外の支出は必ず発生するものだから余裕のない家計は老後破綻との背中合わせです。

賃貸でも家賃を払うのだから同じではないか?との意見もあるかと思いますが、賃貸であれば子供の独立などに合わせて小さな部屋に引っ越すことも容易です。また、仕事をリタイアして生活費の安い地域に移住するなどの選択肢もあります。
しかし持ち家を手放すのは容易ではありませんし、資産としては大きく目減りすることを覚悟しなければなりません。

住宅ローンを組むべき人

できるだけ長い住宅ローンを組むべき人も存在します。それは、ある程度の貯蓄があって、住宅ローンの金利以上の利回りで資金運用できるスキルのある人です。
借入金利としては住宅ローン金利は破格の安さです。住宅金利以上の利回りで運用できれば、その金利差は不労所得ということになります。一般論でいえば、運用期間が長いほど運用成績は安定します。長期的な運用を前提に考えれば、住宅ローン金利以上の運用利回りを確保することは、けして難しいことではないと思います。

まとめ

『無い袖は振れない』老後に生活破綻することのないよう袖の中身を確認しましょう。

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