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公的年金は「保険」です!

公的年金は「積立」制度ではありません。
公的年金は、長生きした時に備えるための「保険」に近いものなのです。

「えっ、年金って積立貯蓄のようなものじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。
世の中には長生きせず遺族もいなかったため年金をほとんど受け取らなかった世帯もあれば、100歳を超えて40年以上年金を受け取る方もいます。早く亡くなると受取総額が少なくなるのは、公的年金が長生きのための「保険」だからです。早く亡くなった方は長生きして困った状態にならなかったから、「年金保険」には結果として頼る必要がなかったという事です。

「そんな説明では納得できない。何十年も年金保険料を払ったのに大損ではないか!」という方もいらっしゃるでしょう。
でも、例えば生命保険なら「保険期間中に死ななかったから損だ!」と本気で文句を言う人はいないと思います。「保険」とは困った状態になった人が受け取るものだという理解が浸透しているからでしょう。
公的年金も「積立」ではなく「保険」だという共通認識があれば、そんな「損得に偏りすぎた」噛み合わない議論にはならないのではないでしょうか。

さらに公的年金は、障害を負ったり、現役のうちに亡くなったりした場合に「障害年金」や「遺族年金」が支給されます。これもまさに「保険」としての機能です。
「障害年金」は怪我だけはなく、病気(がんや糖尿病、うつ病など)で仕事や生活に支障が出た場合も給付の対象になります ※1。なので、大学生で年金保険料が支払えない方は、「学生納付特例制度」の申請を必ず行いましょう。申請及び承認されていれば、年金保険料を払っていなくても「障害年金」を受け取る資格が得られるのです。非常に重要な手続きなので、忘れずに面倒がらずに「毎年」申請しましょう。

なお、公的年金で「将来自分がいくら受け取ることができるのか」は関心の高いテーマですが、それだけではなく「この制度を次世代、次々世代に残すためにどうすれば良いのか」という事も真剣に議論すべき重要なテーマです。
公的年金は5年に1度「財政検証」といって、定期健診みたいなことを行っています。直近の将来推計人口や経済前提を基に、このままだと制度はどうなるのかだけではなく、よりよい状態にするための改革案も提示して試算をしています。
このようなデータを元にして「どうすれば日本の付加価値生産性が上がるのか」「その結果受取年金額の水準をどの程度まで維持できるのか」、日本の将来像をイメージしながら前向きに取り組むのが本来あるべき姿ではないでしょうか。いつまでも偏った情報に踊らされず、まずは公的年金の基本と現状をしっかり把握することから始めていきましょう。

まとめ:
・公的年金は長生きしてしまった時のための「保険」。積立ではない。
・学生は、障害年金の受給資格を得るためにも「学生納付特例制度」の申請を毎年行うべき。

※1 障害年金の対象となる病気やケガについて(日本年金機構)
    https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kounen-kyufu/shougai-kousei/20161114.html

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