黒と白、そしてグレー

黒い空に白い鳥が数羽飛ぶ
皆同じように真っ白だった
しばらく眺めると後から白とグレーのまだら模様の鳥が1羽ゆっくりと後を追っている
その1羽は自分を完全に醜いアヒルとは感じていない
むしろ他とは違う自分をクールに感じている様だ
後ろから白い鳥達を眺めては"いかにも"と言った
白い鳥達は皆同じ方向を向き真っ直ぐに飛んだ
1羽は"いかにも"と言いながらゆっくり体を左右に傾けたりした
時折、"いかにも"と言う時は寂しい表情が見え隠れした
本当は同じように同じ方向を向き真っ直ぐに飛びたいのか
"いかにも"は自己暗示である
わかるだろう

私はその1羽に言った
白い鳥達は見た目が同じに見えても好きな食べ物はきっと少しづつ違うだろう
好きな餌を独り占めする者もいれば、仲間に分け与える者もいるだろう
たまには右に傾きたいと思ってる者も居るだろうし
グレーのまだら模様が羨ましくて仕方ない者も居るかもしれない

貴方も本当は皆と同じに飛んでみたいのだろう
餌を分けあったりしたいのだろう
真っ白い体をおもいっきりに褒めてみたいのだろう

人の一部を見てそれが全てだと思うのは安易な考えである
想像力を働かせて、お互い歩み寄ることのできる人々で世界が溢れならそれは、"いかにも"愛である。