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策士、策に溺れる(よっちゃんイカ編)🦑

おはようございます、ほっしーです。

およそ15年ちょっと前、うちの娘がまだ1~2才くらいの時の出来事です。
わしが小さい時から好きな駄菓子で、‘’よっちゃんイカ‘’ってのがあるんです。

これこれ、これですわ

大人になってからも、これが年に1回くらい、無性に食べたくなるんよね。
そして、その年もめでたくその周期がやってきたので、よっちゃんイカを買って食べてたんやけど、開けた袋をよく見てみると…
当たっとるやんけ❗
わしは、くじ運が全くないタイプで、嫁がチョコボールの銀のエンゼル五個集める間に、わしは一個も出ないという有り様。
そんなわしにもようやく当たりがやってきてくれました。

小躍りするほど喜んだんやけど、ふと考えます。
「当たり交換しに行くの恥ずくね?」
いや、この当時、わし30歳overの立派なジェントルマン。
100名位の事業所の事業所長もやっており、今と違ってプライドの塊のような、クソいけすかない勘違いビジネスマン。
よっちゃんイカの当たり持って、
「くださいな😊」
とか、よー言われへんかってん。
でも、せっかく当たったんやから、絶対ほしいったらほしいねん。
子供に代わりに行ってもらうには、まだ小さ過ぎて無理やしな。

なので、あらゆるシチュエーションを想定し、戦略を練ってから行動します。
あれや、諸葛亮公明とか黒田官兵衛とか、孫子か孔子か何処の子がわからんけど、そこら辺の賢い人が言うとった気がすんで。
戦なんてもんは、戦略の時点でほぼ決まるんちゃいますのんって。
知らんけど。
とにかく最終目的は、よっちゃんイカの獲得、その過程で、わしのプライドが傷付かない事。
導かれた戦略は、コンビニでついでを装ってドサクサに紛れて交換する。
誰でも思い付くクソみたいな戦略で、いざ戦場へと向かいます。

買ったのは駄菓子屋やったけど、家から少し遠いコンビニに行って、中の様子を伺うとベテランぽいおっさん店員がレジにおる。
これなら当たりもスッとスマートに交換してくれるやろ、って事で突撃。
ついでにもらう作戦なので、基軸となる購入商品を物色。
これは、事前にシミュレーションしていた、ビーフジャーキーや柿ピーを選択。
高校生くらいの時に、レンタルビデオでAV借りる時や、エロ本買う時に培われたスキルがいかんなく発揮されます。
どや、これで、
「酒のつまみで買ったやつがたまたま当たって、ほんまはどーでもえーねんけどついでやから貰っとこか」
みたいに見えるやろ❗
わし、昔から酒ほとんど飲まへんけどな🤣

少し店内は混雑しており、レジに並びます。
すると、隣のレジに女子大生っぽい店員さんがやってきて、悪魔のセリフを吐きます。
「こちらのレジへどーぞー」
よくある地獄のシチュエーションへ突入。
さっそくスマートに交換してもらう作戦が崩れ始めたで…
AVやエロ本よりかはまだましやし、もうしゃーないから商品を台に置いて、精算が進む中でタイミングを計ります。
バーコードの読み取りが終わる位で、
「あ、そや、コレがあったんやったわ」
という大根役者ばりの演技で、例のブツをおもむろに出します。

たしかこんな感じやったかな

レジのお姉さんは、みるみるうちに‘’❓‘’が10個くらい並んだ顔になります。
「え、えっと、それ、あの、よっちゃんイカの当たりで…その…交換……」
もはやプライドなんてボロボロに崩れ去り、ただの挙動不審の変なやつでスマートさの欠片もあれへん。
こーなったらもう過程は捨てて結果だけでも取りに行かなあかん。
仕事とは、過程よりも成果が大事って、この前部長が言っとったもんな。
つまり、よっちゃんイカをゲットさえすればOK作戦に変更や。

レジを見ると、お姉さんは困ってしもて、隣のベテラン店員にヘルプを求めます。
しかし、ベテランさんも‘’❓‘’が20個くらい出とります。
ふと後ろを見ると、レジを待つ長蛇の列が…
そらそうや、レジ二つしかないし、店員さん二人ともわけわからん‘’当たり‘’に手を取られとるもんな…
店内がなんかちょっとザワついてきて、なんかもう、ここら辺でわしの心の刀は折れて矢も尽きました。

「あ、あの、もう…いいです…交換もういいです……」
消え入りそうな声で告げ、お金を払って、ビーフジャーキーと柿ピーを持って逃げるように店を出ました…
完敗や。
プライドを保ちながらよっちゃんイカをゲットする戦略を立てながら、プライドはズタボロになり、よっちゃんイカはゲット出来ず。
圧倒的敗北や。

あとから気づいたんやけど…
このコンビニ、よっちゃんイカ置いてなかったみたい😭
そら店員さんも困りはるわな。
なんでか知らんけど、この日を境に、変なプライドは消え去り、人に優しくなれたような気がする。
いや、優しくならなあかんと、ビーフジャーキーと柿ピー食いながらそう思ったねん。
なんでか知らんけど。

月日は流れ、もうよっちゃんイカは当たり付きではなくなり、わしも穏やかなただのオッサンとなりました。
今では平気で当たり交換できるくらいには大人になりました。(大人?)
それでも時たま、いらん変なプライドが顔を出してくるときもあります。
そんな時は、よっちゃんイカの当たりを思い出して、自らを戒めてます。

おわり・・・

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