ヘミングウェイ短編を読んでアウトドアへの衝動に駆られる

面白いとは何だろう。
物書きをしていると、ふとそんな疑問が浮かぶ。

アーネスト・ヘミングウェイという作家をご存じだろうか。
俺は『荒木飛呂彦の漫画術』という書籍を読んで、その存在を知った。

物書きをしていて、表現の方法に躓くことが幾度となくある。
なにか突破口見出せないか、とまずは荒木先生の本を手に取ってみたワケだ。
そして、その荒木先生は『表現方法はヘミングウェイに学べ』という。
ふむ、荒木先生が言うならば、とまずはその本に載っていた『全短編集』に手を付けてみる。

俺は基本的に、漫画やライトノベルといった、エンタメに振った内容のものばかり読んでいる。
こういった、地に足のついた内容の本を読むのは、初めてかもしれない。

現在は1冊目の半分ほどまでを読んだ。
表現方法を学べているのか、そもそも内容を理解できているのか。
そういった疑問は尽きない。
けれど、惹きつけられるものがあるのは確かだ。

アーネスト氏の趣味だったのだろうか、この本ではたびたび『釣り』をする回が挟まれる。
『ニック』が彼女との別れ話を、釣りのボートの上でする回。
よく分からないイタリア人に釣りのガイドをされる夫婦の回。
『ニック』が一人、キャンプをし、朝釣りに向かう回。(今この途中まで読んでる)

釣りをメインとしているのは、三つ目の回だけだが、どれも釣りの描写は丁寧に描かれているように思う。
針を投げ、魚が食いつくまでの時間。その間の空気感みたいなものが、とても分かりやすい。

とくに今読んでいるニックの回は、一人旅、キャンプ、釣り。
アウトドアに求める解放感と、落ち着きが伝わってきて、「ああ、俺もこんなことがしたいな」と思えてくる。

この短編集を読み始めた頃、「これ、面白いのか?」と思っていた。
大分読み進めた今は……「面白いと思って読んでいるのだろうか?」と、まだ確信を持てないでいる。
『面白さ』ってそもそも何だろう。
エンタメに慣らされすぎて、大きな起伏のあることにしか、それを感じなくなっているのかもしれない。とふと思う。

ただ、少なくとも、俺はこの本の先が知りたい。
惹きつけられるものは確かにあって、『キャンプや、旅をしたい』という気分に、心を動かされている。

そう考えると、結局この本に影響を受けているわけで……
この本を面白いと思っているのかもしれない。

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