見出し画像

軍歴証明を請求しよう~準備編~

はじめに

先日、祖父の軍歴証明を請求しました。
手続きが結構大変だったので、今後請求される方の参考になればな~と思い、記録を残すことにしました。
自分が読み返したくなるだろうな、と思うのもあります。

0.自己紹介

初めまして、そうでない方はこんにちは。
おがちゅと申します。歴史オタクです。
以上、自己紹介終わりです。
では早速本題に行きましょう!

1.軍歴証明とは?

Q.軍歴証明とは?
A.軍歴を証明するものです

多方面から「そうじゃなくて」と言われそうなのできちんと説明しますと。
第二次世界大戦で戦った人達の、
所属した部隊、どこへ戦いに行って、怪我や病気をしたのか、
また亡くなった場合、どこで亡くなったのか、を証明してくれるものです。
軍隊に所属していた期間の経歴書と言ったものでしょうか。

厚生労働省に専門のページが設けられています。
旧陸海軍から引き継がれた資料の写し等の申請について

旧軍で管理していた資料を、厚生労働省など(後述)が引き継いで管理しているのですね。

Q.でも、お高いんでしょう?
A.申請自体は無料です!
 でも必要書類を揃えるのにお金がかかります。(後述)

2.申請先は?

海軍→厚生労働省
陸軍→昭和二十年当時での本籍地の、県庁各課
です。

陸軍の場合は、知りたい人の戸籍を読み解いて、
昭和二十年当時での本籍地を割り出す必要があります。
転籍している人とかは普通に大変だと思います。
そして戸籍の書類自体、コンピュータとか普及していないので、手書きです。
場合によっては手書きの文字を解読する必要があります。
本当に……大変だと思います。

3.どうやって請求する?

◆海軍の場合◆

先ほどの厚生労働省のページに記載があります。

まず、旧軍人軍属の個人情報開示申請書が必要です。
Excelファイルです。繰り返しますが、Excelファイルです。
個人的にはPDFも用意しておいた方がよいのでは? と思いますが、
まぁ昔よりもExcelソフト無くてもファイル開く方法は増えてきている…からよいことにしておきましょう。

誰が誰の軍事証明を請求するかで、用意する書類が変わります。

 ・請求者が請求者本人の場合
 ・身分証明書のコピー
 ・開示請求する30日以内に出力した住民票

本人が申請していますよ、という書類ですね。簡単。

 ・依頼者が請求者本人でない場合
  請求依頼出来るのは親族のみです。
 ・依頼者の身分証明書のコピー
 ・依頼者と請求者の血縁関係を証明する戸籍謄本
 ・本人が死亡している場合は〝死亡していること〟が証明される書類
  (戸籍謄本、または除籍謄本など)
 ・開示請求する30日以内に出力した申請者の住民票

親子の場合は親の戸籍謄本をとれば大体子どもが一緒に載っているのですが、
孫となると、親→子→孫の証明が必要になるので、必要な書類が増えます。
私は祖父の軍歴証明を請求したかったのですが、
孫の証明するの大変だと思ったので、親の名義で申請しました。
我が家は父方の祖父も母方の祖父も海軍だったので、厚生労働省です。

◆陸軍の場合◆

まずは昭和二十年当時での本籍地を突き止めましょう。
そして「〇〇県 軍歴証明」とかで検索すると、
県のホームページの該当ページが検索結果に出てくるはずです。
そのページに従って申請しましょう。
東京都23区の場合はメールで申請して書類送ればいいとかnoteで読みました。
後は各都道府県でやり方が違うみたいです。
陸軍の方は手続きしていないのでこれ以上の詳しいことがわかりません……。
でも軍歴証明書とかで検索すると先人のレポが出てきます。
私もあさるように読みました。

4.戸籍謄本を揃えよう

これがメインと言っても過言ではないと思います。
多分一番苦労するのはここでしょう。

我が家は十数年前に、家系図を作ろうとして、戸籍をさかのぼれるだけさかのぼった書類が手元にありました。
祖父よりもずっと前の、それこそ戸籍制度が出来た時までさかのぼっています。
なので、祖父の本籍地の特定が容易でした。

~余談:厚生労働省に電話しました~

 申請日30日以内の住民票が必要とか書いてあるから、
 戸籍謄本も新しく出した方がよいのかと不安だったので、厚生労働省に電話しました。
 多分、厚生労働省に電話するとか最初で最後だと思います。
 「軍歴証明について聞きたい」と言うと担当の部署に回してくれます。
 結果、戸籍謄本はいつ出したものでも構わないとのことです。
 書類の最後に、「この通り相違ないことを認証します」とかの文言とともに、
 市長(区長等)のお名前と、印鑑とかが印刷されているので、
 この部分がある状態で送ってください、とのことでした。
 欠落していると、「本物の文書か」「偽造されたものではないか」という風になるのではないかと思います。(推測ですが……)
 また、父方、母方の祖父がどちらも海軍なので、一緒に書類を送っても大丈夫かを(念のため)確認しました。
 こちらは問題ないとのことでした。
 余談終わり。

父方の方は祖父死亡後の戸籍謄本があり、
 ・父方の祖父と父の親子関係
 ・父方祖父が死亡していること
が証明できる書類はすぐに揃いました。

後は母方の書類ですが……遠方のため、郵送で申請します。
「市区町村名 戸籍 郵送」とかで検索すれば
やり方が出てきます。

基本的には、
 ・誰の戸籍が欲しいのか、請求者との関係などを記入した申請書
 ・定額小為替
 ・返信用封筒(切手代含む)
 ・請求者の身分証明書のコピー
が必要だと思います。
この定額小為替の準備が中々、平日働いていると難しいですよね……。

~余談:戸籍の種類~

 戸籍を申請しようとすると、「戸籍のどの書類が欲しいの?」と聞かれます。
 私はここで壁にぶつかりました。
 (だから記録保持の目的も兼ねてnoteを書いているという……)

  ・戸籍
  ・除籍
  ・改製原戸籍
  ・戸籍の附票

  加えて、謄本と抄本どっち?って聞かれます。(合計8種類……)
  (請求する種類によって手数料も変わります。ホームページとかに書いてあるはず)
  え、一個ずつ詳しく説明して!?と今でも思っています。
  わかりやすいな、と思うページも見つけられていません。
  ご存じの方、教えてください。
 余談終わり。

先ほど、「父方の方は祖父死亡後の戸籍謄本があり」と書いたのですが、
この書類が「改製原戸籍」という種類だったのです。
なので、母方の方も同じものを請求すれば同じようなものが届くだろう、と思ったのです。

が。

戻ってきた書類を見ると、「祖父の死亡」が記述されていないものだったんです。
な ん で 違 う の ?

~余談の余談-1:改製原戸籍とは~

戸籍の様式が変更された場合、新しい様式のものに書き換えが行われます。
この、新しい様式に書き換える前のものを、「改製原戸籍」として保存しておきます。
古い情報のものも保存しておくのですね。
各市町村でも説明のページがあります。

岡山市による「改製原戸籍」の説明ページ

>岡山市では平成15年9月13日に戸籍のコンピュータ化を実施いたしました。
>この時も従来の紙戸籍からコンピュータ戸籍への「作り替え」が行われましたので、
>今回の作り替え前のものを特に「平成改製原戸籍」と呼んでいます

紙から電子に移行する際にも、旧紙の戸籍が「改製原戸籍」になるようです。
そして、そのタイミングは各市区町村によって違うのでしょう

父方の方は、父方祖父の死亡後に戸籍の様式が変わったのでしょう。
そして母方の方は、母方祖父が存命している時に戸籍の様式が変わった、と推測されます。

勉強になりましたね。(涙)

~余談の余談-2:除籍って何?~

戸籍謄本とは別に、「除籍謄本」というものがあります。
でも、死亡した際にも戸籍謄本に「死亡のため除籍」って書いてあるんですよね。

じゃあ、除籍謄本って何?

戸籍謄本には、特別な事情がない限り、核家族ごとに作成されます。

 筆頭者(結婚した際に名字が変わらなかった方)
 配偶者(名字が変わった方)
 子ども
  
の順に掲載されているとして。

1.子どもが結婚した
 筆頭者
 配偶者
 子ども←×が付いて、結婚相手との新しい戸籍が作成される。
     親の戸籍からは抜ける=親の戸籍から除籍になる

2.筆頭者が死亡した
 筆頭者←死亡により除籍になる
 配偶者
 (×)子ども

3.配偶者が死亡した
 (×)筆頭者
 配偶者←死亡により除籍になる
 (×)子ども

そうすると、生きている人が所属しない戸籍が出来てしまいます。
これが「除籍謄本」です。

勉強になりましたね。(2回目)

なお、戸籍は生きている限り永遠に保存されるものですが、
除籍謄本と改製原戸籍(旧式のもの)は150年の保存とのことです。

いやぁ、勉強に(以下略)。

話がだいぶ脱線しましたが、ようやく本筋に戻ります。
母方祖父の戸籍がどうなっているか、改めて考えていきます。

 ・改製原戸籍によると、筆頭者は祖父
 ・戸籍に記載されているのは、
  ・祖父
  ・祖母
  ・叔父
  ・母
  であること
 ・祖父、祖母は死亡により除籍済
 ・母は結婚により夫の戸籍に移動
  (これは転籍っていうらしいですが、書類には「除籍」と記載されています)
 ・叔父が未婚のため、戸籍に残っている=除籍謄本ではない

ということがわかりました。

なお、この時の改製原戸籍は、母方祖父と母の親子関係証明の書類となりました。
後必要なのは、母方祖父が死亡している証明書類です。

改めて祖父の戸籍謄本を取得します。
これで必要な戸籍の書類がそろいました!

~余談:戸籍書類のサンプル~

申請する書類を書きながら、「これを申請したらどういう形式のものが返ってくるのか」がとても疑問でした。
「改製原戸籍」を理解する前だったので余計にそう思ったのかもしれません。
(各市町村のサイトでは、サンプル画像が載っていたり載っていなかったりします。)
(こういうの、記載する方向で統一して欲しいな、と思ったりしました。)

一例にすぎませんが、我が家に届いた、「改製原戸籍」の様式はこちら。

母方祖父の戸籍謄本の様式はこちら。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E7%B1%8D#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Koseki-syoumei.jpg

画像には載っていませんが、除籍の場合は、「死亡した日」、「死亡が戸籍に反映された日」などの情報も載っています。

wikipediaならサンプル画像載っているのでは!? と思い見に行ったところ、載っていました。
編集してくれた方、ありがとうございます!(土下座)

5.申請書を書こう

申請書の画像、こちらです。

申請書のキャプチャ

特筆するところは特にない気がしますが……。
強いて言えば、申請者の記入が上です。
私は張り切って、申請者の氏名祖父の名前を書いて一枚破棄しました。

~読まなくていい言い訳~
両親の名前って書く機会があるから書きなれていますが、
祖父母の名前って中々書く機会ないじゃないですか。
メモ用紙に練習したんですよ。
(加えて私は手書きの字が小さいので、大きく書くためにも練習したのです)

「祖父の名前を書く」という意識が強く、左側の「申請者」という部分を見ていなかったんですよね……。
皆さんはこういう間違えしないようにお気を付けください。

結局、自分で書こうと思ったのですが、母親にバトンタッチしました。
必要な書類の手配とか、定額小為替の手配とかしたから、こういうところくらい人に任せてもいいはずです。

あと「祖父の生年月日」とかも、私だと「えぇっと、」ってワンテンポ遅れるんですよね。
母なら、「自分のこと」、「自分にとっての両親」、「配偶者」、「配偶者の両親」、「本籍地の住所(実家の住所)」とか書きなれているので、間違える可能性が低いのです。
(父なら配偶者の両親の情報は多分書けない……)

決して、パソコンに慣れたから、私の手書きの文字が綺麗じゃないとかは、関係ないのです。

~読まなくていい言い訳、終わり~

あと気になるのは、現時点で分かっている軍歴の情報でしょうか。

私の場合、母方の祖父からは、乗艦していた艦の名前を聞いているので、それを記載しておきました。

父方の祖父は、「海軍だった」という情報以外、何も分からないので、その旨を記入。
今回の手続き中に、父が「輸送船に乗っていたって言ってた気がする」とか、新しい話が聞けました。

刑罰について、開示を希望するか否かは、完璧に好みですね。
私はどちらもチェックを付けませんでした。

申請書の記載が済んだら、申請者の住民票を出します。
30日以内の条件があるので、住民票の取得は最後にするのをお勧めします。
マイナンバーカードがあればコンビニで住民票が出せるので、今までの手続きと比べるとお手軽です。

6.書類を送ろう

全部の書類がそろったら、書類をまとめて、厚生労働省に送ります!

戸籍謄本の紙が結構しっかりした厚い紙で、なおかつ
父方の祖父、母方の祖父の二人分の書類なので、それなりの厚さ&重さです。

不安なので郵便局に直接行って、重さを計ってもらいました。
参考まで:切手代は140円でした。

個人情報をもろに含んでいるので、追跡可能な書留で送った方もいるみたいです。
ここら辺は好みですね。

7.終わりに

5800文字にもわたる記事を読んでいただき、ありがとうございます。
投稿日(2022年11月02日)現在、書類を提出済みで、結果を待っているところです。

書類不備があった場合も、無事に調査結果が返ってきた場合も、続編をnoteに書こうと思っています。

軍歴証明を取り寄せてみようかな? とか、
取り寄せたいけど書類が難しそう、という方の参考になれば幸いです。

何よりも、こういう記録があるんだ、と知っていただけただけでも個人的に嬉しいです。

どうしてかと言うと、陸軍の方は、申請できるのは三親等の親族までと決められている都道府県があるからです。
時代を経て、世代が新しくなると、申請が行えないことがあります。
軍歴証明の請求には、タイムリミットがあると言ってもいいでしょう。
(場所によっては六親等までに変更になったところもあるみたいです。)

戦争体験者は高齢化が進み、鬼籍になられた方がどんどん増えています。
私たちの世代(30代半ば)は、身内(と言えるくらい近く)に戦争体験者がいた最後の世代になるのではないかと、個人的にずっと思っていました。
学生時代に、「お家の人に戦争の話を聞きましょう」という授業がありましたが、もう少し年が経つとこういう授業も無くなってしまうでしょう。

ありがたいことに、私たちは〝戦争〟を話の中だけでしか知りません。

けれど、だからこそ、「語り継ぐ」ということの大切さを忘れずにいたいと思っています。

この記事が何かのきっかけになれば、幸いです。

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?