【脚本編】削った脚本の一部を公開 #週刊MONDAYS #映画MONDAYS
今週も月曜日がやってきましたね。みなさん、新しい月曜日を迎えられているでしょうか。
全国上映が始まって、迎えた初めての週末。ありがたいことに、日本橋・立川・横浜では満員御礼をいただきました(😭)。
私たちが作ったちいさな映画が、全国各地で上映されていること、いまだに信じられません。ありがとうございます。「周辺では上映していないんだが?」な方のためにも、まだまだ上映館数も増やせるようにスタッフ一同、観てくださった皆さんの感想を糧に頑張ってまいります。なにとぞ、なにとぞ、応援いただけたら嬉しいです!
さて、企画のこと、脚本のこと、美術や舞台や撮影秘話のことなどをお届けする、週刊MONDAYS。
前回は、企画ができるまで……をお話ししましたが、今回はさらに深い脚本のアレコレを。「共同脚本」ってどういう感じ? まるっと削った脚本は? ……実際のやりとりなどを載せながら、たっぷりお届けいたします。
(文・脚本担当/夏生さえり)
※本記事はネタバレを含みます。
作品をご覧になった後に、お読みください。
共同脚本とは…
前回記事でもご紹介したとおり、私たちTAKE C(テイクシー)は、CHOCOLATE Inc.に所属する監督の竹林亮と脚本の夏生さえりが中心となって共に脚本を書き上げる「共同脚本」という形式を取っています。ですが、そもそも「共同脚本」って……あまり聞き馴染みがないですよね。もしかしたら、「雪だるま方式」と呼ぶ方がニュアンスが伝わるかもしれません。
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』の脚本作りも、テニスのラリーのように何度も何度も竹林と夏生で交互に打ち返しながら、お互いのターンで設定やキャラクターなどがどんどん追加されていく……という方式で作っていきました。
共同脚本のいいところは、何と言ってもみんなのアイディアのいいところを、全部盛りにできるところ!
MONDAYSは、竹林と夏生がメインとなりながらも、会社の多くのメンバーのフィードバックやアイディアの「それ、いいね!」をたっぷり詰め込んで作っていきました(脚本協力は、12名。ありがとうございました)。
たとえば「お仕事もの」について知りたいな……と質問を投げると、こんなふうにすぐにレスがあったり。
はじめての長編ドラマ映画脚本ということもあり、これまで以上に多くの人の知見を借りながら、脚本を仕上げていきました。
脚本初期段階では、お互いのイメージする「テーマ」や「描きたいこと」をしっかりと決めていく必要があるので、こんなクイズを監督から出されたことも(笑)。
想像つかない部分は相手に丸投げをしてみたり、頑張って書いた部分がざっくり削られて戻ってきたり、相手が表現したいことが掴みきれず質問ぜめにしたり……。
リアルタイムで見かけたツイートを元にして、停電のアイディアができたり(実際のツイートは隠しています)。
脚本をラリーのように打ち合う中で、展開が増えたり、グッとくるセリフが出てきたり。「これ、めっちゃいいアイディア!」「これあったら楽しそう!」を積み重ね、楽しみながら脚本を作っていきました。
何度も「なんで一週間なんていう設定にしてしまったんだ!」と天を仰ぎつつ……『MONDAYS』は着想から約4ヶ月で、ほぼ完成いたしました。
舞台となる職種
ちなみに舞台となる職業は、できるだけタイムループしていることに気づきにくい場所にしたいなと考えていました。たとえばバスや電車の運転のような「規則的な職種」がいいのか、「時折激務になる職種」がいいのか……。様々な議論があり、そのメモも残っています。
最終的には、自分たちに馴染みのある「広告代理店」が一番ディテールを作りやすいという理由で現状の形に落ち着きましたが、途中までは「雑誌編集部」をイメージして作っていました(ちなみに「広告代理店=激務すぎて徹夜続き」ということではなく、あくまで「忙しすぎる一週間」「今日が何日だかわからなくなる感覚」をデフォルメした設定です)。
削った脚本
前回の記事「【企画編】実話がきっかけで生まれました #週刊MONDAYS #映画MONDAYS」にも書いた通り、脚本はどんどん膨らみ、最終的には180ページほどの超大作レベルに膨らんでしまったのですが……、そこからテンポよく観ていただける82分に削っていく中で、まるっと無くなったパートがいくつかあります。
たとえば、予告編にも使われている部長を説得するためのプレゼンシーン……のその直前では、プレゼン以外でなんとか部長を説得しようとするパートがありました。先輩である森山や平のように、行動予測をしてみせるも……全く信じない永久部長。というか、「タイムループしていたって構わない」くらいのスタンスの部長(怖い)。このままでは部長を信じさせることはできないと理解した平が生み出した苦肉の策が、プレゼンだった……という流れがありました。
また、あれほどに狭いオフィスであるにも関わらず、互いのことをほとんど知らなかった社員たち。じつは部長が「静岡」から毎日通っているという(どうでもいい)情報さえ、誰も知らないという設定もありました。
「味噌汁炭酸タブレット」のプロモーション企画案として、部長が漫画風の絵コンテを描いてくれる「味噌しゅわっちマン」の下りや、シュワちゃんを起用する「I miso you」というしょうもない案も……(削って良かった…)。
キャラクターたちの多くは、私たちの会社の中にいる人物をモデルにして作りはじめ、最終脚本になるまでは彼らの実名をキャラクター名にしていた、という経緯もあり、口調は彼らをデフォルメしながら作っていきました。
ただ、神田川聖子さんのキャラクター設計と、役割に関しては、ずっと悩んでいました。彼女は”悪役説”も浮上したり……。
さまざまな紆余曲折を経ながらも、届けたいもの・作りたいものをイメージして、それを形にするために社内の多くのメンバー、助監督、記録さん、俳優さんたちなど、チーム全体の力をフルに借りて、最終形に着地しました。
後半の、部長が持つ後悔にまつわる展開ついては、監督の思いもかなり影響しています。監督の竹林は小学生の頃から映画監督になるのが夢で、高校生のころには自主制作で映画を作っていたほど、映画に憧れがあったそう。それでもその道はなかなか開けず、CMディレクターとして、仕事を積み上げる日々。夢は叶わないけど、その夢を捨てられない気分を、部長の永久にだいぶ重ねたと語っていました。また、脚本の夏生は「◯日までに絶対やる。◯日までに絶対やる」と思い続けてやらなかったことは、ずっと心に残り続けて、実際にそれをやりたかったのか?ということよりも、「やると言って、やらなかった」という後悔の存在感はいつまでも消えない…という実体験を部長に反映させました。
以上、脚本編を、たーっぷりお届けいたしました。
忙しい日々に対峙していると、すぐに無意識に迎えてしまう月曜日。でも今を大切に積み重ねることが、未来への大事な道のりになるはず……。「未来のことばっかり考えて、今を捨てるのはやめる」という吉川のセリフを胸に、我々も地味な一歩を積み重ねていきます!今後ともどうぞ、応援をよろしくお願いいたします。
次回は、撮影編をお届けします。
それでは、また月曜日!👐
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