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 彼とわたしの4年間。 食文化の壁

2024年2月18日、日曜日の午後5時をまわったところだ。

2019年に渡豪しコロナを理由に帰国ができなかったが2年前の9月にわたしは一度日本へ帰国した。わたしの彼も同様に渡豪したが彼はようやく4年以上を経て今、ドイツに一時帰国している。そう、お互いに同じ時期にオーストラリアにやってきて、たまたま出会ったのだ。

主食はご飯のわたしとパンを愛する彼

自分の年齢が30歳を超えると覚えられなくなるというのは本当だ。時間が新幹線に乗車しているかのように早く過ぎ去る。出会った頃、彼は22歳で私は29歳だった。私たちに共通する点といえば喫煙者、酒飲みぐらいだったと思う。今じゃ、4年を経てお酒を飲む機会は減ったし、わたし自身も毎日お酒を飲まなくてもよくなった。タバコもやめた。砂糖を取ることも今は控えるようになりチョコを買う代わりにブドウを買い、チップスを食べたい衝動はスイカで抑えれるようになり、お酒やジュースを飲む代わりに炭酸水を飲み始めた。

こんな思考は、
「はっきり言って嫌いだしくそくらえだ!って思うぐらい好きなものを若いうちに好きなだけ食べておけ!」

これがわたしの通常運転だった。今もそれは変わってない。
好きなものを好きなだけ食べれることは幸せなことであり、罪悪感を持つ必要などないのだ。歳を老いれば食べれなくなる、歯が悪くなり食べるものを限られるかもしれない。太ってることのなにが悪いんだ?幸せの象徴だろ?

彼がわたしを変えたまず大きな理由の一つが

・マクドナルド、KFCといったジャンクフードは一切食べない。

出会った頃に見せられた小さな雛が生きたまま機械に押しつぶされたり残酷な映像を見せられてからは一切KFC に足を運べなくなった。それまでは週に3回マクドナルドのセットを食べるぐらい好きだったし、オーストラリアのKFCは値段設定が安く量と比べてもお得でファームで疲れ切った後にはよく食べていた。

・自炊以外に選択肢のない田舎のオーストラリア

車社会のオーストラリア、シティであってもなにか食べに行こうか!となっても歩いていける距離はCBDぐらいじゃないだろうか?スーパーすら車で30分で行けない距離だ、惣菜なんてものはない。自分で作る以外に道はないんだ。4年間毎日8時間もしくは15時間働いて深夜の1時に帰ってきてもご飯を作った。二人分だもちろん。

・お菓子もジュースも食べない彼

コーヒーを飲んでいる彼を見たこともない、彼の口内、舌の感覚は子供っぽいけどジュースとお菓子は3年間自分で買ったり好んで食べているところをみることはなかった。わたしはチップスが大好きなので、彼がお菓子を食べるようになってしまったのは完全なるわたしの悪影響だ。

ガリガリで高身長な彼と、小太りで低身長なわたしの記録

4年前は、彼は190センチあるが、ガッリガリで70キロあるかないかだった。はっきり言うがわたしの好きなタイプの男性とは正反対だった、彼もわたしがタイプだったわけではない。よくあるアクシデントが続いたのだ。
ドイツに帰り、体重は80キロを超えたという嬉しい報告を聞いた。この4年間でお互いがうまく成長できた証拠でもあった。

148センチしかないわたしの身長は、今では147センチか146ぐらいに日に日に縮みだし、50キロほどあった体重は今では42キロほどに落ち着いた。顔の輪郭や、鼻などのパーツが少しハッキリしたように感じ、お腹が垂れることもドーナツも消え、姿勢が抜群に良くなった。

これは目に見える良い部分で、体の内側に感じるものとしては
食欲の低下、量が驚くほど食べれなくなった。美味しいと感じるものが減り、味覚が変わった。日本でのコンビニで売られているものを食べれなくなってしまった。太ることへの恐怖や恐れが以前より増した。老いたことが一番の原因だとは思っているが、ダイエットなんかよりも毎日なにも罪悪感を持たず食事を食べていたことが懐かしく、悲しくも思う。

国際恋愛の壁、食の文化

なにを言おうと、食の文化は関係性を壊す一つの壁と言ってもいいだろう。

Me (私): 日本食大好き、パンより米。小さな小鉢に少しずつ盛り合わせ色々なものを少しずつ食べたい、毎日同じものは食べたくない

P(彼) : 彼は、一度に数食分を作り毎日同じでも気にしない。腹さえ満たされればOK。生物を食べる、冷たいお蕎麦などは理解しがたい、海鮮の濃い味は食べれない(牡蠣やタコ)

食の文化といっても、食べるものだけではない、どんなタイミングで食べるか片付けをするのも大きな壁だ。

バックパッカーだった私たちには、家すらなく公園にバンを駐車してキッチンはBBQスペース、トイレは夜9時に閉まる公共トイレだった時もあったし、一箇所に滞在することは3ヶ月、長くて6ヶ月だった。いつも環境が変わったしルーティンも変えなければいけなかった。

簡単にいえば、お互いを知ること、助け合うこと、自分よがりにならないことって簡単に言えるが、実際にどんなことが起きて、どう解決したかがより知りたいと思うポイントだ。

わたしは基本的に相手に期待しないし、人を変えるのは相当な労力があるから仕事で部下を育てる以外は絶対日常でやろうなんて思わない。でも、彼はまだまだ20歳になりたての男の子といっても過言ではなかったし自分の生活習慣や彼といることにすごくすごく責任を感じた。人は環境生物であり身近な人の行動を真似し、変化していく。わたしがしっかりせねば!という気持ちは3年ぐらいあったと思う。それでも、わたし自身女性が家事をすべて行うといった昭和的な思考や仕組みは理に叶っていないし、その関係性を保つ相手なんて死んでもごめんだね!1人のがよっぽどマシ!って思って生きてきた。小さな時から、どうすればそんな形にならない仕組みを作ることができるのだろうか、この同調圧力、殿様天下、男卑女尊を覆すにはどうすればいいのかと幼い時から考えていた。

彼はこの思考とは正反対である。女性は家庭に入り、料理を行い旦那の帰りを待つというスタイルだ。

こういったようにどんなことに対しても私たちは正反対だ。今でも変わらず。こういった思考は、はっきり言って変える必要はないと思ってるし、他のカップルを見習う必要も一切ない。

生活スタイルも違う、環境も違う、まず人間性すら異なるのに対象相手にならないものと比較しても時間の無駄なのだ。

関係性を続けるためにすることとは?

・自分で魅せる

自分でやらないくせに人様に指示を出すことはお門違いであり、文句を言う前に自分でまず一通りやること。それを魅せること。

・話し合う

自分の状況、意見を伝えて相手に求めることを話し合う
(この時点で変われば100点満点なんだけど、変化して続けるってことが難しいんだよね)

・発狂する

これが結構大事なポイントでこっそり影で泣くとか、トイレで泣いても彼はね知らないのこれが男女の違い。もう伝わらないと思ったら全身で発狂して想いを伝えるの。怒るのも泣くのも喜ぶのもすべて彼の前で行うの!一番ひどかったのは、もうストレスと身体も痩せすぎて頭がおかしくなって木のかなり硬い床に何度も何度も頭を打ちつけてボロボロ泣いた時かな!笑

・相手に合わせる

彼はわたしのHectic気質(いつも落ち着きがない、バタバタしてる感じ)が大っ嫌いで、でもこれはわたしの強みと言えるものでもあったからそれを指摘されて説明を彼にしても理解をしてもらえなかったことは、この世の終わりかと思うぐらいつらかったの。
手足の短い人がスポーツをするには、誰よりも機敏に動く必要があったし日本のような効率生産を軸とした文化ではかなり重宝された。仕事が早い上に倍こなせたからだ。

彼は、わたしに合わせてくれ続けた。わたしがやりたいことについてきてくれて、いつでも隣にいてどんな時も手を差し伸べてくれた。階段や山などで手をどんな時も差し伸べてくれるその瞬間が一番好きなところだ。

・相手と一緒に堕ちていく

これは、結構自分の芯を折る必要があるし、堕ち続けた後に戻れない可能性があるからあまりオススメはしないけど、一番効果がある。
夜7時に家に着いても、まずはゆっくり一服したいんだと言う彼と、シャワーも夕飯も終えて9時ごろにゆっくりしたいわたしは正反対で、常に彼を急かしていた。もちろん黙って女性のわたしがすべてをこなせば問題のないことであろう。なので、わたしも彼と同様に全く同じ行動をしてみた。
誰も料理を作らなければ、料理が出来上がるのも遅い、寝る時間も遅い。悪循環にしかならないのだ。それを言葉でなく、彼にも感じさせることが重要だった。私に責任があっても、母親になるつもりは一切なかった。
私たちの共通点は、不器用であるがお互いを想い合っているのはお互いわかっていた。信頼があったからだ。だから自分が痛い目にあうことや、不幸になっていくことより、自分の行動によって相手が良くない方向に進むのが一番避けたいことであった。
だから彼は、そこからどうなればお互いがより良くなるか、なるために考えて少しずつ、少しずつ変わってくれた。そして私も変わり続けた。

私の一番幸せなこと

手作りの美味しい夕飯を顔を見合わせて一緒に毎日とることだ。週末に作る豪華なブランチも好きだ。特に週末の彼の作る朝ごはんはすごく美味しい。ただ、これを続けていきたい。はっきり言って普通に働いてれば困ることなんてないんだ、欲をコントロールし、自分にとって一番大切なものを決めれば他のことなんてチッポケなことだ。
お金に執着することも、欲を乱すこともなく大切な人と毎日食事を一緒にとる。それ以外なにもいらない。

変なユーモアで、サプライズもできないし、誕生日を盛大に祝ってプレゼントをもらったことなんてないと言えば、みんなが口を揃えて「別れるべき!」と、言うだろうし「騙されてない?」なんて思うだろう。

プレゼントもくれない端からみたらダメダメな彼でも、彼が示す愛は今まで感じたことのないものだった。花束と手紙はいつか欲しいけど、きっともらえた時の幸せは計り知れないだろう。それも楽しみの一つだ。

誰かの憧れになる必要もないし、インターネットやメディアにうつるカップルが正解だなんて思わない。みんなと同じことをしないと素敵なカップルになれないなんてのは、腹抱えて笑えるぐらいまやかしよ。

擬似カップルを画面越しに見て、指咥えてるより、自分たちのベストな形をカタチをもっていたほうが、きっとスペシャルな毎日を送れると思う。
なりたい理想を追いかけてすれ違うより、今できること解決しなければいけないことを時間をかけてでも追いかける。

まだまだ、私たちの関係も不安定なことが多いからこそ、なにかあったらこれを読み返して初心に戻ろうと思う。


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