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小学校の先生の「学級経営をする上で大切な4つの考え方」

 私は小学校の教諭をしています。教諭となって9年目です。初任の頃、学級経営でたくさん悩みました。「学級崩壊したらどうしよう。」、「子どもになめられないようにしなくちゃ。」と考え、先輩教師の姿を見て、見様見真似でやってみたものの、そこに本質的な考えはなく、今自分がやっていることは正しいのだろうかと、いつも誰かに確認しないと不安になっていました。しかし、そこからたくさんの本を読み、それをもとに、考えを持って子どもたちと接して学級経営をするようになりました。
 今回は、「学級経営をする上で大切な4つのこと」として、小手先のテクニックではなく、学級経営をする上で大切になってくるのではないかと思う、今自分が持っている考えを書いていきます。

1.子どもと対等になる

 子どもと教師では年齢差はあります。経験量も違いますが、「子どものくせに。」「子どもの考えなんて。」という気持ちを持たずに、子どもであっても一人の人としてしっかりと向き合うことを大切にしています。この考えは、おそらくアドラー心理学の考えから来ています。以前読んだ本には以下のように書かれていました。

アドラー心理学では、尊敬と信頼を特に重視します。尊敬というと、私たちは相手を上に持ち上げたり、自分がへりくだったりするということで相手を上に見たりする上下関係といったイメージを抱きますが、ここでいう尊敬とは違います。アドラー心理学で尊敬とは、対等性に基づく関係です。

『アドラー心理学で変わる学級経営 勇気づけのクラスづくり』著:赤坂真二

 子どもを従わせるというイメージではなく、子どもと対話するイメージで接するようになりました。ですから、子どもの話を聞いたとき、「あー、あなたは、そう考えるんだね。なるほど。私はこう考えるけどどう思う?」と相手と対等に話して解決していこうとする姿勢を見せるようにしています。また、子どもが何かトラブルを起こしたりしたときにも、「それをしてしまったのには、あなたにとって嫌な事があったんじゃないの?」と相手の話を聞こうとするようにしています。そうすることで、子どもたちも、「あぁ、この人は話を聞いてくれる。自分を信じてくれる」と思ってくれるのではないかと思っています。そもそも、自分を相手にしてくれない人や自分を信じてくれない人の話なんて入ってこないですから。

2.自己決定を促す

 これは、自律する子を育てることを意識した取り組みです。自律する子の育て方については、以下のnoteを見ていただければと思います。

 さて、自律するために、「自己決定」を子どもたちができるようにと意識しています。そのときに大切なのは、あなたがその決定をする場合には「こんなメリットと、こんなデメリットがあるんじゃないかな。」と私なりの考えを子どもに提示するということです。すべて私の言うことが合っているということではなく、「こんなメリットとデメリットが考えられるのではないかな?」というスタンスです。その上で、「あなたはどうする?「何か私に手伝えることがあればするよ。」と寄り添います。そうやって、子どもたちの自己決定を促すようにしています。

3.ルールで縛らない

 子どもたちは、学級内で何か問題があるとルールを作って解決しようとすることがあります。しかし、ルールを作ると、ルールを守ることが目的化して、息苦しくなってしまうと私は感じていました。例えば、以前勤務していた学校では、「廊下は右側通行をしましょう。」というルールがありました。これは、混雑したときに、対向する人がぶつかったりすることから生まれたようです。丁寧に廊下にテープが引かれ、「右側を歩きましょう。」とポスターが貼られ、左側を歩けば、注意の声が飛び交っていました。対向する人がいなくて、廊下が混雑していなくても・・・。車のように、大きな事故がある場合なら分かりますが・・・。これは、ルールで縛る問題でなくて、マナーの問題なのではないかなと思うわけです。要は、「対向する人とぶつからない」が目的なので、そのときは右側に寄った方がいいんじゃないかなというマナーで解決していけることなのです。
 この考えは、教育学者である苫野一徳さんの著書『「学校」をつくり直す』の中で書かれていた自由の相互承認という話から生まれた考えでした。そこには、以下のように書かれていました。

さて、「自由」と言っても、それはワガママ放題のことではありません。なぜならわたしたちは、「自分は自由だ、自由だ」と一方的に主張していれば、必ず他者とぶつかることになり、そのためかえって自分の「自由」を失ってしまうことになるからです。
 そこでわたしたちは、自分が「自由」に、つまり「生きたいように生きる」ためにも、他者の「自由」も認め、尊重できるようになる必要があります。
 これを「自由の相互承認」と呼びます。

『「学校」をつくり直す』著:苫野一徳

 ルールで縛るのだはなく、お互いの自由を保障するためにどうするとよいかを考える。ルールが解決策になり過ぎないように、万能ではないのではないかと思っています。だから、お互いが気持ちよく過ごせるように考えて行動することに重きを置くってメッセージを発し続けています。

4.笑いでガードを緩める

 子どもたちと関わるときに、子どもたちをニコって笑わせる事を大事にしています。子どもと人間関係を作る上で、「一緒にニコって笑う」ことで、お互いの関係性が良くなり、話もしやすくなります。「なんだかこの人といるとおもしろい。」と子どもたちに思わせることが大切だと思っています。
 そのために、以前は落語を聞いたり、漫才を見たりと笑いが起こる場面を意識して観たりしました。また、この人面白いなぁって人の発言を真似したりもしたました。そうやって、笑いを生むためにどうするとよいか考え、職員室でも「一日一笑」を意識してトレーニングしています。
 それ以外にも、「秘密を共有」してニコっとする場面を子どもたちと作ることも効果的であると考えています。教育実習で来ている先生をだまして、サプライズのプレゼントをするという「秘密」を子どもたちと共有してニコっとクラスで笑っているときに、子どもたちや教師の距離は縮まったりすると感じます。そうやって、笑いで子どものガードを緩め、懐に入っていくことが学級経営でも大切だと思っています。

 最後になりましたが、今の自分はテクニックというよりも、根本にある4つの考えをもとに動いています。だから、この指導は合っているのかな?と迷うというよりは、ちゃんとこの考えに繋がっているかなと考えるようになりました。この考えはきっとアップデートされますが、自分なりの考えを持つことが安心して学級経営ができるようになってきた気がします。
 この考え方が、どなたかの学級経営の参考になり、力になることができれば幸いです。

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