ゴールデンボンバーにいのちを救われた話
新卒で入った会社がとんでもない会社だった。
毎日外回り営業で、帰れるのは日付が変わるか変わらないかの時間。
どこかもわからないエリアを割り当てられ、毎日何万歩も歩いてた。
仕事を辞めたかった。とにかく辞めたかった。
毎日ギリギリで、仕事を辞めることしか頭になかった。
真夏。
少し田舎の、駅のホーム。
息ができないほど暑くて、身体も心も辛かった。
暑さのせいか、その日は特に気持ちが落ち込んでいて、
一瞬、ふと
「飛び込んだら会社を辞められる」
そんな考えが、ふとよぎった。
ほんとうにギリギリだったと思う。
そのときシャッフル再生で音楽を聴いていたんだけど、放心状態で、聴いてるけど聴いてない、そんな状態だった。
流れてきたのは、
聴いたことのない曲。
爽やかなイントロに、、、
「アーー!!!」という叫び。
一瞬で分かった。
サザンのパクリだ……!!!!!
誰!?なに!?なんの歌!?
とっさに画面を見る。
「TSUNAMIのジョニー」
♪ゴールデンボンバー
その文字列を見て、
真夏の誰もいない、駅のホームで、
大爆笑した。
サザンぽいイントロに、
サザンぽい叫びに、
サザンの曲のキメラみたいな題名。
大爆笑した瞬間のことを、わたしは鮮明に、いまだに覚えている。
もう何年か経つのに、あの暑い日、誰もいなくてガランとした静かなホーム、バカみたいに青い空、ゴールデンボンバーの曲。
とにかく鮮明に覚えてる。
その時にわたしは思った。
「わたし今、救われたな」
あのとき、まちがいなく神様がわたしを救ってくれた。
神様は、ゴールデンボンバーだった。
あれから半年後くらいに、会社を辞めて、転職して数年経った。
仕事をやめたいなんて思うことなく、日々楽しく淡々と過ごしている。
今でもふと、たまに、
あの暑い日、駅のホームでいのちを助けられた出来事を思い出す。
ありがとう。ゴールデンボンバー。
あなたがたのおかげで、私は今この世界に生きています。
今日ふと、また思い出したので、ここに書き留めておきます。
おわり
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