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さよなら、ピエロさん

サムネイルに使っている絵を、どこかで見たことある方はいるでしょうか?

「ふしぎなさーかす」

という名の絵本。表紙を撮影しました。

とても繊細なのに、写実的というよりは幻想的で丁寧な絵に、5歳の僕は完全に心を掴まれてしまいました。怖いような、面白いような・・色使いも抑えめで、外国の絵のように感じていました。裏表紙は、表をひっくり返した鏡像で文字も反転していました。

当時通っていた保育園で配られる本の一つだったと記憶しています。お話としての文字はなく、見開きで絵が描かれていました。

日用品と小さなピエロたちの共演に、もしかしたら自分の家の台所でもやってるのかなぁと、ワクワクしたものです。

でも、もしそれを見かけても外国の人たちだから言葉が通じないかなぁと、真剣に心配していました(笑)書きながら、思い出しました。

文字がようやく読めるようになって、作者の名前を覚えました。

「あんのみつまさ」

大人に、好きな絵本はなにかな?と聞かれ、「ふしぎなさーかす」と答えても、「へぇー!いいね!」と言われることはありませんでした。

さらに、その大人に「え?どんなお話しなの?」問われても、文字が無いから子どもの僕にはうまく答えられませんでした。

小さなピエロたちが、リンゴで玉乗りをするとか、シマウマの行進は実は黒い馬、そんな風に説明しても、なかなか分かってもらえなかったのです。

さて、大人になってから島根県に旅行に行ったとき、たまたま寄った津和野に、彼の美術館がありました。廃校になった小学校が、まるごと彼の作品の美術館となっていて、絵本の挿絵となった原画たちが飾られていました。

どの絵も、殆ど絵本とほぼ同じサイズであることに驚きました。縮小したのではなく、とても細かく描き込まれていたのです。自然を細かく描いて、控えめに色をつける作風は、真摯なファンタジーという感じがして、とても温かく見ることができました。

そんな安野さんが、お亡くなりになったとのニュースが、先日報じられました。人間ならば、いつか亡くなってしまうことは、分かっていました。誰かが同じ絵を描けるならいいのですが、そうはいかないのが人の作る作品の特徴。

子どもの頃に、強く心に残った作品が、また鮮やかに思い出されました。また安野作品を読みたいと思います。

いつもと違った感じで失礼しました。

みなさんの心に残る絵本はありますか。

#安野光雅 #絵本 #津和野 #追悼 #ふしぎなさーかす  

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