音読の宿題 #書もつ
毎週木曜日は、読んだ本のことを書いています。
今年のゴールデンウィークも、「ステイ」な感じになりそうですね。そんなときには、本を読もうじゃありませんか!(謎テンション)
読書メーターで、献本(プレゼント)に当選して読むことになった作品を。
青少年のための小説入門
久保寺健彦
献本でいただきました。
設定で読者を引き込む上手さが、さすがです。
定型的過ぎるタイトルの中身は、少年のサクセスストーリーな趣きで、読み終わるのが惜しくなるような、温かい作品でした。
風景への描写は少なくて、余白のある景色に読み手としては言葉に集中できて、物語にハマることができました。
最後の1行こそ、この作品の意図であり、作家からの激励なのかも知れません。
文字が読めない、そんな障がいをご存知でしょうか。言葉を聞いて理解することはできるけれど、文字となると、記号あるいはそれ以前の黒々とした塊のように見える、そんな障がいを象徴的に描いた作品でした。
勉強が分からなくて、学校で浮いてしまう、結果として不良と呼ばれるような人物になってしまう、というのはいつの時代においてもありうることかも知れません。
かたやもう一人の主人公は、典型的な真面目な生徒。二人の出会いから始まる物語が、さまざまな展開を見せて、それぞれの成長物語を読ませてくれる作品でした。
文字が読めない不良のために、真面目な生徒が音読をする、というのがこの作品の背骨のように大切な場面なのです。さまざまな小説を声に出すことで、理解し、味わうこと、その尊さに読み手もまた、声に出して読んでみたい作品をいくつも思い出しました。
読む、とは言え多くの場合に頭の中で音読しているわけだから、声に出さなくても良さそうですが、視覚だけでなく聴覚にあっても新しい発見や想像を掻き立てられるような体験ができそうだと思うのです。
少年のサクセスストーリーは数々ありますが、最近は「小説家」というキーワードをよく見かけるようになりました。ネタバレしてしまいますが、この作品もまた、二人の主人公が小説家としてデビューすることが目標になっていたりします。
純粋に夢を追いかけることが出来ること、そして応援してもらえること、それはとても眩しくて若々しいものです。でも、実は自分の周りにも同じようなきっかけがあるのではないかと、最近になって思うようになりました。
いまこうして、毎日書くことができているのも、noteという場があり、読んでくださる方がいるからで、期待に応えなくちゃと、半ば自分勝手に励ましを感じています。ありがたいことです。
不良と真面目、でもそれは誰かの評価であり、2人の主人公はどちらも魅力的でした。物語の可能性、小説の醍醐味、小説家の仕事ぶりなど、読み手のすぐそばにあるのに知らない世界を見た思いです。
小学生の時に、教科書の文章を3回音読するという宿題がありました。普段から弟や妹に読み聞かせをしていたこともあって、難しいとか引っかかるようなことはなく、楽しい思い出です。
3回は無理だけれど、また音読してみたら楽しそうです。
五月晴れの空に似合う、爽快な作品でした。
サムネイルと作品の表紙の感じが似てますね・・事前に原稿を読んでいただいたinfocus📷さん、もしや知っていたのか・・。だれかに聴かせるための読書って、こんな感じなのですよね。ありがとうございました!
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